2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧
〇隣より貧に親しき竈猫 (となりよりひんにしたしきかまどねこ) 〇類は類呼び集まりて炬燵猫 河童三子 〇かまど猫裏と表を棲み分けて 々 〇忌々し電気釜なり竈猫 々
〇探梅や小山をめぐる七合目 (たんばいやおやまをめぐるななごうめ) 〇一月の蕾の堅し梅探す 河童三子 〇探梅の先へ先へと石叩 々 〇探梅の日当り探し歩くかな 々
〇竹馬を作って軒に懐かしむ (たけうまをつくってのきになつかしむ) 〇竹馬の友を由々しく見上げた日 河童三子 〇垣越しに竹馬乗りの得意顔 々 〇竹馬に一番乗りの寡かな 々
〇新聞紙に血の滴りや鯨肉 (しんぶんしにちのしたたりやくじらにく) 〇錦市場朱鮮やかに鯨肉 河童三子 〇鯨肉の塊り買ひぬ過ぎし日々 々 〇鯨肉や海に撥ねたる尾を思ふ 々
〇冬草の紫はしもやけの色 (ふゆくさのむらさきはしもやけのいろ) 〇踏まれやすき背丈に青し冬の草 河童三子 〇廃屋の裏庭へ出る冬の草 々 〇青年や冬青草の埋もれて 々
〇嚙み殺す咳響きけり大試験 (かみころすせきひびきけりおおしけん) 〇終鈴にペン転がるや大試験 河童三子 〇振り返ても胸の詰まりし大試験 々 〇子も子の子も忘れ難し大試験 々
〇老の身を晒してゐるや冬麗 (おいのみをさらしているやふゆうらら) 〇冬麗やきのふの雪の輝きに 河童三子 〇健啖に老ひて健やか冬麗ら 々 〇遠山に日の射す窓や冬うらら 々
〇奥山の裾を隠して山ねむる (おくやまのすそをかくしてやまねむる) 〇山眠る平家の里は雲の中 河童三子 〇かずら橋祖谷の出湯に山眠る 々 〇山眠る祖谷の谷戸に粉挽き唄 々
〇鴨の陣きょうの糧やら天気のこと (かものじんきょうのかてやらてんきのこと) 〇河攻めに威風堂々鴨の陣 河童三子 〇鴨の陣国領河に敷かれをり 々 〇賑やかに作戦会議鴨の陣 々
〇冬すみれ屈みて触れぬ人の愛 (ふゆすみれかがみてふれぬひとのあい) 〇子をおもふ母の揺れけり冬すみれ 河童三子 〇軒下に屈み込ませる冬菫 々 〇 青年は老ひて屈みぬ冬菫 々
〇口つけて雨いただくや冬木の芽 (くちつけてあめいただくやふゆきのめ) 〇したたりに夢ふくらますふゆきの芽 河童三子 〇しもやけの真っ赤な手の甲ふゆきの芽 々 〇ふくらみはいのちのあかし冬木の芽 々
〇初場所や熱海富士とはおめでたい (はつばしょやあたみふじとはおめでたい) 〇初場所や振袖の娘の黄色い声 河童三子 〇初場所や同体うれし取り直し 々 〇初場所や大餅のごと土俵入り 々
〇売るごとく茎石ならべ蜑の家 (うるごとくくきいしならべあまのいえ) 〇茎石を浮腫の左手添えて持つ 河童三子 〇今年また小さくなりし茎の石 々 〇この家に猛者ゐるやうな茎の石 々
〇荒星の一つ堕ちけり海の上 (あらぼしのひとつおちけりうみのうえ) 〇荒星や穴に獣をねむらせて 河童三子 〇荒星や鎮まることの無き地上 々 〇荒星の吾眠らせず瞬きぬ 々
〇タラ芽採りひっつきむしを連れ帰る (タラめとりひっつきむしをつれかえる) 〇タラの木を撓める君と芽摘む吾 河童三子 〇タラ芽摘み幼き針ののぞきをり 々 〇山晴れてタラの芽も輝いてゐる 々
