2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧
◦給水塔めざして来よと秋の雲 (きゅうすいとうめざしてこよとあきのくも)
◦楽譜見て理科先生の文化祭 (がくふみてりかせんせいのぶんかさい)
◦行く秋の風が転がすもの拾ふ (いくあきのかぜがころがすものひろう) 娘のいるマンションは道を挟んで北に森があって、竹と楢の木が秋風にサラサラ葉を鳴らしている。その風に乗って時折木の実がコロコロ坂道を転がって来る。大きく丸いのや、細長いもの、…
◦二科展を油絵具の香より出づ (にかてんをあぶらえのぐのかよりいづ) 愛知県立美術館のデュフィ展に入る。軽妙な線と明るい南仏を思わせる色彩は魅力的であった。年代順に観ていくと、そんな彼にも重くて暗い出発点の作品があったことに驚く。デュフェ本来…
◦菊膾入る駅弁や瀬戸晴れる (きくなますいるえきべんのせとはれる) 久しぶりの電車で瀬戸大橋を渡った。岡山からの新幹線に乗る時はいつもの事ながらまず駅弁の調達から始まる。ちょっとした旅気分である。普段の車を運転する緊張から解放されて電車に身を…
◦シグナルに哀れな恋の蔦紅葉 (シグナルにあわれなこいのつたもみじ) 「ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、 さそりの赤目が 見えたころ、 四時からけさも、やってきた。 遠野の盆地は まっくらで、 つめたい水の 声ばかり」 宮沢賢治 秋の気配に包まれる…
◦リフォームの養生網より柿の空 (リフォームのようじょうもうよりかきのそら) 築二十五年のわが家、このままこの家で朽ち果てようと思っていたが、どうした弾みか一転してリフォームすることになった。 で、もって職人がわが家に出入りするのは二十五年ぶ…
◦秋深し隣保の葬を知らざりき (あきふかしりんぽのそうをしらざりき) 街ではプチホールの広告に「家族葬」といのを目にする昨今であるが、ここ田畑が広がる地方ではやっと葬儀をプロの手に委ねる段階にまでは至っているが、まだまだ人生最後のお見送りは集…
◦古稀一つ越えてまた見ゆ秋の道 (こきひとつこえてまたみゆあきのみち) 今日、71歳になる。71歳の第一日目、すこぶる元気。 当地は21日〜23日、つまり今日まで秋まつりであった。 昨日一日ぐずついていた雨はすっきり上がったものの、地上の空気は…
◦法被脱ぐ漢の肩や秋まつり (はっぴぬぐおとこのかたやあきまつり)
◦錦秋やそれぞれ愛でる色のある (きんしゅうやそれぞれめでるいろのある)
◦雨となり夜寒となりて灯を消しぬ (あめとなりよさむとなりてひをけしぬ)
◦芋を掘る頭上を鯖の群れ行けり (いもをほるずじょうをさばのむれいけり)
◦喪家の塀はみ出している石榴の実 (もやのへいはみだしているざくろのみ)
◦「秋映え」という長野県産りんご剥く (あきばえというながのけんさんりんごむく)
◦子の着地点定まりて栗を剥く (このちゃくちてんさだまりてくりをむく)
◦牛窓や美人画の猫を抱く秋 (うしまどやびじんがのねこをだくあき)
◦忘らるる駅舎の廻り千草咲く (わすらるるえきしゃのまわりちくささく)
◦野分中蝋燭の灯を慈しむ (のわけなかろうそくのひをいつくしむ)
◦顔の絵を回せば凸凹木の実独楽 (かおのえをまわせば凸凹このみごま)
◦落鮎や漢のひと日江の川 (おちあゆやおとこのひとひごうのかわ)
◦駅前はこっち側かな紫苑咲く (えきまえはこっちがわかなしおんさく)
◦一輛車泡立草の中を行く (いちりょうしゃあわだちそうのなかをいく)
◦秋の灯を一つ点して独りかな (しゅうとうをひとつともしてひとりかな)
◦十月の鉄路轟く海の町 (じゅうがつのてつろとどろくうみのまち)
◦町の灯の潤む夜雨に荒れ兆す (まちのひのうるむよさめにあれきざす)
◦虫時雨止んで雨また虫しぐる (むししぐれやんであめまたむししぐる)
◦午からもぴりるぴるると色鳥の (ひるからもぴりるぴるるといろどりの)
◦秋茄子のいのち一途ななすび色 (あきなすのいのちいちずななすびいろ)
◦秋桜の首の曲がりを活けにけり (こすもすのくびのまがりをいけにけり)