竹の秋

           〇音に聞く嵯峨野の悲恋竹の秋

              (おとにきくさがののひれんたけのあき)

          

            〇横笛を返す滝口竹の秋      河童三子

            〇竹の秋つひ山路へ足の向く    々

            〇足跡の繁き行き来や竹の秋    々

From Buru to grandson

     

   〈此の一句〉

   〇山音を句帳に拾ふ竹の秋     橋本良子(不詳)

田水

           〇米作る田水満ちきて恙なし

             (こめつくるたみずみちきてつつがなし)

         

           〇田水来る日の雨降って捗りぬ    河童三子

           〇田水引くその日蛙の初啼きに    々

           〇田水張って土の匂ひの夫婦かな   々

From Buru to grandson

 

   〈此の一句〉

   〇田水張りつめ花道を帰るごと     折井真琴(不詳)

十三詣り

              〇虚空蔵睨んで帰る智慧詣

              (こくうぞうにらんでかえるちえまいり)

              

              〇十三詣憎まれ口も智慧の内     河童三子

              〇虚空蔵振り返らずに知恵詣     々

              〇孫よりも己に欲しき智慧詣     々

From Buru to grandson

      

   〈此の一句〉

   〇渡月橋渡り安堵の智恵     新村千博(不詳)

            〇碇泊船冲に浮かべて海朧

             (ていはくせんおきにうかべてうみおぼろ)

         

            〇弓張月朧が包む世の乱れ    河童三子

            〇遠回りせし散歩の径の朧かな  々

            〇沖をゆく船の警笛朧の夜    々

From Buru to grandson

    

   〈此の一句〉

   〇まんまるな山々なぶ朧哉     寺田寅彦(1878━1935)

目借り時

            〇玄関のベル鳴る蛙の目借り時

              (げんかんのベルなるかえるのめかりどき)

          

           〇目借り時ヘアピンカーブの夢に覚む   河童三子

           〇目借り時本格的に寝てしまふ      々    

           〇一人居は気儘よ蛙の目借り時      々

           〇目借り時珈琲二杯飲んでみる      々  

           〇二杯目の珈琲蛙の目借り時       々        

From Buru to grandson

      

   〈此の一句〉

   〇目借時ゆふべのままの紙とペン     井上雪(1931━1999)

雀の子

          〇雀の子殻けちらして口開ける

              (すずめのこからけちらしてくちあける)

         

          〇子雀の産毛吹かれる雨あがり    河童三子

          〇巣を落ちてくねくね転ぶ雀の子   々

          〇雀の子三歩あるひて二度ころぶ   々

From Buru to grandson

       

   〈此の一句〉

   〇雨上るらし子雀と親雀     高木晴子(1915━2000)

春雷

            〇春雷や冲へ去りゆく朝嵐

             (しゅんらいやおきへさりゆくあさあらし)

          

           〇未明の窓ピンクに染めし春の雷    河童三子

           〇春雷に覚めて朝寝の床を立つ     々

           〇春雷や君の車に手をふれば      々

From Buru to grandson

      

   〈此の一句〉

   〇火柱を見し春雷の地中海     森田峠(1924━2013)