〇覗かれし心の底や初閻魔 (のぞかれしこころのそこやはつえんま) 〇やぶいりの叔母のみやげや初閻魔 河童三子 〇お供への蒟蒻淋し初閻魔 々 〇初閻魔児が泣き出して真っ赤な顔 々
〇寒卵頑固と言はれ孤にならず (かんたまごがんこといわれこにならず) 〇手に入れて人肌にする寒卵 河童三子 〇力頼み受験の朝の寒卵 々 〇頑なに崩れぬ傘寿寒卵 々
〇万国旗見上げてゐるや懐手 (ばんこくきみあげているやふところで) 〇懐手してピストルを持つ維新 河童三子 〇懐手よく考える傘寿かな 々 〇懐手外して男魚糶(せり)ぬ 々
〇冬旱菩提樹の実の苦悩かな (ふゆひでりぼだいじゅのみのくのうかな) 〇荒れた手に血を滲ませる冬旱 河童三子 〇冬旱底に妖怪山の池 々 〇冬旱ゆらゆら陰ろう鷺の足 々
〇寒夕焼斯くの如きに傘寿かな (かんゆうやけかくのごときにさんじゅかな) 〇鞦韆や寒夕焼の向こうまで 河童三子 〇一艘の舟を浮かべる寒夕焼 々 〇子を探す母の陰ろう寒夕焼 々
〇寒林や枝折る音の木魂かな (かんりんやえだおるおとのこだまかな) 〇寒林に猪狩るや銃声音 河童三子 〇追われ来て寒林の閑さに立つ 々 〇寒に立ち音すら竦む白骨林 々
〇寒灯を湾に霞めて泊り船 (かんとうをわんにかすめてとまりぶね) 〇子の部屋の一つの窓の寒灯 河童三子 〇子の部屋を母が灯しぬ寒灯 々 〇一家に一つの灯のみ寒灯 々
〇福寿草稿を書き出す一歩かな (ふくじゅそうこうをかきだすいっぽかな) 〇弟の無沙汰の電話福寿草 河童三子 〇福寿草少し離れて従妹かな 々 〇眷属やみな似た顔の福寿草 々
〇ラフマニノフのピアノコンチェルト寒に入る (ラフマニノフのピアノコンチェルトかんにいる) 〇真夜の梁ピシピシ鳴るや寒に入る 河童三子 〇小波来て大波の順寒に入る 々 〇波消し石哭かせて走る寒の風 々
〇白粥にして七種の思案かな (しらがゆにしてななくさのしあんかな) 〇小豆粥炊いて七草粥とする 河童三子 〇七日粥食べて次の日始業式 々 〇釜に炊く餅善哉の七日かな 々
〇おめでたい季語の居並ぶ 初句会 (おめでたいきごのいならぶはつくかい) 〇返信待つインタネットの初句会 河童三子 〇海人も山人もゐて初句会 々 〇山頭火の終の棲家や初句会 々
〇書初や九成宮の醴泉銘 (かきぞめやきゅうせいきゅうのれいせんめい) 〇書初や墨の雫も景の中 河童三子 〇書初や幾山河の字駆けまわる 々 〇書初めや竜頭蛇尾になりにけり 々
〇初御空鳩放たれて丘を舞ふ (はつみそらはとはなたれておかをまう) 〇誰か揚ぐるカイト狂ひし初御空 河童三子 〇初御空どこまで碧い傘寿かな 々 〇太古より此処へつながる初御空 々
〇今朝の浦聲賑やかに宝舟 (けさのうらこえにぎやかにたからぶね) 〇宝舟長寿長者の乗りて来る 河童三子 〇初夢に鷹来て鷹の五人会 々 〇宝舟傘寿の夢を鏤めて 々
〇重箱の豆入れ足すやお年酒 (じゅうばこのまめいれたすやおとしざけ) 〇年酒や薬缶に徳利浸けてある 河童三子 〇年酒や豆食べ難し祝箸 々 〇大きめの御猪口差し出し年酒酌む 々