2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧
◦抽斗へ榧の実ころり秋仕舞ふ (ひきだしへかやのみころりあきしまう) 榧の木山の 北原白秋 かやの木山の 榧の実は いつかこぼれて 拾われて 山家のお婆さは いろり端 粗朶たき柴たき 燈りつけ かやの実かやの実 もう寝ようよ お猿が啼くだで 早よお寝よ
◦この頃は人の声せぬ暮の秋 (このころはひとのこえせぬくれのあき)
◦白秋やマザーグースに秋憂う (はくしゅうやマザーグースにあきうれう) 白秋は北原白秋 白秋の童謡を読んで戸惑った。 金魚 母さん、母さん、どこへ行った。 紅い金魚と遊びませう。 母さん、帰らぬ、さびしいな。 金魚を一匹突き殺す。 まだまだ、帰らぬ…
◦凩や人形の足見つからず (こがらしやにんぎょうのあしみつからず) がぶがぶ、むしゃむしゃ 北原白秋 どうしたことだぇ、このお婆、 飲んだり喰ったり、そればかり、 他には何もようせぬで、 食ふのと飲むのが商売かい、 むしゃむしゃ、がぶがぶ、ぐずり婆…
◦鉄床に銀杏割れば翡翠の実 (かなとこにぎんなんわればひすいのみ) 炒り銀杏 子供の頃、どこかのお寺かお宮のおまつりに父と行った。どんなふうにしてどんな経緯があってその場に自分が居たのかは全く記憶はないが、焼いた銀杏の袋を私に手渡したのは父で…
◦秋の野をわたしに似た子ひとりゆく (あきののをわたしににたこひとりゆく) 白秋の「秋の野」 あの子がゆくよ 見たよなあの子 おんなじ道を おんなじ方へ だれだろあの子 ちいさなあの子 わたしの前を わたしのように あの子がゆくよ 髪の毛が光る 野の道…
◦さんまさんまレモン絞って春夫の詩 (さんまさんまレモンしぼってはるおのし)
◦鶺鴒の尾に促され立ち上がる (せきれいのおにうながされたちあがる)
◦今朝の雀蛤になるかしらぬ (けさのすずめはまぐりになるかしらぬ)
◦銀杏落葉吹き払われて阿吽の像 (いちょうおちばふきはらわられてあうんのぞう)
◦銀杏の緑嬉しい茶碗蒸 (ぎんなんのみどりうれしいちゃわんむし)
◦切山にセメント工場秋深し (きりやまにセメントこうじょうあきふかし)
◦セメントの山水平に秋の空 (セメントのやますいへいにあきのそら)
◦山の湯は秋津が先きに入りけり (やまのゆはあきつがさきにはいりけり)
◦稲雀ここは晩生をまっている (いなすずめここはおくてをまっている)
◦ぼた山に樹と泡立草競いけり (ぼたやまきとあわだちそうきそいけり)
◦気まま旅三里迷って草の花 (きままたびさんりまよってくさのはな)
◦長き夜旅の途中の車中泊 (ながきよるたびのとちゅうのしゃちゅうはく)
◦虫の音の心もとなき夜となり (むしのねのこころもとなきよるとなり)
◦宙返りできず体育の日は終る (ちゅうがえりできずたいいくのひはおわる) 記録会
◦戦場にやもめ養う落穂なく (せんじょうにやもめやしなうおちぼなく)
◦落とし水バケツにもらい葱作る (おとしみずバケツにもらいねぎつくる)
◦秋の水成層圏を飲み干しぬ (あきのみずせいそうけんをのみほしぬ) ノーベル文学賞 村上春樹のノーベル文学賞は今年もならなかった。春樹ストはまたまた残念なことである。個人的にはそれほど気持ちは向いていないのであるが、これからさらに何年か先きの…
◦ラギットや一億総活躍の秋 (ラギットやいちおくそうかつやくのあき) 一億総活躍相 全く奇妙な相ができた、と同時に全く頷かざるを得ないとも思わせられる。家に居ても何となく座り心地が悪いのはどうしてだろう。近々4人に一人が老人世代になるとなれば…
◦秋の日やアラビア文字を書いてみる (あきのひやアラビアもじをかいてみる) 秋の空 アラビア語は右から書く。上の写真は何を書いているのか分からないが、アラビア語は今まで目にした文字の中で一番美しいと思っている。 で、竹ペンで「秋の空」と自分の署…
◦秋の灯は消さずひとりを恣 (あきのひはけさずひとりをほしいまま) 秋の夜 夜中に目を覚ました時は、無理に寝ようとしないで灯を点けて机に向かう。 幸福な気持ちに包まれる時と、一人の寂しさを演出しようとする気持ちが現れる時とがある。どちらも大切な…
◦実石榴や赤いけだしに鬼子母神 (みざくろやあかいけだしにきしもじん) 無人駅の石榴 この間、兵庫県の京都よりの駅巡りをした時、二つ三つの駅に石榴が実をつけていた。赤い石榴はみな実を重そうに枝から垂れているのである。ある駅の石榴ときたら、それ…
◦新米の送られて来し上がり口 (しんまいのおくられてきしあがりぐち) 30kg二袋 宅配便で今年の新米が送られてきた。滋賀県の従兄弟から送るからと電話はあったが玄関の上がり口にど〜んと置かれると、一人ではどうしょうもない。
◦第三の男佇む夜の霧 (だいさんのおとこたたずむよるのきり) 映画「第三の男」 ずっと昔、モノクロ映画で「第三の男」を観た。チターの音色は印象に残っているが、物語りの筋はすっかり忘れてしまった。そのチターの演奏と街の影に佇む男の顔だけは妙に焼…
◦金色の木の実ふってる夢の中 (きんいろのこのみふってるゆめのなか)