2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧
◦真言の鐘に飛び立つ鴉の子 (しんごんのかねにとびたつからすのこ)
◦家鳩の峰を回りて朝焼ける (いえばとのみねをまわりてあさやける)
◦歳時記と終の栖を蛍哉 (さいじきとついのすみかをほたるかな)
◦山畑のあっけらかんと夏みかん (やまはたのあっけらかんとなつみかん)
◦山桃の熟れて深紅が手に妖し (やまもものうれてしんくがてにあやし)
◦木の又の苦行めきたる蝸牛 (きのまたのくぎょうめきたるかたつむり
◦ある朝の老ひ著し梅雨籠る (あるあさのおいいちじるしつゆこもる)
◦滴りの光集まる散華かな (したたりのひかりあつまるさんげかな)
◦梅雨冷や仔猫が並ぶ戸口かな (つゆびえやこねこがならぶとぐちかな)
◦斎場に骨待つ人のビールかな (さいじょうにほねまつひとのビールかな)
◦冷や酒という距離感に夏の酒 (ひやざけというきょりかんになつのさけ)
◦止まるべき位置決めかねて梅雨の蝶 (とまるべきいちきめかねてつゆのちょう)
◦潮騒の不協和音や梅雨滂沱 (しおざいのふきょうわおんやつゆぼうだ)
◦わが生のアディショナルタイム夏料理 (わがせいのアディショナルタイムなつりょうり)
◦華厳経聴きて水上ぐ額の花 (けごんきょうききてみずあぐがくのはな)
◦父の日や声変わりせぬ妻のいて (ちちのひやこえがわりせぬつまのいて)
◦山梔子の夕こそ甘き罠に満つ (くちなしのゆうこそあまきわなにみつ)
◦満月の夜もあり梅雨の晴れ間かな (まんげつのよもありつゆのはれまかな)
◦どくだみの絵手紙描きて香も入りぬ (どくだみのえてがかきてかもいりぬ)
◦少年や天道虫は七つ星 (しょうねんやてんとうむしはななつぼし)
◦星みれば天道虫だましばかり (ほしみればてんとうむしだましばかり)
◦淡々と世の風受くる余り苗 (たんたんとよのかぜうくるあまりなえ)
◦朴の花また突然の訃を受くる (ほうのはなまたとつぜんのふをうくる)
◦梅雨晴間一本道は温泉への道 (つゆはれまいっぽんみちはゆへのみち)
◦雨うけて蛍袋の一重かな (あめうけてほたるぶくろのひとえかな)
◦梅雨籠亀も頸出し思案顔 (つゆごもりかめもくびだししあんがお)
◦街灯の雨集めおり梅雨ふける (がいとうのあめあつめおりつゆふける)
◦梅雨入りして傘欲るらしい燕かな (ついりしてかさほるらしいつばめかな)
◦年々に腕寂しき夏ごろも (ねんねんにかいなさびしきなつごろも)
◦芥子の花あんぱんにある実を思う (けしのはなあんぱんにあるみをおもう)