2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

六月了る

◦凌霄を咲かせて六月了りける (のうぜんをさかせてろくがつおわりける)

梅雨菌

◦異星人庭に現わる梅雨菌 (いせいじんにわにあらわるつゆきのこ)

蛍袋

◦昔日の蛍袋にいえぬ瑕 (せきじつのほたるぶくろにいえぬきず)

冷麦

◦冷麦のすこし太めに安らげり (ひやむぎのすこしふとめにやすらげり)

雨休み

◦黒板の相合傘や雨休み (こくばんのあいあいがさやあめやすみ)

髪洗う

◦季語にしてゆっくり今朝の髪洗う (きごにしてゆっくりけさのかみあらう)

草刈

◦草刈や迷彩服に機銃音 (くさかりやめいさいふくにきじゅうおん)

田植女

◦田植女の愚痴多かりき土粘る (たうえめのぐちおおかりきつちねばる)

青紫蘇

◦青紫蘇の飛び来し庭の朝夕べ (あおじそのとびきしにわのあさゆうべ)

青梅雨

◦青梅雨の窓から入りて憂さ青し (あおつゆのまどからいりてうさあおし)

夏灯

◦奥の間の無声のテレビ夏灯 (おくのまのむせいのテレビなつともし)

蝸牛

◦蝸牛マイクロ力の雨の中 (かたつむりマイクロりきのあめのなか)

郭公

◦郭公や道に迷って無人駅 (かっこうやみちにまよってむじんえき)

軒忍

◦世を背きアパートの戸の軒忍 (よをそむきアパートのとののきしのぶ)

梅雨最中

◦樹も草も人を隔てて梅雨最中 (きもくさもひとをへだててつゆさなか)

紫陽花

◦紫陽花の天を仰ひで雨を受く (あじさいのてんをあおいであめをうく)

烏賊つり火

◦烏賊つり火窓に写して海の闇 (いかつりびまどにうつしてうみのやみ)

青蜥蜴

◦青蜥蜴ジュラ紀の夢に羊歯の陰 (あおとかげジュラきのゆめにしだのかげ)

凌霄

◦凌霄花秘密めきたる老暮らし (のうぜんかひみつめきたるろうぐらし)

青野

◦青野きてわが庭のまた青野かな (あおのきてわがにわのまたあおのかな)

時の日

◦時の日や目覚の早し寝の早し (ときのひやめざめのはやしねのはやし)

梅雨雲

◦梅雨雲の山を包んで田に宿る (つゆぐものやまをつつんでたにやどる)

夏断

◦夏断する僧の窶れも好ましき (げだちするそうのやつれもこのましき)

長茄子

◦長茄子のそへ木の太く過疎に立つ (ながなすのそへぎのふとくかそにたつ)

夏の昼

◦明星の黄道冒す夏の昼 (みょうじょうのこうどうおかすなつのひる)

子燕

◦子燕の巣立し二ケの虚空かな (こつばめのすだちし二このこくうかな)

田植季

◦半農の夕暉ゆるがす田植季 (はんのうのせっきゆるがすたうえどき)

捩り花

◦捩り花わが遺伝子の螺旋かな (ねじりばなわがいでんしのらせんかな)

衣更

◦お地蔵の赤い前掛け衣更 (おじぞうのあかいまえかけころもがえ)

早苗田

◦水掛けの早苗田まわり来て話す (みずかけのさなえだまわりきてはなす)