2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧
〇明易に起こされし世の朧かな (あけやすにおこされしよのおぼろかな) 〇明易し軒の雫を見て目覚む 河童三子 〇空のない夢の中にて明易し 々 〇明易し出漁船の音もなく 々
〇葉桜や万葉の世も令和にも (はざくらやまんようのよもれいわにも) 〇葉桜やその懐に実を抱き 河童三子 〇葉桜の下に老人ホームの椅子 々 〇葉桜や振り返る事ばかりかな 々
〇筍の石を抱きて掘られけり (たけのこのいしをいだきてほられけり) 〇この山の筍族は腰まがり 河童三子 〇筍貰て大鍋借りに走るかな 々 〇湯上りの筍いろも香りも佳 々
〇蓮鉢に生まれし蛙里帰り (はすばちにうまれしかえるさとがえり) 〇上の田の水張られるや蛙の声 河童三子 〇疣(いぼ)蛙手引っ込めろ疣うつる 々 〇蛙来て睡蓮鉢の賑やかし 々
〇上弦か下弦か朧月夜かな (じょうげんかかげんかおぼろつきよかな) 〇朧船碇泊の灯の果てし無し 河童三子 〇昨日今日訪ふ人もなき朧島 々 〇朧夜の地震港湾の灯揺らす 々
〇風光る点訳聖書読む窓辺 (かぜひかるてんやくせいしょよむまどべ) 〇風光る坊主頭も病ゆへ 河童三子 〇風光る麦畑行く使徒達は 々 〇電柱に烏の欠伸風光る 々
〇未来図にドアを加へて春惜しむ (みらいずにドアをくわえてはるおしむ) 〇山の容(かたち)雲が隠して春惜しむ 河童三子 〇春惜しむ菜の花消えし遍路道 々 〇熱の汗出してすっきり春惜しむ 々
〇若芝を溺れるやうに子犬来る (わかしばをおぼれるようこいぬにくる) 〇若芝のスニーカー少しひんやりと 河童三子 〇青芝を預言者のごと渡りをり 々 〇若芝へ嬰児立ちそむ拍手かな 々
〇千日紅蒔いて一日千秋に (せんにちこうまいていちにちせんしゅうに) 〇お手蒔きはニホンマサリの籾とある 河童三子 〇芥子種人の心に蒔かれると 々 〇ヒリリと辛い大根の種蒔こう 々
〇葱坊主がき大将と相まみえむ (ねぎぼうずがきたいしょうとあいまみえん) 〇晴れる日も曇る日もあり葱坊主 河童三子 〇お日様にほっかぶり取る葱坊主 々 〇葱坊主海を見下す厨裏 々
〇小でまりに散華促す春嵐 (こでまりにさんげうながすはるあらし) 〇春嵐乳房なき吾腎なき汝 河童三子 〇春嵐ゴジラが路地を襲ふかな 々 〇若冲の鶏の蹴爪や春嵐 々
〇黄砂来て高層ビルの解体か (こうさきてこうそうビルのかいたいか) 〇三日つづく黄砂の中を鳥の来る 河童三子 〇黄砂の空うちのめされる揚げ雲雀 々 〇近視眼鏡買い替えて見る黄砂かな 々
〇麦鶉灘を見晴らす丘の上 (むぎうずらなだをみはらすおかのうえ) 〇青麦の隙間窺う鶉の子 河童三子 〇麦鶉お遍路さんが側を行く 々 〇麦鶉ギョウギョウギョウと麦畑 々
〇カラカラと夜風に哭くや風車 (カラカラととかぜになくやかざぐるま) 〇よく回る水子地蔵の風車 河童三子 〇風車回りて土竜(もぐら)大慌て 々 〇お地蔵の前掛け赤い風車 々
〇オフィーリアを弔ひに行く花筏 (オフィーリアをとむらいにいくはないかだ) 〇儚さや糸に結ばぬ花筏 河童三子 〇花筏山を離るる風の来て 々 〇花筏一頭乗せる流転かな 々
