2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
◦旅の地図広げて駆ける二月尽 (たびのちずひろげてかけるにがつじん)
◦ただ老ゆことの真盛りに梅の花 (ただおゆことのまさかりにうめのはな)
◦丘焼いて原住民の血に目覚む (おかやいてげんじゅうみんのちにめざむ)
◦乾坤の妖しき闇の春灯 (けんこんのあやしきやみのはるともし)
◦下萌へて鳶が鷹生む話など (したもえてとびがたかうむはなしなど)
◦春耕の野仏残す山の畑 (しゅんこうののぼとけのこすやまのはた)
◦春しぐれ大釜の湯の手打ちかな (はるしぐれおおがまのゆのてうちかな)
◦朝寝して一炊の間の人の世よ (あさねしていっすいのまのひとのよよ)
◦大根の首切られても春を待つ (だいこんのくびきられてもはるをまつ)
◦苦きこと旬にしくなし蕗の薹 (にがきことしゅんにしくなしふきのとう)
◦薄氷踏んで朝鶏起こしけり (うすごおりふんであさとりおこしけり)
◦骨壺の温もり抱けば春の雪 (こつつぼのぬくもりだけばはるのゆき)
◦如月の屍刃ものの如く寝る (きさらぎのしかばねはもののごとくねる)
◦叔母の身を花に包まん西行忌 (おばのみをはなにつつまんさいぎょうき)
◦梅の香や才媛の名を全うす (うめのかやさいえんのなをまっとうす)
◦左保姫や九十八に身罷りぬ (さおひめやきゅうじゅうはちにみまかりぬ)
◦早春の今朝柔らかき靄の嘘 (そうしゅんのけさやわらかきもやのうそ)
◦柔らかき陽の色となり白障子 (やわらかきひのいろとななりしろしょうじ)
◦綾取の指にふわりと富士を取る (あやとりのゆびにふわりとふじをとる)
◦足止めは旅の途中の昼の火事 (あしどめはたびのとちゅうのひるのかじ)
◦重ね着て老醜の色重ねおり (かさねきてろうしゅうのいろかさねおり)
◦春待つや仁王も怖じる大わらじ (はるまつやにおうもおじるおおわらじ」
◦寒卵早朝に発つ遍路かな (かんたまごそうちょうにたつへんろかな)
◦恋猫の襤縷となりぬ眠りかな (こいねこのらんるとなりぬねむりかな)
◦子ぎつねのてぶくろ買ひに雪明かり (こぎつねのてぶくろかいにゆきあかり)
◦立春の朝寿ぐや槽搾り (りっしゅんのあさことほぐやふなしぼり)
◦節分の赤青鬼の手にも豆 (せつぶんのあかあおおにのてにもまめ)
◦炉話の夜叉面つけし儘終はる (ろばなしのやしゃめんつけしままおわる)
◦追儺なる鰯の頭猫が忌む (ついななるいわしのあたまねこがいむ)