2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧
〇雨あがり蝌蚪養へる水溜まり (あめあがりかとやしなえるみずたまり) 〇蝌蚪の水干上がるまえに足見せよ 河童三子 〇蝌蚪の足生へ草原の息吸はむ 々 〇母と娘は同じ業もつ蝌蚪の紐 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇ひたすらがいのちか蝌蚪はひたすらに 及川貞…
〇これほどの光りがよけり花ぐもり (これほどのひかりがよけりはなぐもり) 〇養花天と思へば花を慈しむ 河童三子 〇お池の周り桜並木の養花天 々 〇花曇じわじわ膨らむ疑惑かな 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇ゆで玉子むけばかゞやく花曇 中村汀女(1900━198…
〇蒲公英の絮お日さまの道めざす (たんぽぽのわたおひさまのみちめざす) 〇蒲公英や黄道に貌見せて咲く 河童三子 〇たんぽぽのやうなと言われ泣けぬ人 々 〇タンポポや胸がどきりと師弟愛 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇乳吐いて蒲公英の茎折れにけり 室生犀…
〇地のコアは燃える溶岩青き踏む (ちのコアはもえるようがんあおきふむ) 〇青き踏む地の底の哀しみを踏む 河童三子 〇転がれば無間地獄や青き踏む 々 〇青き踏む戦禍に遠きウクライナ 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇踏青や母と遊びし野は失せぬ 高木晴子(19…
〇泥団子光り輝く春休 (どろだんごひかりかがやくはるやすみ) 〇春休グランド同じ小中校 河童三子 〇春休担任先生転校す 々 〇先生に会う校庭の春休 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇春休絵ばかりかくや少年子 正岡子規(1867━…
〇わが家は丘の上なり春の虹 (わがいえはおかのうえなりはるのにじ) 〇消へぬ間に渡ってしまほう春の虹 河童三子 〇大空に回して飛ばん春の虹 々 〇春虹や大原女の花売りに来る 々 ブル便り 福音館「ことばそびうた」 〈此の一句〉 〇墨買ふや大和にかかる…
〇青饅のころしきれない酢に咽ぶ (あおぬたのころしきれないすにむせぶ) 〇青饅や齢(よわい)かさねて疎まれし 河童三子 〇青饅の砥部焼青し烏賊白し 々 〇青ぬたのつるり子離れ親離れ 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうたより 〈此の一句〉 〇青ぬたや…
〇同行の姿は見へぬ遍路笠 (どうぎょうのすがたはみえぬへんろかさ) 〇さぬき路や善根宿を出る遍路 河童三子 〇遍路転がし転がって行く二人かな 々 〇菜の花の中行く遍路絵の中へ 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇白晳の青年な…
〇生か死か春宵のハムレットかな (せいかしかしゅんしょうのハムレットかな) 〇春宵や昔恋知る乙女とて 河童三子 〇春宵や湖畔茶店のサンサーンス 々 〇春の宵独り座りて無聊(ぶりょう)かな 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇…
〇初蝶の羽化して今日が誕生日 (はつちょうのうかしてきょうがたんじょうび) 〇初蝶と指差しをれば濡れてをり 河 童三子 〇初蝶の真っ新な翅羽化を見る 々 〇初蝶の目線に山の稜線や 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇初蝶を夢…
〇春泥を印して通る耕運機 (しゅんでいをしるしてとおるこううんき) 〇春の泥道を辿ればトラクター 河童三子 〇春泥の轍の跡を一輪車 々 〇長靴の春泥鎌の背に削る 々 ブル便り 〈この一句〉 〇村中の鏡が光り春の泥 黛執(1930━2020)
〇山椒の赤き膨らみ木の芽立つ (さんしょうのあかきふくらみきのめたつ) 〇日に一度山椒見に出る木の芽時 河童三子 〇木の芽どき傘を忘れて戻りけり 々 〇引っ越しのトラック待つ木の芽時 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇木の…
〇石手寺の門の内より春の鐘 (いしてじのもんうちよりはるのかね) 〇入相(いりあい)の鐘や草もち売れ残る 河童三子 〇明け六つの鐘春の朝寝を戒しむる 々 〇昏れなずむ一人の夕餉春の鐘 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇鐘の…
〇競漕の鉦や太鼓に煽りたつ (きょうそうのかねやたいこにあおりたつ) 〇竸漕の抜かれつ追ひぬ流れかな 河童三子 〇竸漕果て艇担がれて返りいく 々 〇夕日背に競漕の影追いかける 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇竸漕の終り夕日の漂へり 大串章(1937—)
