2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

炎帝

◦炎帝や山なき街の信号機 (えんていややまなきまちのしんごうき)

木槿

◦白むくげ角を曲がれば新居かな (しろむくげかどをまがればしんきょかな)

夕立

◦夕立に見知らぬ町のディジャブかな (ゆうだちにみしらぬまちのヂィジャブかな)

炎昼

◦炎昼や鴉も口を開けにけり (えんちゅうやからすもくちをあけにけり)

揚羽蝶

◦箱庭にガリバーのごと揚羽蝶 (はこにわにガリバーのごとあげはちょう)

扇風機

◦節電の夏扇風機燃え尽きる (せつでんのなつせんぷうきもえつきる)

暑し

◦暑い暑しに重なって暑さかな (あついあつしにかさなってあつさかな)

青りんご

◦引っ越しに旅の途中や青りんご (ひっこしにたびのとちゅうやあおりんご)

緑陰

◦キャンパスの緑陰行けば明日の声 (キャンパスのりょくいんゆけばあすのこえ)

蝉しぐれ

◦東より西に流れて蝉しぐれ (あずまよりにしにながれてせみしぐれ)

風鈴

◦風鈴の縺れて音を失いし (ふうりんのもつれておとをうしないし)

外寝

◦外寝して憚るものなし老婆かな (そとねしてはばかるものなしろうばかな)

盛夏

◦海のあお空より碧く盛夏かな (うみのあおそらよりあおくせいかかな)

梅雨明け

◦梅雨明けて農夫の顔の夕焼くる (つゆあけてのうふのかおのゆうやける)

日々草

◦日々草咲いたり散ったり古稀近し (にちにちそうさいたりいったりこきちかし)

百日草

◦百日草その重なりの朱を厭ふ (ひゃくにちそうそのかさなりのしゅをいとう)

千日紅

◦幼日の翳りの中に千日紅 (おさなひのかげりのなかにせんにちこう)

暑中見舞い

◦雨止まぬ暑中見舞ひを書きし儘 (あめやまぬしょちゅうみまいをかきしまま)

梅雨出水

◦予報士の未曾有のことと梅雨出水 (よほうしのみぞうのこととつゆでみず)

◦大瀧のスクリーンの前人を待つ (おおたきのスクリーンのまえひとをまつ)

◦街中の黴呑めよ市の焼却炉 (まちじゅうのかびのめよしのしょうきゃくろ)

朝涼

◦朝涼や内海に漁の音軽し (あさすずやうつみにりょうのおとかるし)

鬼燈市

◦浅草に鬼燈市や江戸気質 (あさくさにほおずきいちやえどかたぎ)

羊蹄の花

◦羊蹄の花にぎにぎし海に出る (ぎしぎしのはなにぎにぎしうみにでる)

水無月

◦水無月の田水をぬいて冷夏かな (みなづきのたみずをぬいてれいかかな)

夏蒲団

◦遠雷を幽かに胸の夏掛布 (えんらいをかすかにむねのなつかけふ)

蛞蝓

◦蛞蝓の句集綴れば銀の道 (なめくじのくしゅうつづればぎんのみち)

雲の峰

◦雲の峰今宵の月を予感かな (くものみねこよいのつきをよかんかな)

蜘蛛の子

◦蜘蛛の子の湧いて虚空に放射線 (くものこのわいてこくうにほうしゃせん)

七月

◦慟哭に好し七月の男雨 (どうこくによしひちがつのおとこあめ)