2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧
◦惜春の谷越えていく相聞歌 (せきしゅんのたにこえていくそうもんか)
◦春窮のひとりは気らく野ふき摘む (しゅんきゅうのひとりはきらくのふきつむ)
◦囀の一瞬止みて耳となる (さえずりのいっしゅんやみてみみとなる)
◦春闘の鉢巻き見えぬ雨の中 (しゅんとうのはちまきみえぬあめのなか)
◦山査子の花は絵本の復刻版 (さんざしのはなはえほんのふっこくばん)
◦春蝉の声一瞬に風のきて (はるせみのこえいっしゅんにかぜのきて)
◦双蝶の空低くして舞狂ふ (そうちょうのそらひくくしてまいくるう)
◦荷を解けば夢ちらかりぬ春の旅 (にをとけばゆめちらかりぬはるのたび)
◦卯波きて鬼も洗濯板持ちぬ (うなみきておにもせんたくいたもちぬ)
◦茎立の向こうに見える阿蘇の日々 (くきだちのむこうにみえるあそのひび)
◦旅の道とへば答へる啼合 (たびのみちとえばこたえるなきあわせ)
◦国生みの神々おはす苜蓿 (くにうみのかみがみおわすうまごやし)
◦若駒を見たと思いし都井岬 (わかこまをみたとおもいしといみさき)
◦爺婆の投げる手拾う手はな祭り (じじばばのなげるてひろうてはなまつり)
◦いかなごのポンポン船や夢破る (いかなごのポンポンせんやゆめやぶる)
◦黄砂来て暈しの入りし我が身かな (こうさきてぼかしのいりしわがみかな)
◦はじまりは訥々と入る蛙かな (はじまりはとつとつといるかわずかな)
◦声も無く重さに耐えて花の雨 (こえもなくおもさにたえてはなのあめ)
◦訪ね来ば落花盛りに鯉の家 (たずねくばらっかさかりにこいのいえ)
◦皮剥いて春筍の小まいこと (かわむいてはるたけのこのこまいこと)
◦友去ねば竹の秋風騒ぎ立つ (ともいねばたけのあきかぜさわぎたつ)
◦櫻樹下婆ら約すもさりながら (さくらじゅかばばらやくすもさりながら)
◦満開の櫻に余白埋めている (まんかいのさくらによはくうめている)
◦遅なりの実を取り尽くす鳥曇 (おそなりのみをとりつくすとりぐもり)
◦カラオケのボックス出れば養花天 (カラオケのボックス出れば養花天)
◦釈奠の廟堂清く白蓬 (せきてんのびょうどうきよくしろよもぎ)
◦開帳の薄燈に立つ薬師像 (かいちょうのはくとうにたつやくしぞう)
◦卵の黄身をそのままにイースター (たまごのきみをそのままにふっかつさい)
◦荒縄を腰に巻かんや受難節 (あらなわをこしにまかんやじゅなんせつ)
◦子を連れて帰ってくると四月馬鹿 (こをつれてかえってくるとしがつばか)