2024-01-01から1年間の記事一覧

半月

〇上弦の月出てハープ奏でるや (じょうげんのつきでてハープかなでるや) 〇半月の残りを星の輝きに 河童三子 〇コンビニの上に半月残りをり 々 〇有明に半月白みゆくばかり 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんはシーツを洗濯した けれど おといこ山には…

菊の日

〇菊の日や秋摘みの茶葉手にしごく (きくのひやあきづみのちゃばてにしごく) 〇つまの菊ビールに浮かべ菊の酒 河童三子 〇今年またふたりで交わす菊の酒 々 〇菊の日の菊生き生きと茎伸ばす 々 婆ごころ(2700日) 台所の裏のノーゼンカヅラが花盛り 同じ…

濁り酒

〇故里の土間の片辺の醪酒 (ふるさとのどまのかたへのもろみざけ) 〇祖父の膝にてどびろくの味覚ゆ 河童三子 〇どびろくは幼心の片辺より 々 〇濁酒の壺より醸しだす故郷 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんのパートナーさんは84歳 この頃 気づかない…

白露

〇新聞の匂ひ開けし白露かな ( しんぶんのにおいひらけしはくろかな) 〇白い花白露の朝を咲きにけり 河童三子 〇叢へ白露の朝の戸を開ける 々 〇父を看る娘(こ)の帰郷白露かな 々 婆ごころ(2700日) 蒜山でも雨は降らなかったし 戻ってからもからからの…

釣舟草

〇滴れる山水溜めて釣舟草 (したたれるやまみずためてつりぶねそう) 〇坂本へ比叡の径の法螺貝草 河童三子 〇湖の色集めてゐるや釣舟草 々 〇湿地踏む釣舟草のある所 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんはベランダのある洋間の窓から外を眺めていた…

秋の雲

〇蒜山の三座の上の秋の雲 (ひるぜんのさんざのうえのあきのくも) 〇秋の雲ワイナリーにて試飲する 河童三子 〇水つくる会社の氷室秋の雲 々 〇秋の雲展望台にてトマト買ふ 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんの朝は いつも早い 朝の光が窓にうっすらと…

田村草

〇五右衛門の鬘かぶるや田村草 (ごえもんのかつらかぶるやたむらそう) 〇首傾げれば哀し気や田村草 河童三子 〇田村草はなから棘は無いものを 々 〇田村草棘ある花と思われし 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんは「大原美術館」に入ったよ 棟方志功や…

天高し

〇のびのびと薄の空の天高し (のびのびとすすきのそらのてんたかし) 〇秋高しプラットホームのその先に 河童三子 〇天高しシーツ干される丘の家 々 〇風禍去りて塵(ごみ)の山にも天高し 々 婆ごころ(2700日) うっすらと豊受山の空がピンクに染まって …

夜長

〇寝返って娘を確かめる夜長かな (ねがえってこをたしかめるよながかな) 〇長き夜やネット囲碁打つ石の音 河童三子 〇障子開けて虫の音入れる夜長かな 々 〇話絶へて細き寝息や夜長し 々 婆ごころ(2700日) ブルばあちゃんは 「婆ごころ2700日」を達…

震災忌

〇防災忌右往左往の蟻見てる (ぼうさいきうおうさおうのありみてる) 〇二百十日熱帯低気圧に変わる 河童三子 〇首相以下防災服の厄日かな 々 〇約束の虹が出てゐる震災忌 々 婆ごころ〈2700日) 突然、このような拙い絵と文章のハガキを披露する事にな…

浮鹿子

〇本読みに浮鹿子が灯火親しめり (ほんよみにうんかがとうかしたしめり) 〇夜の浮塵子わが書の上に涯るかな 河童三子 〇米櫃に今年の浮塵子叕れるよ 々 〇よく見れば足も目もある浮塵子かな 々 私の本棚 「こどものための 聖書物語」 フィリップ・ターナー…

水引草

〇水引草魚板敲ひて僧を呼ぶ (みずひきそうぎょばんたたいてそうをよぶ) 〇水引の花手仕事の廃れけり 河童三子 〇慶と弔ほどほどに水引の花 々 〇艱難もなく水引の白と赤 々 私の本棚 谷川俊太郎・詩 瀬川康男・絵 かっぱ (詩 谷川俊太郎) 河童 かっぱか…

秋草

〇引きこもる子にひっつく秋の草 (ひきこもるこにひっつくあきのくさ) 〇秋草や雨の重さに項垂れて 河童三子 〇コロコロと磧の石や秋の草 々 〇秋の草愛でて一穂を挿しにけり 々 私の本棚 「ぶたばあちゃん」 マーガレット・ワイルド文 ロン・ブルックス絵…

蕎麦の花

〇奥祖谷に人家ぽつりと蕎麦の花 (おくいやにじんかぽつりとそばのはな) 〇蕎麦の花蟷螂(とうろう)鎌を研ぎにけり 河童三子 〇この上は平家平(へいけだいら)や蕎麦の花 々 〇落人の伝説聞くや蕎麦の花 々 私の本棚 「魔女図鑑」《まじょになるための11…

新涼

〇新涼や鰓で吊るさる糶の魚 (しんりょうやえらでつるさるせりのうお) 〇水呑んで胸に広がる涼新た 河童三子 〇水茄子の紺鮮やかな新涼に 々 〇新涼やカラカラ下駄の縁廻る 々 私の本棚 「ゆき」 ユリ・シュルヴィッツ さくまゆみこ訳 はいいろの そらから…

鉄道草

〇鉄道草引き込み線の給水塔 (てつどうぐさひきこみせんのきゅうすいとう) 〇駅は一便ヒメムカシヨモギ 河童三子 〇明治草鉄道唱歌空覚え 々 〇鉄道草昭和に生まれ令和に老ふ 々 私の本棚 フレデリック レオ・レオニ 訳 谷川俊太郎 「めを つむって ごらん…

