2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ハロウィン

〇ハロウィンやケルトの民は古に (ハロウィンやケルトのたみはいにしえに) 〇ハロウィンや魔力抜かれて養老院 秋甫 〇ハロウィンの日の鞍馬の天狗見て帰る 々 〇大阪のおばちゃんの飴ハロウィン 々

後の月

〇芋も豆も豊穣ににて後の月 (いももまめもほうじょうににてのちのつき) 〇後の月鞍馬山より上りけり 秋甫 〇貴船路の瀬水に映す後の月 々 〇後の月鞍馬の天狗栗採りに 々

十三夜

〇癌宣告後の処置待つ十三夜 (がんせんこくのちのしょちまつじゅうさんや) 〇十三夜すべり台の上月二つ 秋甫 〇行ずりに鞄もたせる十三夜 々 〇一つ手前に電車降るる十三夜 々

冬仕度

〇入院の荷を嵩張らせ冬仕度 (にゅういんのにをかさばらせふゆしたく) 〇水鳥の申し送りに冬仕度 秋甫 〇マンションの窓に鵯来て冬仕度 々 〇北山の橡騒ぐや冬仕度 々

めはじき

〇めはじきや他人の目の塵わが目の梁 (めはじきやひとにめのちりわがめのはり) 〇めはじきや十九の孫の思いやり 秋甫 〇めはじきの眉毛と瞳眉毛と目 々 〇母に似て癌を宿すや益母草 々

銀杏

〇銀杏の落ちて国立大学校 (ぎんなんのおちてこくりつだいがっこう) 〇法の文字みては銀杏ひろっては 秋甫 〇銀杏の踏み砕かれし明日入院 々 〇銀杏の樹に柵あるも出る実かな 々

爽やか

〇爽やかや高野川から鴨川へ (さわやかやたかのがわからかもがわへ) 〇爽やかに癌宣告す若き医師 秋甫 〇爽やかにサンドイッチのレタスかな 々 〇爽やかや斜陽綺羅なす大欅 々

蜉蝣

〇蜉蝣や恋も歌へづ把持子のみ (かげろうやこいもうたえずはじしのみ) 〇蜉蝣の集団交尾に生まれけり 秋甫 〇蜉蝣にもの食む口もなかりけり 々 〇蜉蝣の何億世代も吾生きて 々

秋霖

〇がん検査終へ秋霖の街へ出る (がんけんさおえしゅうりんのまちへでる) 〇秋霖へサンダル履きで塵捨てに 秋甫 〇秋霖や菜の畝を雨が侵しぬ 々 〇秋の雨昼の机に灯を燈す 々

くさびら(茸)

〇夢の中紅くさびらに追われけり (ゆめのなかべにくさびらにおわれけり)) 〇狂言のくさびらを子におしえられ 秋甫 〇くさびらやCTは薄切りにする 々 〇くさびらの胞子飛びゆく海の町 々

残る虫

〇残る虫予備校生の夜の道 (のこるむしよびこうせいのよるのみち) 〇まぎれなき夜は一つや残る虫 秋後 〇鳴けばまた朝(あした)またれる残る虫 々 〇さよならはからっと言へよ残る虫 々

鵙日和

〇窓の陽に欅が揺れる夕の鵙 (まどのひにけやきがゆれるゆうのもず) 〇園の子が藷の蔓曳く鵙日和 秋甫 〇MRI出て加茂川沿いの鵙の聲 々 〇京大の寮に檄文鵙の聲 々

鵙の贄

〇風吹くや断捨離もよき鵙の贄 (かぜふくやだんしゃりもよきもずのにえ) 〇見晴らしの良き枝にあり鵙の贄 秋甫 〇鵙の贄わが生もまた枝の先 々 〇体内の臓器透影鵙の贄 々

秋の暮

〇ママチャリに子を前後ろ秋の暮 (ママチャリにこをまえうしろあきのくれ) 〇トートバッグに大根見えし秋の暮 秋甫 〇信号で車はどっと秋の暮 々 〇市バスより人吐き出して秋の暮 々

新米

〇独り居の小炊きに光る今年米 (ひとりいのこだきにひかることしまい) 〇新米の名は古里の鹿の森 秋甫 〇かな釘の字で従弟より今年米 々 〇新米に水控えめの慣わしに 々

