2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

烏の子

〇朝シャンに乳のにをひや烏の子 (あさシャンにちちのにおいやからすのこ) 〇烏の子寵愛さるる一人っ子 河童三子 〇暗き森明日出ようと烏の子 々 〇烏の子黒衣纏ひて寺の門 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇親烏子烏に山深き湖 高木晴子(1915━20…

夏帽子

〇靴箱の横へ重ねし我が夏帽 (くつばこのよこへかさねしわがなつぼう) 〇庭用と外出用や夏帽子 河童三子 〇夏帽子がんの予後とて深き鍔 々 〇仏壇に麦わら帽の夫の遺影 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇夏帽や人の好みの面白く 星野立子(1903━19…

尺取虫

〇老眼を嘆きし大工尺取虫 (ろうがんをなげきしだいくしゃくとりむし) 〇尺取虫腰を伸ばして天仰ぐ 河童三子 〇尺蠖(しゃくとり)の鳥の気配に枝と化す 々 〇尺蠖(しゃくとり)やテーラーの窓に離れず 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇尺蠖に瀬…

雨蛙

〇雨蛙最も早き梅雨明けり (あまがえるもっともはやきつゆあけり) 〇枝蛙椀の糸尻擦るかな 河童三子 〇一オクターブ外して唄ふ雨蛙 々 〇雨蛙グミを摘まみし心地かな 々 From Buru to grandoson 〈此の一句〉 〇雨蛙西日移りて林檎炎ゆ 飯田龍太(1920━2007…

夏の蝶

〇停戦の沃土に翔り夏の蝶 (ていせんのよくどにとべりなつのちょう) 〇教会のステンドガラス夏の蝶 河童三子 〇掬い上ぐ瓦礫に留まる夏の蝶 々 〇夏の蝶美術館出て水の庭 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇森で逢びき正方形の夏の蝶 寺山修司(193…

夏燕

〇いそいそと巣を塗り替へて夏燕 (いそいそとすをぬりかえてなつつばめ) 〇先の子に囃されてゐる夏燕 河童三子 〇夏燕ランドセルの子背が伸びて 々 〇夏燕リホームの土銜へけり 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇安房は手を広げたる国夏つばめ 鎌…

虎が雨

〇虎が雨インバウンドの客襲ふ (とらがあめインバウンドのきゃくおそう) 〇虎が雨河童の吾は皿に受く 河童三子 〇天井にビニール貼るや虎が雨 々 〇虎が雨隣の枇杷を落すかな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇虎が雨情の深きは恨みに似 西村和子…

蛞蝓

〇なめくじり一筋銀の道残す (なめくじりひとすじぎんのみちのこす) 〇衣も家も持たぬ蛞蝓(なめくじ)伝道す 河童三子 〇雨に出て蛞蝓雨を讃えけり 々 〇なめくじり衣食住のキャベツかな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇子の後の机待つなり蛞蝓…

捩り花

〇忘れたり思い出したり捩り花 (わすれたりおもいだしたりねじりばな) 〇ひたすらに螺旋を登る捩り花 河童三子 〇吉里吉里と空をめざして捩り花 々 〇文字摺や濃淡かすれ草書体 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇ねじ花を登りつめての離陸かな 星…

夏至

〇夏至の日や救急車呼ぶ長き一日 (げしのひやきゅうきゅうしゃよぶながきひとひ) 〇夏至の日の仕事に長き日となりし 河童三子 〇夏至の日や大工仕事の捗りて 々 〇草刈て夏至の太陽豊かなり 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇夏至ゆうべ地軸の軋む…

十薬

〇格子の下十薬咲かす京町屋 (こうしのしたじゅうやくさかすきょうまちや) 〇ドクダミの毒気ぬかれて咲きにけり 河童三子 〇十薬踏んで薬箱ぶち撒ける 々 〇廃屋の裏明るし十薬の花 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇十薬の蕊高くわが荒野なり 飯…

青嵐

〇山上の老人ホーム青嵐 (さんじょうのろうじんホームあおあらし) 〇山椒の佃煮焦がす青嵐 河童三子 〇山上の垂訓を聞く青嵐 々 〇青嵐障子の破れ指の穴 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇蝶を生み蝶を失ふ青嵐 篠原温亭(1872━1926)

毛虫

〇グルメの毛虫ミント裸にしてしまふ (グルメのけむしミントはだかにしてしまう) 〇芋虫に揚羽の情をかけにけり 河童三子 〇極採色神にもらひし毛虫かな 々 〇柿の葉や毛虫の昼餉連なりて 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇短夜や毛虫の上に露の玉…

〇塀の角栖にするや黴の花 (へいのかどすみかにするやかびのはな) 〇見える目で見れば美し黴の花 河童三子 〇花咲いて花粉も飛びぬ黴の花 々 〇黒黴や悪魔の帽子被せらる 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇辞書の黴いくさ経てきしわが人生 浜芳女…

栗の花

〇雨の日の胸のモヤモヤ栗の花 (あめのひのむねのもやもやくりのはな) 〇靄かかる頭の中や栗の花 河童三子 〇怪しげに花栗匂ふ宵の暮 々 〇トンネルを抜けて一面栗の花 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇ふきかへて栗の花散る藁家かな 村上鬼城(1…

