2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧
○加茂川の鴨川となる五月尽 (かもがわのかもがわとなるごがつじん) ○五月尽とて七曜の始まりぬ 秋甫 ○五月尽成すべきことの成されるや 々 ○五月尽ご破算にして川流る 々
○松蝉や兄と二人の昼餉かな (まつせみやあにとふたりのひるげかな) ○松蝉や父母の留守居に干物焼く 秋甫 ○松蝉の音幼日の父母慕ふごと 々 ○松蝉の鳴く音寂しき夕間暮れ 々
○わが留守居青葉潮など見やる頃 (わがるすいあおばじおなどみやるころ) ○わが灘の輝き満てる青葉潮 秋甫 ○磯浦を登れば木間の青葉潮 々 ○青葉潮縞の鰹を連れ来るや 々
○草苺ぽろりと逃ぐる孫のゆび (くさいちごほろりとにげるまごのゆび) ○野苺の秘密の在りか一つ持つ 秋甫 ○思い出の苺畠は大茨 々 ○草いちごほろっと落ちる命かな 々
○袋掛確かに花の在りどころ (ふくろがけたしかにはなのありどころ) ○袋掛け乳母日傘の日々となる 秋甫 ○袋掛けぬ実に太陽と育つ日々 々 ○庭の木に袋掛らる桃三つ 々
○医者いらず咲いてドクダミ茶沸かす (いしゃいらずさいてどくだみちゃわかす) ○現の証拠親子して腹下しけり 秋甫 ○玄草や現の証拠に神輿草 々 ○病む母へ左官が摘み来風露草 々
○胡瓜揉み蛸も顔出すある夕餉 (きうりもみたこもかおだすあるゆうげ) ○胡瓜揉む今朝の厨に河童ゐて 秋甫 ○瓜揉めば草原に呼吸する想ひ 々 ○朝採りの目覚め清しい瓜刻む 々
○柿の花今朝落ちてまだ夢の中 (かきのはなけさおちてまだゆめのなか) ○蜜柑より思い出多き柿の花 秋甫 ○この径はいつか来た径柿の花 々 ○柿の花指吸うは寂しさのゆえ 々
○金雀枝の丘にケルトの笛の音や (えにしだのおかにケルトのふえのねや) ○金雀枝や女王陛下の祝典祭 秋甫 ○金雀枝の要塞なせるキャンベル城 々 ○異国にて見る金雀枝の逞しき 々 イギリス旅行の思い出4句
○蝦蛄剪ればかつぶしの赤き腹かな (しゃこきればかつぶしのあかきはらかな) ○今朝揚がる蝦蛄の鎧の透きとおり 秋甫 ○見てくれに似ず蝦蛄の目のチャーミング 々 ○箸の手を鋏に替えて蝦蛄食らう 々
○新じゃがのほっくり割れる旨さかな (しんじゃがのほっくりわれるうまさかな) ○粉ふきは新じゃがの最骨頂 秋甫 ○ほくほくの新じゃがに口がはふはふ 々 ○じゃがバター北海道に夏が来ぬ 々
○通し鴨距離を保ちて仲良かり (とおしがもきょりをたもちてなかよかり) ○通し鴨加茂川の水余しをり 秋甫 ○通し鴨深い憂いの淵にをり 々 ○夏鴨の流されて行く二つかな 々
○この彩が好き黄昏のサングラス (このいろがすきたそがれのサングラス) ○みな眼病を疑わぬサングラス 秋甫 ○それなりに浮き世を見せるサングラス 々 ○躊躇わずウインク返すサングラス 々
○草笛を噛めば青葉のほろ苦く (くさぶえやかめばあおばのほろにがく) ○草笛の二つ三つが川のぼる 秋甫 ○ヴィヴィと草笛鳴って鳩が来た 々 ○草笛や比叡いただく高野川 々
