2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧
◦寒濤の碎ける日々や聖書読む (かんとうのくだけるひびや聖書よむ)
◦北門と西門に塾受験の子 (きたもんとにしもんにじゅくじゅけんのこ)
◦現世へ還る日近し寒月下 (うつしよへかえるひちかしかんげっか) 満月を観てさめざめと泣いたのはかぐや姫、彼女には月が生まれ故郷です。また一方この世界は仮の世だという説もあり、煌々と照る寒の月を観ていると妖しい気持ちになりました。 足腰が弱く…
◦鷽替へてうっかり惚けを貰ひけり (うそかえてうっかりぼけをもらいけり) 新年の神事で、鷽替えといのがあるそうなのです。鷽という雀より少し大きい鳥をかたどった木札を交換したり、神官から新しいものに替えてもらう行事ということです。実際に参詣した…
◦芋植えて狼は手を白く塗る (いもうえておおかみはてをしろくぬる) 台所の窓から隣家のお百姓さんが早々とジャガイモを植えているのが見えました。(芋植える)は春の季語だったようにおもうのですが、外は寒波の空気が冷たくまだまだ春は遠くかんじられま…
◦喰い儘す快感覚ゆ冬籠り (くいつくすかいかんおぼゆふゆごもり) この機会に冷蔵庫の中の食材を全部消費してすっきりしたところで、次は自分自身の体内をもと思うのですが、これはまた別の仕切り直しが必要かもしれません。とりあえず今のところは食糧の備…
◦縁側にその日その日や冬の山 (えんがわにそのひそのひやふゆのやま) 今日はアルジェリアのテロ事件で無事だった7名と犠牲者9名が政府の専用機で帰国しました。(他に一名の死亡も確認)自身の日常とは全く別次元で展開していることに、それほど違和感も…
◦枯木星あす接ぐ枝を賜へ欲し (かれきぼしあすつぐえだをたまえほし) 夜になると寝室の窓の向こうには湾に沿って製紙の灯が点在しています。すぐ下に高い杉の木が6本ほどあって、その梢の上の方から星が窓を覗き込むように現れるのです。そんな星々を眺め…
◦古稀なれば五里は霧中か冬の橋 (こきなればごりはむちゅうかふゆのはし) 今年古稀を迎えます。去年の延長で新しい年齢を重ねるだけなのですが、あらためて古稀と言われてみますと、なんだか特別な歳になったのだと思われてきます。この時期川面には深い霧…
◦風邪見舞ひ窓で入るなと帰さるる (かぜみまいまどでいるなとかえさるる) 友人がA型のインフルエンザに罹ってしまいました。玄関には鍵がかかっていて横に回り居間のガラスを叩いて見舞を告げると、入ってはいけないと言って追い帰されてしまいました。
◦冬空や熟れきれずまま烏瓜 (ふゆぞらやうれきれずままからすうり)
◦大寒の星と煌めく製紙の灯 (だいかんのほしときらめくせいしのひ)
◦吉兆や南天に実の赤きこと (きっちょうやなんてんのみのあかきこと)
◦荘厳にあらまし今朝は雪の山 (そうごんにあらましけさはゆきのやま)
◦笹鳴や午後には雪になるそうな (ささなきやごごにはゆきになるそうな)
◦幼日を密かに蔵ふ龍の玉 (おさなひをひそかにしまうりゅうのたま)
◦小正月放蕩猫をちらと見る (こしょうがつほうとうねこをちらとみる)
◦石庭に成人の日の鷦鷯 (せきていにせいじんのひのみそさざい)
◦冬暁や製紙の煙たしかめり (とうぎょうやせいしのけむりたしかめり)
◦日溜りにクリケット打つ木霊かな (ひだまりにクリケットうつこだまかな)
◦一畝をまず畑に干す大根かな (一うねをまずはたにほすだいこかな)
◦往還に自転車軋む寒夜かな (おうかんにじてんしゃきしむかんやかな)
◦凍む耳の腑に入りけりな今朝の鐘 (しむみみのふにいりけりなけさのかね)
◦松とれて常の世にとや往く人の (まつとれてつねのよにとやゆくひとの)
◦新年の女子会盛る婆五人 (しんねんのじょしかいさかるばば五にん)
◦傍らに図鑑ひらきて若菜摘 (かたわらにずかんひらきてわかなつみ)
◦ぴしぴしと梁の軋みや寒の入 (ぴしぴしとはりのきしみやかんのいり)
◦初鴉まっ黒という凶引けり (はつがらすまっくろというきょうひけり)
◦正月や野仏も餅もらひけり (しょうがつやのぼとけももちもらいけり)
◦一年の都会が写る賀状かな (一ねんのとかいがうつるがじょうかな)