2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧
〇日脚伸ぶ真西へ車走らせる (ひあしのぶまにしへくるまはしれせる) 〇目に見えて予後の窓辺に日脚伸ぶ 河童三子 〇日脚伸ぶ夕餉の支度伸ばしけり 々 〇日脚伸ぶ歩け歩けと後押す子 々
○寒の月恋猫帰る道照らす (かんのつきこいねこかえるみちてらす) ○バラックに寝る子を偲ぶ寒の月 河童三子 ○寒の月炊き出しの火に人盛り 々 ○沖を行く客船の灯や寒の月 々
〇今朝淹れし珈琲の湯や寒の水 (けさいれしコーヒーの湯やかんのみず) 〇珈琲に期間限定寒の水 河童三子 〇生水のコップ一杯寒の水 々 〇乳房なき骨身に刺さる寒の水 々
〇万有の引力に耐へ瀧凍つる (ばんゆうのいんりょくにたえたきいつる) 〇凍瀧や膨らんでいく宇宙かな 河童三子 〇凍滝のただ静謐に刻きざむ 々 〇凍瀧に抗らふ力漲りて 々
〇今朝の香に荒磯浦の石蓴汁 (けさのかにあらいそうらのあおさじる) 〇朝餉の香豆腐刻んで石蓴汁 河童三子 〇遅れ掻く石蓴に砂を咬ますかな 々 〇ゆっくりと潮くる兆し石蓴摘み 々
〇ぼた餅もて王子狐に詫び申す (ぼたもちもておうじぎつねにわびもうす) 〇王子の狐騙されし身を嘆くかな 河童三子 〇十字狐胸のクロスで神となる 々 〇靴咥へ夜の狐が暗躍す 々
〇初天神飛梅の木に人の柵 (はつてんじんとびうめのきにひとのさく) 〇成就あり不成就もあり初天神 河童三子 〇舞妓らも歌舞練場より初天神 々 〇願ひごと忘れ鈴ふる初天神 々
〇雪雲の降りて幕間の大道具 (ゆきぐものおりてまくまのおおどうぐ) 〇へらへらと庭ふる雪も野に激し 河童三子 〇風止みてほわりほわりと夜の雪 々 〇夜もすがらかたかた囃す雪起こし 々
〇座礁船残して昏るる冬の海 (ざしょうせんのこしてくるるふゆのうみ) 〇単線の駅舎に立てば冬の海 河童三子 〇冬の海松の落ち葉を吹き寄せる 々 〇冬海を見せて港の糶(せり)仕舞ふ 々
〇茶の花の日当たりにある無欲かな (ちゃのはなのひあたりにあるむよくかな) 〇お茶の花今年もここに咲いている 河童三子 〇厭わしく思ふ日もありお茶の花 々 〇お茶の花犬跳び越えて猫くぐる 々
〇初大師京に東寺の我楽多市 (はつだいしきょうにとうじのがらくたいち) 〇発心の霊山寺にて初大師 河童三子 〇初大師餡たっぷりの鶴亀焼 々 〇初大師歩いて知るや太子堂 々
〇大寒や崖よじ登る夢の中 (だいかんやがけよじのぼるゆめのなか) 〇大寒の一日猫を見ぬ日なり 河童三子 〇大寒やスイフトを読み上機嫌 々 〇大寒の烏やっぱり一羽でゐる 々
〇アルテミス夢乗せて行く冬の月 (アルテミスゆめのせていくふゆのつき) 〇冬の月うさぎ餅つく未来都市 河童三子 〇この地球(ほし)の冬懐かしむ月の街 々 〇生き生きと冬満月の蒸気かな 々
〇明暦の振袖火事といふ説話 (めいれきのふりそでかじというせつわ) 〇特急を田んぼに停める朝の火事 河童三子 〇火事の後家人消息ついに知れず 々 〇取り合えず毛布など持ち火事見舞 々