父の日

〇父の日や戦争語る人のなく (ちちのひやせんかたるひとのなく) 〇父の日や父に抱かれし記憶なく 河童三子 〇父の日や火宅の父が蘇える 々 〇父の日や父の酒豪を吾が継ぎ 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇ガニ股に歩いて今日は父の日か 能村登四…

夏カレー

〇伽厘ゐ屋の海見る席のノースリーフ (かりいやのうみみるせきのノースリーフ) 〇梅雨靄や部屋にカレーの香を充たす 河童三子 〇ローリエを二枚泛かせて夏カレー 々 〇思い切り汗かきたくてカレーの日 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇カレー喰っ…

燕の子

〇雨風を翼の下に燕の子 (あめかぜをつばさのしたにつばめのこ) 〇燕の子ずぶ濡れの親待ちにけり 河童三子 〇箱置かれ上見上げれば燕の子 々 〇吾が軒に子燕はなく捨てをかる 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇燕の子たちまち競はねばならぬ 山田…

桑の実

○枝引いて桑の実食ふるイギリス人 (えだひいてくわのみたふるイギリスじん) 〇桑の実の落ちて踏まれし道黒し 河童三子 〇桑の実や指まっ黒にして摘みにけり 々 〇桑の実の甘酸っぱき郷愁に 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇古桑の実のこぼれたる…

六月

〇六月やきのふ回わしぬ砂時計 (ろくがつやきのうまわしぬすなどけい) 〇六月のタクシーを待つ花嫁と 河童三子 〇六月や後ろ姿に立つ青年 々 〇六月の霧に溺れて少し老ゆ 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇六月の女すわれる荒莚 石田波郷(1913━19…

紫陽花

〇七変化八仙花みんな紫陽花 (しちへんげはっせんかみんなあじさい) 〇あじさゐの郷や八人八仙花 河童三子 〇ころころと土手転がるや手鞠花 々 〇アジサイと言ふ名を忘れ四葩(よひら)見る 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇紫陽花や筧に口をそゝ…

梅雨入り

〇梅雨入りして靄の底なる重さかな (ついりしてもやのそこなるおもさかな) 〇梅雨入りかと疑問符つけて気象庁 河童三子 〇梅雨入りしてすぐ線状降水帯 々 〇雪舟の朦朧体や梅雨入かな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇入梅を告ぐオムレツの黄なる…

虞美人草

〇やはらかく人を殺めし虞美人草 (やわらかくひとをあやめしぐびじんそう) 〇虞美人草創めに言葉ありけりと 河童三子 〇紅く咲けば虞美人草を想ひけり 々 〇首垂れてもの想うかな虞美人草 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇虞美人草のしきりに曲り…

衣更

〇シンプルに着まわしていく衣更 (シンプルにきまわしていくころもがえ) 〇うら寒き予後の内なる衣更 河童三子 〇マネキンの胸の膨らみ衣更 々 〇ひらひらと蝶透きけるや衣更 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇衣更へて魚のこころで町に出る 能村…

菖蒲

〇一色に在らぬ菖蒲の咲き揃ふ (いっしょくにあらぬあやめのさきそろう) 〇池の水丸く菖蒲の丸く寄る 河童三子 〇田の文字をなぞって歩く菖蒲園 々 〇車椅子に菖蒲の道を譲りけり 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇菖蒲田と植田と水を分ち合うふ …

蠅虎

〇囲碁を見る傍目八目蠅虎 (いごをみるおかめはちもくはえとりぐも) 〇パソコンの角を陣取る蠅虎 河童三子 〇蠅虎戦車のやうに動きけり 々 〇軽々と蠅取蜘蛛の跳びにけり 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇蠅虎の一尺跳んで昼深し 橋本栄治(1947━…

蜜柑の花

〇マドンナや甘き香りや花蜜柑 (マドンナやあまきかおりやはなみかん) 〇我が家まで蜜柑の花と瀬戸の海 河童三子 〇この丘の花の香りにミカン咲く 々 〇遥かなる瀬戸の花嫁みかん咲く 々 From Buru to grandoson 〈此の一句〉 〇初夏の星座だ蜜柑の花がに…

心太

〇ガラス器へ雲の如くに心太 (ガラスきへくものごとくにところてん) 〇心太琳派の水を描く如く 河童三子 〇心太すずしく喉を通りけり 々 〇過去のことするりと忘れ心太 々 From Buru to grandoson 〈此の一句〉 〇心太煙のごとく沈みをり 日野草城(1901━1…

海芋

〇花嫁のカラーのブーケ空に舞ふ (はなよめのカラーのブーケそらにまう) 〇真っ白のウエディングドレス海芋咲く 河童三子 〇清らかな水の流れへ海芋(かいう)咲く 々 〇穢れなき時の短く海芋咲く 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇湧水の流るる町…

青時雨

〇噴水に混じりて気負ふ青時雨 (ふんすいにまじりてきおうあおしぐれ) 〇マンションの上のクレーン青時雨 河童三子 〇青梅を落として走る青時雨 々 〇青時雨結婚式の鐘が鳴る 々 From Buru to grandoson 〈此の一句〉 〇夕日さす波の鯨や片しぐれ 早野巴人…