2013-01-01から1年間の記事一覧
◦去年今年叱られた子の拗ねしまま (こぞことししかられたこのすねしまま)
◦松竹の蒲鉾並みて年用意 (しょうちくのかまぼこなみてとしようい)
◦初雪や大売り出しの旗に舞う (はつゆきやおおうりだしのはたにまう)
◦弔いの石開ける背を霰打つ (とむらいのいしあけるせをあられうつ)
◦腰あげる気合いの声で大掃除 (こしあげるきあいのこえでおおそうじ)
◦冬休み答案用紙風に舞う (ふゆやすみとうあんようしかぜにまう)
◦イブ過ぎて鯛焼の餡挽回す (イブすぎてたいやきのあんばんかいす)
◦現し身のイブに生まれて聖菓切る (うつしみのイブにうまれてせいかきる)
◦好々爺今拾得の落葉掻き (こうこうやいまじゅっとくのおちばかき)
◦日曜の朝寝を起こす冬至哉 (にちようのあさねをおこすとうじかな)
◦稲荷山狐火練るや京の暮 (いなりやまきつねびねるやきょうのくれ)
◦大根も蕪もゆかし京育ち (だいこんもかぶらもゆかしきょうそだち)
◦底冷えや人波に居て人恋し (そこびえやひとなみにいてひとこいし)
◦煤払い笹もて声の勇みけり (すすはらいささもてこえのいさみけり)
◦ストーブの大根じぶじぶ治部煮風 (ストーブのだいこじぶじぶじぶにふう)
◦蜜柑の配達証明きて今年閉ず (みかんのはいたつしょうめいきてことしとず)
◦ひとり居の開かぬ間ばかり冬座敷 (ひとりいのあかぬまばかりふゆざしき)
◦一人居に認知力とて冬籠り (ひとりいににんちりょくとてふゆごもり)
◦冬構え家に一つの灯へ戻る (ふゆがまえいえにひとつのひへもどる)
◦冬ざれて雨の皹海の上 (ふゆざれてあめのあかぎれうみのうえ)
◦バビブベボいのちの音や落葉下 (バビブベボいのちのおとやおちばした)
◦島々に夜の明けそめぬ寒の雷 (しまじまによのあけそめぬかんのらい)
◦冬の雷一瞬山家の灯を消せり (ふゆのらいいっしゅんやまがのひをけせり)
◦匿名で行き交う街の日短し (とくめいでいきかうまちのひみじかし)
◦柿の木も無花果も切り冬木立 (かきのきもいちじくもきりふゆこだち)
◦冬凪や荷揚の灯瞬かす (ふゆなぎやにあげのともしまたたかす)
◦根深汁また一軒の廃家かな (ねぶかじるまたいっけんのはいかかな)
◦雑炊の形くずして蕪の味 (ぞうすいのかたちくずしてかぶのあじ)
◦薬喰ひとて薄肉を百グラム (くすりぐいとてうすにくをひゃくグラム)
◦マスクして街から声を喪失す (マスクしてまちからこえをそうしつす)