〇茸山とて俯きに登りけり (きのこやまとてうつむきにのぼりぬ) 〇古里に初恋思う茸汁 秋甫 〇古里の平茸入れてホイル焼き 々 〇長き物丸きものなど茸鍋 々

〇故郷の柿は裏作枝の風 (ふるさとのかきはうらさくえだのかぜ) 〇古里は朝日の中に柿三つ 秋甫 〇太秦の柿ゆらし行く電車かな 々 〇ふるさとの柿は四角く成ってゐる 々

灯火親し

〇灯火親し亭主動かぬ古本屋 (とうかしたしていしゅうごかぬふるほんや) 〇灯火親しまた戻る昨日のページ 秋甫 〇本閉じてスマホ手繰る灯火親し 々 〇灯火親し古のランプ磨きゐし 々

団栗

〇卓上に団栗ならべととろの森 (たくじょうにどんぐりならべととろのもり) 〇団栗落つ京北山の法の下 秋甫 〇団栗や池のボートの上へ落つ 々 〇ポケットのどんぐり鹿と分け合ひぬ 々

とろろ芋

〇食べ切りの麦飯焚いてとろろ汁 (たべきりのむぎめしたいてとろろじる) 〇裏山に笹鳴る夜のとろろ汁 秋甫 〇とろろ汁真っ白なまま啜りけり 々 〇乳房取る宣告受けしとろろ汁 々

〇言偏の藷は姦し娘かな (ごんべんのいもはかしましむすめかな) 〇スーパーの入り口藷の焼ける香に 秋甫 〇新藷の紅や紫金時や 々 〇新藷は籾殻に寝て甘い夢 々

生姜

〇新生姜甘酢に漬けて娘に土産 (しんしょうがあまずにつけてこにみやげ) 〇はじかみを噛んで粋がるそぞろ寒 秋甫 〇恥じらいの薄桃色に新生姜 々 〇じゃこ味噌に新生姜のせ病人食 々

金木犀

〇金木犀いまが盛りに雨ふりぬ (きんもくせいいまがさかりにあめふりぬ) 〇花時の決まって風雨金木犀 秋甫 〇木犀の意外に脆く散ることよ 々 〇金木犀三日目も雨となり 々

きぬかつぎ

〇衣被京で食べれば京料理 (きぬかつぎきょうでたべればきょうりょうり) 〇衣被かくれてるのに脱がされて 秋甫 〇衣被頭かくして尻隠さず 々 〇手を抜いてレシピにもある衣被 々

田村草

〇田村草母追う夢に夜具ずらし (たむらそうははおうゆめにやぐずらし) 〇オカリナの音と風の音と田村草 秋甫 〇田村草あざみに増してか弱けり 々 〇故郷を思えば秋の田村草 々

万年青の実

〇剣のすき見せぬ万年青に実の成りて (けんのすきみせぬおもとにみのなりて) 〇裏店の独り住居に万年青の実 秋甫 〇万年青の実喜寿も傘寿も馬肥ゆる 々 〇戸を閉てて庭見回れば万年青の実 々

朝寒

〇朝寒や長シャツを逗留の荷に (あささむやながシャツをとうりゅうのにに) 〇朝寒や七分粥など炊いてみる 秋甫 〇朝寒のポストは新聞休刊日 々 〇朝寒を海へ問えば海はセピアに 々

秋冷

〇秋冷や入院の汝に送らるる (しゅうれいやにゅういんのなにおくらるる) 〇雨冷えや宵の塒(ねぐら)へ鴉飛ぶ 秋甫 〇ひやひやと吾胸にある癌細胞 々 〇秋冷の真夜の階段軋しませる 々

秋思

〇秋さびし磨崖におわす大耳仏 (あきさびしまがいにおわすだいじぶつ) 〇封印の医者の封書に秋憂う 秋甫 〇秋憂うナイフとフォーク前にして 々 〇食欲のなきこと憂う秋思かな 々

今日の月

〇毀れもの胸に抱いて今日の月 (こわれものむねにだいてきょうのつき) 〇わが事は思い包みし今日の月 秋甫 〇望月の暈きてどこか潤み顔 々 〇望月やもうこれまでかとも思う 々