母の日

〇娘が母と呼ばれて久し母の日や (こがははとよばれてひさしははのひや) 〇家空け難し母の日となりにけり 河童三子 〇母の日や三代の御世母として 々 〇母の日や婆と呼ばせぬ孫のゐて 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇母の日の夕焼け家を充たしけ…

松蝉

〇松蝉がもう鳴きだして浜の院 (まつぜみがもうなきだしてはまのいん) 〇松蝉の奥ゆかしくも物申す 河童三子 〇松蝉の声ばかりして砂州の家 々 〇松蝉の声に送らる遍路宿 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇大寺の松蝉遠く風に鳴く 石川多歌司(193…

葱坊主

〇葱坊主スキマ時間を育てをり (ねぎぼうずすきまじかんをそだてをり) 〇葱坊主照る日曇る日また照る日 河童三子 〇葱坊主手持ち無沙汰な午後の雨 々 〇放課後の自転車置き場葱坊主 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇仮の世の庵の畑の葱坊主 小澤…

矢車

〇矢車のカラカラ寂る夕べかな (やぐるまのカラカラさびるゆうべかな) 〇矢車の音空深く沈みゆく 河童三子 〇思い出の蘇える矢車の音 々 〇矢車回る五月の残像 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇太陽に矢車あづけ留守の家 鷹羽狩行(1930━2024)

蕗の葉

〇蕗の葉や午後柔らかき雨の中 (ふきのはやごごやわらきあめのなか) 〇傾きて蕗の葉の雨雫する 河童三子 〇蕗の葉に野苺乗せて貰ひけり 々 〇蕗の灰汁手に染め馴染む所帯持ち 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇けふは蕗をつみ蕗をたべ 種田山頭火…

子供の日

〇田の端に幡あげ村の子供の日 (たのはたにはたあげむらのこどものひ) 〇子供の日紙の兜で戦へ行く 河童三子 〇鯉幟立てて島出る一家かな 々 〇子供の日村に親なし子もをらず 々 From Bru tograndson 〈此の一句〉 〇子供の日背を向けてゐる大ゴリラ 藤本…

青麦

〇麦青む讃岐路を橄欖買ひに (むぎあおむさぬきじをかんらんかいに) 〇青麦や飯山の裾靡かせて 河童三子 〇道端にうどん屋の旗麦青む 々 〇青麦の風に靡きし金毘羅道 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇戸の隙に青麦光り昼の箸 桂信子(1914━2004)

初燕

〇初燕まず家家へ挨拶に (はつつばめまずいえいえへあいさつに) 〇誇らかに胸膨らます初燕 河童三子 〇初燕紙工場の町の軒 々 〇新調の燕尾服着て初燕 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇天金の書を繙くや初燕 山川安人(不詳)

八十八夜

〇巡礼の新茶噛み行く八十八夜 (じゅんれいのしんちゃかみゆくはちじゅうはちや) 〇白湯で飲む八十八夜の頭痛薬 河童三子 〇雨風も八十八夜の晴れて朝 々 〇そよ風と太陽出し八十八夜 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇灯して八十八夜夫と在り 石…

五月

〇聖書もて訪ひ来る人や五月の坂 (せいしょもてといくるひとやごがつのさか) 〇教会に白い花咲く聖五月 河童三子 〇手に重き聖書開きぬ五月の陽 々 〇福音の書携えて五月来ぬ 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇象なき色の饒舌五月の陽 林翔(1914━…

四月尽

〇雨止みて虹の出にけり四月盡 (あめやみてにじのでにけりしがつじん) 〇四月尽筍蕨(たけのこわらび)喰ひ尽くし 河童三子 〇学友と遊びを学び四月尽 々 〇四月尽庭は紫蘭の盛かな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇四月尽凧の慟哭地におろし 三…

昭和の日

〇昭和の日通天閣と新世界 (しょうわのひつうてんかくとしんせかい) 〇ビリケンの蹠(あうら)輝く昭和の日 河童三子 〇串カツと通天閣と昭和の日 々 〇昭和の日団子汁など懐かしく 々 〇昭和の日疎開と言った避難場 々 From Buru to grandson 〈此の一句…

春昼

〇春昼や守一の蟻動かざる (しゅんちゅうやもりかずのありうごかざる) 〇春昼の絵筆に蟻を赤くぬる 河童三子 〇春昼や画布に落としぬ染みのあと 々 〇春昼の猫描いて目閉じしまま 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇春昼や玻璃一枚の内と外 今井千…

若葉雨

〇若葉雨ピカソの青い母子像 (わかばあめピカソのあおいおやこぞう) 〇浦の山明るく匿す若葉雨 河童三子 〇開催の決定待つや若葉雨 々 〇紫陽花の蕾に溜める若葉雨 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇逢ふもよし逢はぬもおかし若葉雨 杉田久女(189…

〇蟻郡蟻村字蟻アリの家 (ありぐんありむらあざありありのいえ) 〇守一を探せば蟻の巣の横に 河童三子 〇蟻の目に豆の芽塔のやうに立ち 々 〇口づけのアイサツをする蟻の列 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇牡丹や安房崩すと通ふ蟻 河東碧梧桐(1…

