噴水

          〇噴水のない町湧き水ゆたかに

             (ふんすいのないまちわきみずゆたかに)

         

          〇噴水の一日影の一つも無し      河童さん子

          〇噴水に躓くリズム繰り返す      々

          〇彩やかに夜の噴水装へる       々

          〇噴水に転調のある最終章       々

From Buru to grandson

   〈此の一句〉

   〇退職す駅前噴水にも別離     成瀬桜桃子(1925━2004)      

 

祇園祭

           〇祇園会の神輿洗に鷺の舞ひ

             (ぎおんえのみこしあらいにさぎのまい)

          

            〇かまきり山西洞院しずしずと    河童三個

            〇洛北の鉾なき町の鉦の音も     々

            〇祇園会や四条通りの鉦一色     々

From Buru to grandson 

 

   〈此の一句〉

   〇京洛の喝采を浴び鉾回す     東野淑子(不詳)

道おしえ

          〇ハンミョウや道路工事の先にたち

             (ハンミョウやどうろこうじのさきにたち)

          

           〇斑猫(はんみょう)の服ほしと子がねだる  河童三子

           〇斑猫に誘はれ行きて道違ふ        々

           〇小径蔭桃源郷へ道をしへ         々

           〇斑猫やクリムトの絵へ紛れこむ      々

          

 

 

   〈此の一句〉

   〇道をしへ止るや青く叉赤く     阿波野青畝(1899━1992)

水母   

           〇音も無く抗ふことも無き水母

              (おともなくあがらうこともなきくらげ)

          

           〇吾五体水に浮きたる海月かな     河童三子

           〇彗星は宙を漂ふ海月かな       々

           〇エルニーニョ月夜に悪夢みる海月   々   

From Buru to grandson

 

   〈此の一句〉

   〇海月にもなりたく人も捨てがたく     藤田湘子(1926━2005)

パリー祭

            〇パリー祭大聖堂に傘忘る

              (パリーさいだいせいどうにかさわする)

           

            〇ミサに記す漢字の名前パリー祭    河童三個

            〇パリー祭トリコロールの顔笑ふ    々

            〇革命に燃ゆ十代やパリー祭      々

From Buru to grandson

 

   〈此の一句〉

   〇降り出せば底ぬけの雨巴里祭     鍵和田ゆう子(1932━2020)

甲虫

          〇甲虫仰向けにねてカフカ読む

              (かぶとむしあおむけにねてカフカよむ)      

            

            〇甲虫父より母を好きと言ふ     河童三個

            〇六本の足で悲しむ甲虫       々

            〇ある朝のベッド出られぬ甲虫    々

From Buru to grandson

 

   〈此の一句〉

   〇兜虫裏返しても捻子見えず     能村登四郎(1911━2001)

青田

            〇青サギの斎田の青田しのび脚

              (あおさぎのさいたのあおたしのびあし)

          

           〇朝靄の青田の中の二羽の鷺      河童三子

           〇カルガモの親子泳がす青田かな    々

           〇天領の青田に金の紐引かる      々

From Buru to grandson

 

   〈此の一句〉

   〇虹の中人歩き来る青田かな     松本たかし(1906━1956)