〇寒烏墨の衣に七つの子 (かんがらすすみのころもにななつのこ) 〇電柱に阿々と歎息寒烏 河童三子 〇打ち上がる鰯弔ふ寒烏 々 〇寒烏からりと晴れし日をためぬ 々
〇スマホ持て山降りくるよ雪女 (スマホもてやまおりくるよゆきおんな) 〇すうと来る首に冷たき雪女 河童三子 〇混浴に雪女見し万座の湯 々 〇夜話の後ろに座る雪女 々
〇凍蝶のまだ崩れずに午後の影 (いてちょうのまだくずれずにごごのかげ) 〇凍蝶は死の形して止まりをり 河童三子 〇凍蝶やきのふの雨の雫吸うか 々 〇凍蝶の静かなる死の容かな 々
〇寒念仏団扇太鼓の音と行く (かんねんぶつうちわだいこのおとといく) 〇姉小路蛸薬師へと寒念仏 河童三子 〇路地を出て寒念仏に加わりぬ 々 〇寒念仏次第次第に声揃ふ 々
〇大津絵の鬼に傘遣る霙かな (おおつえのおににかさやるみぞれかな) 〇奈良びとの祖父懐かしむ霙酒 河童三子 〇霰おく白を霙が消してゆく 々 〇霙ふり美しきもの流しけり 々
〇松過ぎて届く賀状も五六枚 (まつすぎてとどくがじょうもごろくまい) 〇しっとりと時雨もよきや松過ぎし 河童三子 〇松過ぎぬカレーに添えし福神漬け 々 〇松過ぎて磯浦の涛音をきく 々
〇傘寿なる日記のはじめ吉書とす (さんじゅなるにっきのはじめきっしょとす) 〇醴泉銘書写する吉書筆立ちぬ 河童三子 〇初筆や王義之の金壁の文字 々 〇書初の筆に狸の尻尾でる 々
〇皹ぐすり売る口上の筑波山 (ひびぐすりうるこうじょうのつくばさん) 〇母追ひし頬きる皹や涙の子 河童三個 〇皹の手を机の角に掻きし日々 々 〇踵の皹がまの油を塗りこみぬ 々
〇石鎚に雲走らせて鴨の陣 (いしづちにくもはしらせてかものじん) 〇本陣はどっちへ向くや鴨の陣 河童三子 〇鴨の陣磧に並ぶ歩兵隊 々 〇鴨の陣朝の就労仕分刻 々
〇始業の日ゆげの白めし寒卵 (しぎょうのひゆげのしろめしかんたまご) 〇咳の日も熱の日もみな寒卵 河童三子 〇土喰らふ鷄よりもらふ寒卵 々 〇寒卵鷄も大事と掻き抱く 々
〇七草や粥炊く窓の外は雨 (ななくさやかゆたくまどのそとはあめ) 〇予後の身や七草爪を試しみる 河童産雇 〇一握りひとりに炊くや薺粥 々 〇晩年の刻ゆるやかに薺粥 々
〇江戸っ子の一幕見席初芝居 (えどっこのひとまくみせきはつしばい) 〇初芝居通の顔して一幕見席 河童三子 〇初芝居アバター見るに多数決 々 〇初芝居あれこれと検索に済む 々
〇年縄に稲穂の固く結ばれし (としなわにいなほのかたくむすばれし) 〇年縄や京の美山の古びかな 河童三子 〇年縄の稲穂橘わが故郷 々 〇輪飾を小さくつけて一人棲む 々
〇福寿草たより書かぬといふ便り (ふくじゅそうたよりかかぬというたより) 〇福寿草ひとりの予後を日当たりぬ 河童三子 〇子も孫も大器と思ふ福寿草 々 〇福寿草雪を被って出る莟 々
〇利休箸神も使いし三日かな (りきゅうばしかみもつかいしみっかかな) 〇朝風呂に正月三日凪の海 河童三子 〇箱根おりる御慶の中の走りかな 々 〇三が日神と向かひし利休箸 々
〇初夢に亀を見むとて亀起こす (はつゆめにかめをみんとてかめおこす) 〇初夢に「矢の根」みているウクライナ 河童三子 〇初夢見んと美しき楽聴きぬ 々 〇初夢やクラシックに鶴と亀 々