2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四月尽

〇立ったけど次を忘るる四月尽 (たったけどつぎをわするるしがつじん) 〇あれやこれやまだ夢の中四月盡 河童三子 〇余花残花など言われ四月終る 々 〇四月盡再生の夢忘れ難き 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇夜具の下畳つめたき四月尽 橋本多佳子(1899━1963)

〇雨衝ゐて一番隊の燕かな (あめついていちばんたいのつばめかな) 〇海近き棚田値踏みす初燕 河童三子 〇旋回の燕揺るがす苗田水 々 〇窓に燕来天金の聖書欲し 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇燕にしばしあずける舎かな 斯波園女(1664━1726) (やどり) (…

潮干狩り

〇江の島へ掘って渡るか潮干狩り (えのしまへほってわたるかしおひがり) 〇塩入れてマテ貝を待つ潮干狩 河童三子 〇潮干狩どっかり尻を据えにけり 々 〇放送に迷ひ子が泣く潮干狩 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇顔上げて口紅濃しや潮干狩 岸本尚毅(1961━)

鼓草

〇純白のお色直しや鼓草 (じゅんぱくのおいろなおしやつづみぐさ) 〇蒲公英や白装束に旅立てり 河童三子 〇黄タンポポお色直しの白整ふ 々 〇鼓草ポンと敲けば昇華かな 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇蒲公英に置く廃港の錆錨 福田蓼汀(1905━198)ふくだりょ…

黄砂

〇崑崙を越へタクラマカンの黄砂来る (こんろんをこえタクラマカンのこうさくる) 〇日本海瀬戸内海経て霾(つちふ)るや 河童三子 〇霾(つちふ)るや狸とてゐる山見せず 々 〇工場の煙隠して霾(つちふ)るや 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇ジンギスカン走…

開帳

〇開帳や曼荼羅仏の薄眼開く (かいちょうやまんだらぶつのうすめあく) 〇開帳や弥勒菩薩の薬指 河童三子 〇印結ぶ大日如来御開帳 々 〇天平の仏衣の襞や御開帳 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇開帳の仏は焦げて在しけり 村井渓雪(不詳)

春昼

〇春昼の頭こっくり頷けり (しゅんちゅうのあたまこっくりうなずけり) 〇春昼やキャベツが届く蝶つれて 河童三子 〇春昼やこくりこっくり老ひゆかむ 々 〇春昼や釣り舟一つ光る海 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇春昼や代官坂に猫の飯 堀川けい子(不詳)

行く春

〇フランシスコ南の海に春尽くる (フランシスコみなみのうみにはるつくる) 〇行春や聖書の卓に訃を聞きぬ 河童三子 〇教会の数多の鐘や春逝きぬ 々 〇行く春にバチカン広場守る衛兵 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇ゆく春や身に倖せの割烹着 鈴木真砂女(1906…

麗か

〇珈琲の香やうららにいづる旭かな (こーひーのかやうららにいづるあさひかな) 〇麗かや北斎の鯨の目笑ふ 河童三子 〇手詰めジャム麺麭にたっぷり麗らけし 々 〇麗かや瞼閉じればうらうらと 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇麗らかに捨てたるものを惜しみけり …

罌粟

〇午後の陽にはらり散華や罌粟の花 (ごごのひにはらりさんげやけしのはな) 〇罌粟の朱のどこか狂気を孕むらし 河童三子 〇罌粟の花午後は頭痛の予感かな 々 〇引き籠る子の瞳(め)に光る罌粟の花 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇屋上で罌粟を蒔き扶養家族なし…

〇朝掘りの筍もろて大鍋かりに (あさほりのたけのこもろておおなべかりに) 〇膝がしらほどの筍よおけもろた 河童三子 〇大筍ブスと包丁通しけり 々 〇まずはまあ筍飯と木の芽和え 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇筍の光放ってむかれた…

山笑ふ

〇はふはふと歯抜けの口や山笑ふ (はふはふとはぬけのくちややまわらう) 〇吾窓へ二つ連なるなる笑ふ山 河童三子 〇山笑ふごと晴れやかに老ひたしや 々 〇行くさきに尼寺の在り山笑ふ 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇山笑ふ日の古障子…

落花

〇一瞬の飛翔も在りて落花かな (いっしゅのひしょうもありてらっかかな) 〇ある時は飛ぶかに見えて吾落花 河童三子 〇落花の道自動車の舞い上げて行く 々 〇ヨナのごと鯉は落花をパクと吐く 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇飛花落花乱…

春闌ける

〇春闌ける鍋掻きまわしジャムを煮る (はるたけるなべかけまわしジャムをにる) 〇むらむらと妬み心に春闌ける 河童三子 〇変心の芽もゆらゆらと春闌ける 々 〇春闌けるマグマの如くジャムを煮し 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇カステラと聖書の厚み春深し 岩…

苗代

〇苗代や農学生の半ズボン (なわしろやのうがくせいのはんズボン) 〇苗代や水田の雲の上歩く 河童三子 〇育苗の覆ひ取られて青田かな 々 〇苗代の名に小町とかひとめぼれ 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇李咲く村苗代をかがやかす 萩原麦草(1894━1965)

