○十五夜のあれこれ聞こゆものの音
(じゅうごやのあれこれきこゆもののおと)
早い月の出
昨夜は十五夜の満月だった。日没後まもなくと思われた時間に、台所の東の小窓の外がまるで球場にライトが灯されたように明るくなったので勝手口を出てみると、満月の明りだった。さすが中秋の名月、その存在感は十分なものだった。
とはいうものの、時刻はまだ7時前なのである、東隣の厨房からは鍋や食器の音、どこかで猫が餌を取り合って争う声などが入り混じって聞こえてくる。
それはそれで、こんなに月が近かければ、あちらでも餅をつく音くらいきこえてくるかもしれないのだから。