〇目借時頭二つに目四つでも (めかりどきあたまふたつにめよっつでも) 〇蛙の目借りてケロケロ鳴かれけり 河童三子 〇雨ふって蛙の目借り時となり 々 〇転び居る地蔵も在りて目借時 々
〇春の旅テールランプの別れかな (はるのたびテールランプのわかれかな) 〇オペラ座の前に待ちあう春の旅 河童三子 〇フランス麺麭シチューに浸す春の旅 々 〇春の旅拾得物にパスポート 々
〇春潮に男波女波の万古かな (しゅんちょうにおなみめなみのばんこかな) 〇夫婦岩離さむとする春の潮 河童三子 〇春潮や岩屋へ誘い込まれをり 々 〇春潮の見えるテラスのランチかな 々
〇回覧板もって菫の小径かな (かいらんばんもってすみれのこみちかな) 〇芽を出してすぐ花つける菫かな 河童三子 〇菫咲く花壇はみ出てをりにけり 々 〇ふたりして菫のごとく小さくなり 々
〇雀の子キュッキュッとなくも丸裸 (すずめのこキュッキュッとなくもまるはだか) 〇子雀の鼓動をつかむ掌(たなごころ) 河童三子 〇子雀の鼎(かなえ)の形口三つ 々 〇雀の子忠一忠二忠三郎 々
〇くりくりと邪鬼の無き目やさくら鯛 (くりくりとじゃきのなきめやさくらだい) 〇桜鯛精進落とす法事膳 河童三子 〇さくら鯛氏も育ちも瀬戸内海 々 〇掌(てのひら)に載る大きさやさくら鯛 々
〇終日を近見の山や菜種梅雨 (しゅうじつをちかみのやまやなたねつゆ) 〇菜種梅雨一幅の山水画の窓 河童三子 〇菜種梅雨マルチ畠の光りかな 々 〇何日も海を隠して菜種梅雨 々
〇虚子の忌や椿の杖に花の咲く (きょしのきやつばきのつえにはなのさく) 〇今日虚子忌宙の汀子とホトトギス 河童三子 〇椿寿忌や僧来て椿掃き集める 々 〇虚子の忌や太子を偲ぶ椿堂 々
〇花冷えや草色の有刺鉄線 (はなびえやくさいろのゆうしてっせん) 〇花冷えや稍々燃えきれぬ体脂肪 河童三子 〇花冷えやコンビニの茶とおにぎりと 々 〇花冷えの野の蝶を追い立てる 々
〇妻となったあの夜に見し春の星 (つまとなったあのよるにみしはるのほし) 〇春の夜の大曲線に二つ星 河童三子 〇牛飼いの乙女誘ふや春の星 々 〇春の星獅子や烏の落るかと 々
〇六地蔵から醍醐寺へ花曇り (ろくじぞうからだいごじへはなぐもり) 〇里山の頂にある養花天(ようかてん) 河童三子 〇花曇りレジシート見直してゐる 々 〇養花天離れて歩く二人かな 々
〇清明や夢に父ゐて母をらず (せいめいやゆめにちちでてははおらず) 〇清明の休耕つづく大地かな 河童三子 〇清明や海に真白な雲のせて 々 〇清明の牧に草食む仔牛かな 々
〇春宵や海辺の町の空に浮く (しゅんしょうやうみべのまちのそらにうく) 〇朝からの雨ふりつづく春の宵 河童三子 〇春宵や灯を点けぬまま頁繰る 々 〇春宵や近き稜線のみ残る 々
〇初蝶や菜花に欲られ白置きぬ (はつちょうやなばなにほられしろおきぬ) 〇初蝶やブックスタートする乳児 河童三子 〇初蝶の揺れてしんがり務めける 々 〇初蝶やカバヤ文庫の本デビュー 々]
〇鳳凰の羽ちらつかす万愚節 (ほうおうのはねちらつかすまんぐせつ) 〇玉葱が可哀そうだと四月馬鹿 河童三子 〇三月の予定表見せて四月馬鹿 々 〇万愚節新年度とて齢を足す 々