亀鳴く

〇亀鳴くや桃花譚より戻りしと (かめなくやとうかたんよりもどりしと) 〇鳴く亀に吾前世を訊いてみむ 河童三子 〇亀鳴くや冲より晴れて山の雲 々 〇こつと鳴る座骨の音や亀の鳴く 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇亀鳴くや源兵衛堀の河…

菜種梅雨

〇碇泊のタンカー三日菜種梅雨 (ていはくのタンカーみっかなたねつゆ) 〇菜種梅雨アオサギ歩く水田かな 河童三子 〇軒下へ物みな並ぶ菜種梅雨 々 〇菜種梅雨下駄を履かざる三日かな 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇わが魔羅の日暮の色…

啄木忌

〇啄木忌地を犯すごと田水くる (たくぼくきちをおかすごとたみずくる) 〇詩のいのち吾にも呉よ啄木忌 河童三子 〇鳴き砂の砂泣かせをり啄木忌 々 〇啄木忌古き聖書の破れ易き 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇便所より青空見えて啄木忌…

朧月

〇白保人の裔なる吾や朧月 (さぶぴとぅのえいなるわれやおぼろづき) 〇モディリアーニ巴里に溺るる朧月 河童三子 〇朧夜やドラキュラは棺の中に 々 〇オペラ座から三辻目の路地朧月 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇ローマにて夫と仰ぎし朧月 品川鈴子(1932━2…

麦青む

〇雨の玉真っ直ぐ掴み麦青む (あめのたままっすぐつかみむぎあおむ) 〇青麦と冲行く船の濡れてをり 河童三子 〇青麦や海へ繋がる夢描かむ 々 〇海へ走る風の道より麦青む 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇青麦に日日沈む地の憂ひ 飯田…

春眠

〇春眠や剃髪の尼手招きす (しゅんみんやていはつのあまてまねきす) 〇春眠に句作の指を折りてをり 河童三子 〇春眠の目覚めるときの海の底 々 〇春眠や海穏やかに雲の下 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇春眠のあれはたしかにアマゾン…

雀の子

〇雀の子ちちチチ鳴ひて父呼ぶか (すずめのこちちちちなきないてちちよぶか) 〇子雀や首かたぶけて世間見る 河童三子 〇仔すずめの屑ねだりをるパン屋の軒 々 〇子すずめの胸の早鐘吾手中 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇仔雀の死して…

桜鯛

〇桜鯛鳴門の渦を見し目玉 (さくらだいなるとのうずをみしめだま) 〇桜鯛片目入りたる潮汁 河童三子 〇観潮のあと桜鯛食ぶ予定 々 〇ミロの絵の哀しみの彩桜鯛 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇南天の一枝飾りて桜鯛 高木晴子(1915━20…

竹の秋

〇寂庵の門閉ざされて竹の秋 (じゃくあんのもんとざされてたけのあき) 〇尼寺の裏一山の竹の秋 河童三子 〇竹の秋 オン バザラ タラマ キリク 々 〇御仏は千手観音竹の秋 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇雀飼ふ男ありけり竹の秋 原裕…

浜大根

〇浜大根貨物列車と長話 (はまだいこんかもつれっしゃとながばなし) 〇浜大根打ち捨てられし小舟かな 河童三子 〇捨て小舟浜大根の寄り添ひて 々 〇迷ひ来て夕暮れの風浜大根 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇日の暮れの浜大根の花に風…

花冷

〇掌に崩れし花弁花の冷え (てのひらにくずれしかべんはなのひえ) 〇烏二羽塀を飛び立つ花の冷え 河童三子 〇花冷の庭来る下駄の湿りかな 々 〇下の田に水引かれ入る花の冷 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇花冷や過去映すまで鏡拭く …

清明

〇清明や陶淵明の詩を吟ず (せいめいやとうえんめいのしをぎんず) 〇清明や窓開けて風いれにけり 河童三子 〇清明や平家平へ行く小径 々 〇王義之の臨書のぶとき清明節 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇清明や食卓に聴くアヴェマリア …

春灯

〇春灯や女の闇を娘と語る (しゅんとうやおんなのやみをことかたる) 〇停泊の冲より漏るる春燈(はるともし) 河童三子 〇春燈(はるともし)女の重荷とこしえに 々 〇わが窓に一つ零るる春燈 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇春灯の鈴…

春の海

〇この風も佳しと思ふや春の海 (このかぜもよしとおもうやはるのうみ) 〇春の海見て戻る娘や己が家 河童三子 〇吾が骨は春の海へと希ふかな 々 〇雨降って沈む日もある春の海 々 ブル便り 「となりのトトロ」より」 〈此の一句〉 〇春の海地図にまだなき橋…

桜餅

〇葉を噛めばプチと香のする桜餅 (はをかめばプチとかのするさくらもち) 〇桜もち娘も古妻の悩みもち 河童三子 〇桜もち蓬もちより色香もち 々 〇色恋の話などでて桜もち 々 ブル便り 「となりのトトロ」より 〈此の一句〉 〇桜餅夕暮山のごときもの 長谷…