○一合の飯腐らせる青嵐 (いちごうのめしくさらせるあおあらし) ○青嵐や釜新しく一人部屋 秋甫 ○青年の一人自炊や青嵐 々 ○青嵐ワクチン予約殺到す 々
○父の後母摘む豆の歪かな (ちちのあとははつむまめのいびつかな) ○絹サヤの豆は育てず摘むべきか 秋甫 ○絹莢のはにかみに蚕豆つんつん 々 ○実豌豆の雨の雫も摘み取らん 々
○粥炊くや天香久山聖五月 (かゆたくやあまのかぐやませいごがつ) ○水茄子を割けば真白や聖五月 秋甫 ○白粥に梅干し添えて聖五月 々 ○聖五月讃美歌聞こゆ女学院 々
○窓を搏つ卯の花腐し一日臥す (まどをうつうのはなくだしひとひふす) ○卯の花腐しヴァイオリンの弦弛ます 秋甫 ○癌の身に卯の花腐し寄り添ひぬ 々 ○坂白し卯の花腐し流れけり 々
○キャンパスの三階目線風薫る (キャンパスのさんがいめせんかぜかおる) ○風薫るキャンパス通り脚長し 秋甫 ○地下鉄を出る人波へ風薫る 々 ○方舟を出るや下界の風薫る 々
○カーテンを閉じ点滴の薄暑かな (カーテンをとじてんてきのはくしょかな) ○机より躙り(にじ)りて開ける窓薄暑 秋甫 ○梔子(くちなし)の花の汚れる薄暑かな 々 ○窓の外降ることの無き薄暑光 々
○桐の花遠くにありてかつ高き (きりのはなとおくにありてかつたかき) ○桐の花光源氏が物語 秋甫 ○女御更衣おはする中や桐の花 々 ○山桐も宮中の色桐咲くや 々
○舟のごと燕の通う高瀬川 (ふねのごとつばめのかようたかせがわ) ○燕きて京の花月を観て行かん 秋甫 ○農小屋の日ごと騒がし燕の巣 々 ○軒つばめ路地の地蔵に願かけし 々
○たかんなの十二単衣の丈伸ばす (たかんなのじゅうにひとえのたけのばす) ○淡竹(はちく)の子ポンと音して折られけり 秋甫 ○丁度いま筍飯の炊きあがる 々 ○太秦や筍飯の香裏店に 々
○風の来てトーン記号の烏麦 (かぜのきてトーンきごうのからすむぎ) ○烏麦簪(かんざし)にして狐の婚 秋甫 ○南風(はえ)の来ていい日旅立ち烏麦 々 ○燕麦といえば燕の翼かな 々
○蕗摘めば韓人が来てレシピ問う (ふきつめばかんじんがきてレシピとう) ○蕗の雨広葉の下に蟇宿り 秋甫 ○蕗煮るや一日を厨詰めてをり 々 ○蕗を煮て蕗の匂の中にゐる 々
○光琳の杜若ごと並びけり (こうりんのかきつばたごとならびけり) ○金屏風出て泥に咲く杜若 秋甫 ○杜若モネの庭にも咲かせけり 々 ○傘さして歩いた記憶菖蒲園 々
○夜来風雨去って朝の立夏かな (やらいのふううさってあしたのりっかかな) ○早苗立つ水際の風夏は来ぬ 秋甫 ○三階の窓の欅に今朝の夏 々 ○田の風も喜び走る夏は来ぬ 々
○胸の創癒えて五月の吹き流し (むねのきずいえてごがつのふきながし) ○五月風トランペットの音はこぶ 秋甫 ○キャンパスに草の息れや風五月 々 ○君が立つ五月の丘に風立ちぬ 々
○新緑や一枚づつの陽の光 (しんりょくやいちまいづつのひのひかり) ○新緑や楽園の森の葉朽ちず 秋甫 ○新緑やリアルタイムに孫の像 々 ○スカイプに新緑めいて孫映る 々
○まったりと陽に誘われ柿若葉 (まったりとひにいざなわれかきわかば) ○柿若葉創つき易き君の胸 秋甫 ○柿若葉イガラに備う親ごころ 々 ○昨日でもなく今日こその柿若葉 々