2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧
◦雨の絵を剥がして六月了りけり (あめのえをはがしてろくがつおはりけり)
◦悔恨の微熱に黴は増殖す (かいこんのびねつにかびはぞうしょくす)
◦踏切の鳴り止みてまた青嶺見ゆ (ふみきりのなりやみてまたあおねみゆ)
◦黄昏れのひとり端居の風と居る (たそがれのひとりはしいのかぜといる)
◦起し絵の南の旅の燈懐かし (おこしえのみなみのたびのひなつかし)
◦とりあえず種をのこさんか夏の蝶 (とあえずしゅをのこさんかなつのちょう)
◦老鶯の音を爽やかに雨あがる (ろうおうのねをさわやかにあめあがる)
◦草が夏木にキリキリと鵙の庭 (くさがなつきにキリキリともずのにわ)
◦夕やけの壁にくノ一蝸牛 (ゆうやけのかべにくのいちかたつむり)
◦雨雲の澪標ゆく夏至の空 (あまぐものみおつくしゆくげしのそら)
◦漸々の本梅雨となり紙重し (いよいよのほんつゆとなりかみおもし)
◦桜桃忌阿波聖人と棲みにけり (おうとうきあわせいじんとすみにけり)
◦短夜や漁の響きを目に追ひぬ (みじかよやりょうのひびきをめにおいぬ)
◦蛞蝓といふ肩書きで家持たず (なめくじというかたがきでいえもたず)
◦夏雲や頭上のくじら乳のあたり (なつぐもやづじょうのくじらちのあたり)
◦蜘蛛の囲や会いたくはない人の居て (くものいやあいたくはないひとのいて)
◦兜太読む蒸し暑き夜の蛙かな (とうたよむむしあつきよのかえるかな)
◦アバターの子の来て飲むはソーダ水 (アバターのこのきてのむはソーダすい)
◦遍路笠乾かして行くつゆ晴れ間 (へんろがさかわかしていくつゆはれま)
◦梅雨茫沱紡ぎし物の崩れゆく (つゆぼうだつむぎしもののくずれゆく)
◦時の日や漏刻のごと田水来る (ときのひやろうこくのごとたみずくる)
◦イソップの狐の憂ひ夏薊 (イソップのきつねのうれいなつあざみ)
◦はらん杏女の一生読み終わる (はらんきょうおんなのいっしょうよみおわる)
◦娑羅の花釈迦の衣の真白かな (しゃらのはなしゃかのころものましろかな)
◦枇杷の実のまん丸尻と尖り尻 (びわのみのまんまるしりととがりしり)
◦鈴懸の午後の珈琲アイスにす (すずかけのごごのコーヒーアイスにす)
◦沢瀉のどこやら床し水の縁 (おもだかのどこやらゆかしみずのふち)
◦郭公の葦切の子と思はばや (かっこうのよしきりのことおもわばや)
◦鵙の巣の見捨てられしか梅雨しきる (もずのすのみすてられしかつゆしきる)
◦鵙の巣を覗いてみるや衣更え (もずのすをのぞいてみるやころもがえ)