大根蒔く

〇大根種数えるやうに大根蒔く (だいこだねかぞえるやうにだいこまく) 〇雨模様さてお隣も大根蒔き 河童三子 〇貰ひ種一畝増して大根蒔く 々 〇台風の目見えて大根蒔きおはる 々 私の本棚 グリム童話 ハンス・フィッシャー え せた ていじ やく 母さんはこ…

秋耕

〇秋耕の音たからかにトラクター (しゅうこうのおとたからかにトラクター) 〇天気図は今朝の秋耕促しぬ 河童三子 〇宿坊の裏秋耕に僧の鍬 々 〇秋耕の重なる雲に急ぐかな 々 私の本棚 「めんどり ヒルダ」 メリー・ウォーメル文・絵 ほんじょうまなみ 訳 …

〇蜩に哀しい夢を覚めにけり (ひぐらしにかなしいゆめをさめにけり) 〇蜩やその後消息途絶へし儘 河童三子 〇かなかなの二声みこえ聞きし儘 々 〇かなかなや心逸(はや)りし文貰ふ 々 私の本棚 「とうきちとむじな」 文・松谷みよ子 絵・村上勉 たぬきと…

今朝の秋

〇蛸壺の風呑む音や今朝の秋 (たこつぼのかぜのむおとやけさのあき) 〇赤銅色の海の漢に今朝の秋 河童三子 〇今朝秋の網戸を掴む螽斯(きりぎりす) 々 〇今朝秋や門に遍路が経を読む 々 私の本棚 イギリス昔話 瀬田貞二 訳 山田三郎 画 「三びきのこぶた…

新豆腐

〇雲水の白い襷や新豆腐 (うんすいのしろいたすきやしんとうふ) 〇山水の桶に浮きたる新豆腐 河童三子 〇新豆腐宿坊に朝の鐘撞く 々 〇木の匙におぼろを掬う新豆腐 々 私の本棚 文 谷村まち子 絵 菊池貞雄 浦田又治 「ちびくろ・さんぼ」は、1860年代イギ…

天高し

〇天高し地の底歩むだんごむし (てんたかしちのそこあゆむだんごむし) 〇山頂に雨のち晴れて天高し 河童三子 〇靴紐を締め直しをり天高し 々 〇天高し傘寿の靴に履き替へて 々 私の本棚 松村達英 ぼく だんごむし すご~く こわがりなので びっくりすると …

弁慶草

〇弁慶の槍百本や弁慶草 (べんけいのやりひゃっぽんやべんけいそう) 〇弁慶草あるだけの装身具だす 河童三子 〇弁慶草駅中ピアノ聴いてゐる 々 〇棟梁の七つ道具や弁慶草 々 私の本棚 作 藤原一枝 絵 はたこうしろう 夏休み━ おとうとと二人で お母さんの…

白桃

〇七賢を置いてもみたき桃の里 (しちけんをおいてもみたきもものさと) 〇水蜜桃指先だけで剥きにけり 河童三子 〇白桃のいがいに強(こわ)い産毛かな 々 〇白桃やまだ見ぬものに桃源郷 々 私の本棚 瀬川康男(絵) 松谷みよこ(文) 女の子は「やまんばの…

赤まんま

〇赤まんま綻ぶ茣蓙に二人かな (あかまんまほころぶござにふたりかな) 〇赤のままままごとの儘共白髪 河童三子 〇信楽の徳利に挿すや赤まんま 々 〇赤まんま犬が屎尿(いばり)をかけて行く 々 私の本棚 マルチーヌ=ブラウン作・絵 やがわ すみこ・訳 女…

送り火

〇持て成しもせず送り火に送り出す (もてなしもせずおくりびにおくりだす) 〇妙と法其々の火に送るかな 河童三子 〇迎火も送り火もなく迷へるや 々 〇送り火の西の二山は見ざる儘 々 私の本棚 レオ=レオニ 訳 谷川俊太郎 レオニのちいさな主人公たちの前…

夾竹桃

〇工場のラジオ体操夾竹桃 (こうじょうのラジオたいそうきょうちくとう) 〇夾竹桃空を燃やして昼休み 河童三子 〇町工場夾竹桃に昭和の空 々 〇夾竹桃工場群を仕切るかな 々 私の本棚 モーリス・センダックさく 神宮輝夫訳 子そだての期間はあっと言う間に…

酔芙蓉

〇老いの日の一日短き酔芙蓉 (おいのひのひとひみじかきすいふよう) 〇酔芙蓉あさの白飯炊きあがる 河童三子 〇ほんのりと昨日の酔いを酔芙蓉 々 〇酔芙蓉ゆらゆら揺れるこの世かな 々 私の本棚 ジーン・ジオンぶん マーガレット・ブロイ・グレアムえ わた…

盆の月

〇夫よりも永き在所や盆の月 (つまよりもながきざいしょやぼんのつき) 〇夫の本埃被りし盆の月 河童三子 〇盆の月爛(ただ)れたやうに赤きかな 々 〇群雲が邪魔をしに来る盆の月 々 私の本棚 田島征彦絵 桂米朝・上方落語・地獄八景より (じごくのそうべ…

流星

〇流星に眺めむ神の戦かな (りゅうせいにながめんかみのいくさかな) 〇パソコンの手を休め待つ流星群 河童三子 〇天上に戦始まる流星の矢 々 〇ペルセウス流星群に願ごと 々 私の本棚 「ぐりとぐら」 なかがわえりこ と おおむらゆりこ 大きなホットケーキ…