囀り

〇囀りに来て森深く迷ひ込む (さえずりにきてもりふかくまよいこむ) 〇囀りや雀の宿へ誘わるる 河童三子 〇囀りや山田をぬけて隣村 々 〇囀りや引き籠る子の窓に来て 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇鶯も啼くぞ雲雀も囀るぞ 正岡子規(1867━1902…

日永

〇日永し西へショベルカー首伸ばす (ひながしにしへショベルカーくびのばす) 〇首伸ばし亀が餌欲る日永かな 河童三子 〇石拾て歩けば浜の日の永し 々 〇守一の絵を石に描く日永かな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇鶏の仲間割れして日永哉 小林…

春風邪

〇こう降れば半平太とて春の風邪 (こうふればはんぺいたとてはるのかぜ) 〇行平に粥炊く朝や春の風邪 河童三子 〇水洟の透き通りたり春の風邪 々 〇春の風邪二日つづきぬ雨もよい 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇死を恐れず風邪を恐れて春の風邪…

陽炎

〇陽炎へる十八頭の人馬かな (かげろへるじゅうはっとうのじんばかな) 〇返し馬脱糞の尻陽炎へる 河童三子 〇直線に鞭ふる騎手の陽炎へる 々 〇陽炎やコーナーに馬横並び 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇陽炎や馬糞も銭に成りにけり 小林一茶(1…

春愁

〇春愁の屈折光にガラスペン (しゅんしゅうのくっせつこうにガラスペン) 〇硝子ペン微熱の指に春愁ふ 河童三子 〇春思ふ腰の括れし瑠璃のペン 々 〇春愁ふ硝子のペンの手に重き 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇春愁やインキの壺に蓋忘れ 森田峠…

穀雨

〇芋の芽の闇に伸びぬる穀雨かな (いものめのやみにのびぬるこくうかな) 〇頬あかき雉歩き来る穀雨の畑 河童三子 〇農学生穀雨の水に手を洗ふ 々 〇降るそぶり見せるばかりや今日穀雨 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇ひもすがらうつらうつらと穀…

初音

〇長谷寺の磴の奥より初音 (はせでらのいしだんのさおくよりはつね) 〇氏素性背負ひて鳴ける初音かな 河童三子 〇初音する峠径拓かれてゐし 々 〇道抜ける峠の木々に初音かな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇高箒ひやりと持てば初音かな 鷹羽狩…

花吹雪

〇逝くときはみんな一斉花吹雪 (らっかにもとりのこされしひとりかな) 〇落花にも取り残されて一人かな 河童三子 〇富士山に農鳥現れて花吹雪 々 〇花吹雪チチチチチチと雛の声 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇晩年は桜ふぶきと言ふべかり 中村…

磯遊び

〇わが山を少し遠くに磯遊び (わがやまをすこしとおくにいそあそび) 〇磯遊び塩に飛び出る貝掴む 河童三子 〇潮干狩りバケツの貝が手足出す 々 〇磯遊び潮に背を向け石拾ふ 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇ちぢこまる寄居虫の脚磯遊び 矢島渚男…

竹の秋

〇音に聞く嵯峨野の悲恋竹の秋 (おとにきくさがののひれんたけのあき) 〇横笛を返す滝口竹の秋 河童三子 〇竹の秋つひ山路へ足の向く 々 〇足跡の繁き往来竹の秋 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇山音を句帳に拾ふ竹の秋 橋本良子(不詳)

田水

〇米作る田水満ちきて恙なし (こめつくるたみずみちきてつつがなし) 〇田水来る日の雨降って捗りぬ 河童三子 〇田水引くその日蛙の初啼きに 々 〇田水張って土の匂ひの夫婦かな 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇田水張りつめ花道を帰るごと 折井…

十三詣り

〇虚空蔵睨んで帰る智慧詣 (こくうぞうにらんでかえるちえまいり) 〇十三詣憎まれ口も智慧の内 河童三子 〇虚空蔵振り返らずに知恵詣 々 〇孫よりも己に欲しき智慧詣 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇渡月橋渡り安堵の智恵 新村千博(不詳)

〇碇泊船冲に浮かべて海朧 (ていはくせんおきにうかべてうみおぼろ) 〇弓張月朧が包む世の乱れ 河童三子 〇遠回りせし散歩の径の朧かな 々 〇沖をゆく船の警笛朧の夜 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇まんまるな山々なぶ朧哉 寺田寅彦(1878━1935…

目借り時

〇玄関のベル鳴る蛙の目借り時 (げんかんのベルなるかえるのめかりどき) 〇目借り時ヘアピンカーブの夢に覚む 河童三子 〇目借り時本格的に寝てしまふ 々 〇一人居は気儘よ蛙の目借り時 々 〇目借り時珈琲二杯飲んでみる 々 〇二杯目の珈琲蛙の目借り時 々…

雀の子

〇雀の子殻けちらして口開ける (すずめのこからけちらしてくちあける) 〇子雀の産毛吹かれる雨あがり 河童三子 〇巣を落ちてくねくね転ぶ雀の子 々 〇雀の子三歩あるひて二度ころぶ 々 From Buru to grandson 〈此の一句〉 〇雨上るらし子雀と親雀 高木晴…