〇乱れ萩奥を隠してゐる気配 （みだれはぎおくをかくしているけはい） 〇山寺や盗人萩の零れけり 河童三子 〇零れじと露孕む萩哀れかな 々 〇汝を訪へば門に敷かれし萩踏まむ 々 婆ごころ（2700日）

〇田や畑に藜が伸びて敬老日 （たやはたにあかざがのびてけいろうび） 〇敬老日紅白饅頭白消えし 河童三子 〇パソコンは桂郎日と書く敬老日 々 〇どちらかと言えば辛党敬老日 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんは 娘さんから 個人情報は守ること と固く…

〇コスモスの中曲がり行く二人かな （こすもすのなかまがりいくふたりかな） 〇秋桜の倒れて迷路閉さるる 河童三子 〇丘の風丘の起伏を秋桜（あきざくら） 々 〇風が来てコスモスに花粉付けられる 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんは いつものようにパ…

〇鰯雲その一隅に吾もゐて （いわしぐもそのいちぐうにわれもいて） 〇鰯雲天に展がるマスゲーム 河童三子 〇化野の小さき墓や鰯雲 々 〇北斎の富士に流れる鰯雲 々 婆ごころ（2700日） 『一回目に向かっています。今日も３５℃の街を歩かなければなりません…

〇蟋蟀や別れの曲の夜明けかな （こおろぎやわかれのきょくのよあけかな） 〇巡査来て安否尋ねるちちろ虫 河童三子 〇声大き便所の裏のちちろ哉 々 〇掃除機の中の蟋蟀出してやる 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんは 二階の本棚から 聖書を持って降りて…

〇安寧や枯蟷螂の枝の枝 （あんねいやかれとうろうのえだのえだ） 〇鎧兜古色蒼然枯蟷螂 河童三子 〇古蟷螂イアンノットと謂う形 々 〇古鎌をかざし蟷螂枯にけり 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんは 自分の描いた葉書の文章や絵を 再び見るのは 恥ずか…

〇上弦の月出てハープ奏でるや （じょうげんのつきでてハープかなでるや） 〇半月の余りを星の輝きに 河童三子 〇コンビニの上に半月残りをり 々 〇有明に半月白みゆくばかり 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんはシーツを洗濯した けれど おといこ山には…

〇菊の日や秋摘みの茶葉手にしごく （きくのひやあきづみのちゃばてにしごく） 〇つまの菊ビールに浮かべ菊の酒 河童三子 〇今年またふたりで交わす菊の酒 々 〇菊の日の菊生き生きと茎伸ばす 々 婆ごころ（2700日） 台所の裏のノーゼンカヅラが花盛り 同じ…

〇故里の土間の片辺の醪酒 （ふるさとのどまのかたへのもろみざけ） 〇祖父の膝にてどびろくの味覚ゆ 河童三子 〇どびろくは幼心の片辺より 々 〇濁酒の壺より醸しだす故郷 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんのパートナーさんは８４歳 この頃 気づかない…

〇新聞の匂ひ展げし白露かな （ しんぶんのにおいひろげしはくろかな） 〇白い花白露の朝を咲きにけり 河童三子 〇叢へ白露の朝の戸を開ける 々 〇父を看る娘（こ）の帰郷白露かな 々 婆ごころ（2700日） 蒜山でも雨は降らなかったし 戻ってからもからからの…

〇滴れる山水溜めて釣舟草 （したたれるやまみずためてつりぶねそう） 〇坂本へ比叡の径の法螺貝草 河童三子 〇湖の色集めてゐるや釣舟草 々 〇湿地踏む釣舟草のある所 々 婆ごころ（２７００日） ブルばあちゃんはベランダのある洋間の窓から外を眺めていた…

〇蒜山の三座の上の秋の雲 （ひるぜんのさんざのうえのあきのくも） 〇秋の雲ワイナリーにて試飲する 河童三子 〇水つくる会社の氷室秋の雲 々 〇秋の雲展望台にてトマト買ふ 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんの朝は いつも早い 朝の光が窓にうっすらと…

〇五右衛門の鬘かぶるや田村草 （ごえもんのかつらかぶるやたむらそう） 〇田村草首うなだれて悲しそう 河童三子 〇田村草はなから棘は無いものを 々 〇田村草棘ある花と思われし 々 婆ごころ（2700日） ブルばあちゃんは「大原美術館」に入ったよ 棟方志功…

〇のびのびと薄の空の天高し （のびのびとすすきのそらのてんたかし） 〇秋高しプラットホームのその先に 河童三子 〇天高しシーツ干される丘の家 々 〇風禍去りて塵（ごみ）の山にも天高し 々 婆ごころ（2700日） うっすらと豊受山の空がピンクに染まって …

〇寝返って娘を確かめる夜長かな （ねがえってこをたしかめるよながかな） 〇長き夜やネット囲碁打つ石の音 河童三子 〇障子開けて虫の音入れる夜長かな 々 〇話絶へて細き寝息や夜長し 々 婆ごころ（２７００日） ブルばあちゃんは 「婆ごころ2700日」を達…

〇防災忌右往左往の蟻見てる （ぼうさいきうおうさおうのありみてる） 〇二百十日熱帯低気圧に変わる 河童三子 〇首相以下防災服の厄日かな 々 〇約束の虹が出てゐる震災忌 々 婆ごころ〈２７００日） 突然、このような拙い絵と文章のハガキを披露する事にな…