〇山はまた雪化粧して彼岸入る (やまはまたゆきげしょうしてひがんいる) 〇ぼた餅はこし餡にして彼岸入る 河童三子 〇彼岸入旦那寺の廟開いてをり 々 〇彼岸入遍路に道を教えけり 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇彼岸入斎粥熱き禅の寺 竹川貢代(不詳)
〇炒り卵菜飯に混ぜて一人かな (いりたまごなめしにまぜてひとりかな) 〇雨やんで山現れぬ菜飯かな 河童三子 〇中辺路の目張り菜飯に樹の根っこ 々 〇老いるほど菜飯の色を好むかな 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇箸置いて菜飯の色を賞でにけり 江国滋(1934…
〇春潮と島の飯屋の朝の客 (しゅんちょうとしまのめしやのあさのきゃく) 〇春潮や共に網ひく島仲間 河童三子 〇春潮の香のせて島の帰り船 々 〇春の潮海老飼うと言う島の人 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇春潮を眼下に源平いくさ跡 薮田 郁子(不詳)
〇朧月貨物列車が夢の中 (おぼろづきかもつれっしゃがゆめのなか) 〇朧月底の海鼠(なまこ)の眠りにも 河童三子 〇停泊船冲に浮かびぬ朧月 々 〇スフィンクスちょっと欠伸や月朧 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇海に入りて生れかはらう朧月 高浜虚子(1874━1…
〇種袋芥子の種もソラマメも (たねぶくろからしのたねもそらまめも) 〇袋種冷蔵庫出て目覚めけり 河童三男 〇抽斗はいのちの種のざわめくや 々 〇芥子種神のもらさぬ設計図 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇働きし大きな手なり…
〇春愁や雨と曇りの狭間かな (しゅんしゅうやあめとくもりのはざまかな) 〇春愁の路面電車の安全帯 河童三子 〇亀の首目を閉じしまま春愁う 々 〇我思う故に我在り春愁う 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」 〈此の一句〉 〇海原と大空われは春愁 鈴…
〇語り部の津波の擬音震災忌 (かたりべのつなみのぎおんしんさいき) 〇三月十一日聖書繙く 河童三子 〇三月十一日とにかく逃げろ 々 〇三月十一日まためざし焼く 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇父の命母の命や震災忌 京極杞…
〇陽炎や坂の上よりバス現るる (かげろうやさかのうえよりバスあらわるる) 〇さよならと振り向かず陽炎の中へ 河童三子 〇陽炎や砂丘に伏せし捨て小舟 々 〇陽炎に烏の遊ぶ千鳥足 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇五感衰へ陽炎…
〇思春期や疵つきやすき室の独活 (ししゅんきやきずつきやすきむろのうど) 〇独活といふ曖昧な味やみ憑きぬ 河童三子 〇今更に独活と呼ばるる傘寿かな 々 〇引きこもり独活のやうなる白さかな 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇…
〇春の水石に滑りて光るかな (はるのみずいしにすべりてひかるかな) 〇石鎚の伏流水や春の水 河童三子 〇春水の石を攫ひて深むかな 々 〇猫の舌小皿を舐める春の水 々 ブル便り 〈此の一句〉 〇春水となりて流転の始まれり 岡本まち子(不詳)
〇時々に窓截る鳥や雪の果て (ときどきにまどきるとりやゆきのはて) 〇妹が吾を呼び来る雪の果て 河童三子 〇雪の果て平家の村へかずら橋 々 〇雪の果て傘寿ちょう道半ば 々 ブル便り 福音館「ことばあそびのうた」より 〈此の一句〉 〇いよいよの雪の果と…
〇春炬燵覗ひて猫と目が合いぬ (はるこたつのぞいてねことめがあいぬ) 〇春炬燵国会議員のひざ掛けや 河童三子 〇春炬燵終活ノート書き換へる 々 〇春炬燵雲はゆっくり窓を行く 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇死を恐れず風邪…
〇啓蟄の烏が見張る土手の穴 (けいちつのからすがみはるどてのあな) 〇啓蟄や父母でて兄弟姉妹出る 河童三子 〇啓蟄や泥を吐き出す浚渫船 々 〇水面に亀が鼻出す啓蟄や 々 ブル便り 福音館「ことばあそびのうた」より 〈此の一句〉 〇啓蟄やみみずはみみず…
〇耕すや角の牛舎に耕運機 (たがやすやすみのぎゅうしゃにこううんき) 〇春耕や大地が息を吹き返す 河童三子 〇耕人の祠残して首(こうべ)垂る 々 〇耕人の鍬が掘り出す兵馬俑 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇耕して高き欅を…
〇出雲路や三月の嫁姑看に (いずもじやさんがつのよめしゅうとみに) 〇三月の雨の向こうに野の緑 河童三子 〇温かい雨に始まる三月や 々 〇三月やフライパンにてアップルパイ 々 ブル便り 福音館「ことばあそびうた」より 〈此の一句〉 〇三月の雑誌の上の…
〇鳥帰る振り向くことのなかりけり (とりかえるふりむくことのなかりけり 〇鳥帰る百舌鳥古墳群下に見て 河童三子 〇瀬戸抜けて日本海越え鳥帰る 々 〇雲の上晴れてゐるなり鳥帰る 々 ブル便り 福音書館「ことばあそびうた」より 〈この一句〉 〇鳥帰る三河…