襟巻

〇マルキスト赤い襟巻してねむる (まるきすとあかいえりまきしてねむる) 〇マフラーより出して眼(まなこ)の澄めるかな 河童三子 〇マフラーニット帽子どもは風の子 々 〇襟巻して風のない日の散歩かな 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇桂郎の赤い襟巻畦の数 …

冬帽子

〇冬帽子夜勤あがりの霧の街 (ふゆぼうしやきんあがりのきりのまち) 〇二ット帽肩竦(すく)め行く雪空の下 河童三子 〇ロシア帽ウオッカ呑めば労働歌 々 〇冬帽子ボルサニーノのデカプリオ 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇磔像の前冬帽を鷲掴み 山田弘子 こ…

漱石忌

〇坊ちゃん湯朝の太鼓や漱石忌 (ぼっちゃんゆあさの太たいこそうせききそうせきき) 〇イギリスはいつも傘さす漱石忌 河童三子 〇其れからは未読のままに漱石忌 々 〇湯上がりに絣着てみる漱石忌 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇漱石忌洋間の冷えに爪立ちて 鍵…

冬の月

〇鴨川に首垂るる鷺冬の月 (かもがわにくびたるるさぎふゆのつき) 〇浄土寺の鐘楼高く冬の月 河童三子 〇冬の月二匹の猫が屋根の上 々 〇子狐の母待つ空に冬の月 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇長安の糸より細き冬の月 有馬朗人 有馬明人は東大総長 文部大臣…

納め句座

〇来年もがんばりませう納め句座 (らいねんもがんばりませうおさめくざ) 〇ネット句に人柄見へて納め句座 河童三子 〇納め句座石の上にも三年や 々 〇納め句座きりっと締まる句も出来ず 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇恙なく一門揃ふ納句座 吉野濃菊 「納め…

湯豆腐

〇湯豆腐を掬ってもらふ崩れぬ仲 (ゆどうふをすくってもらうくずれぬなか) 〇湯豆腐の湯気の此方に並ぶかな 河童三子 〇湯豆腐や死後を認めぬ人と食ぶ 々 〇湯豆腐や雨音きえて雪になる 々 婆ごころ 〈此の一句〉 〇湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保…

枇杷の花

〇枇杷の花ジェネリックにて生き延びし (びわのはなジェネリックにていきのびし) 〇枇杷の花むかし長屋の子沢山 河童三子 〇軽口をたたいて寒し枇杷の花 々 〇この庭に子の声なくて枇杷の花 々 婆ごころ 早朝から ブルばあちゃんの 山の裾野に煙が棚引いて…

〇狸谷北風に舞ふ木の葉銭 (たぬきだにきたかぜにまうこのはせん) 〇平成の狸子もなく木の葉髪 河童三子 〇ポンポコリン貉(むじな)こぞりて年忘れ 々 〇掛帳持つ陶の狸に師走かな 々 婆ごころ ブルばあちゃんは今月の血圧の薬をいただきにクリニックへ行…

冬日

〇冬陽選り六角堂の鳩歩む (ふゆひえりろっかくどうのはとあゆむ) 〇冬日射し手術の予後のまた伸びし 河童三子 〇日当りを求めて歩く冬の鳩 々 〇きのふより今日おとろへて冬日受く 々 婆ごころ 京都、滋賀から戻って漸く ブルばあちゃんは12月(師走)を…

浅漬け

〇浅漬けの色はんなりと京の彩 (あさづけのいろはんなりときょうのいろ) 〇朝粥に浅漬けしぼり添えにけり 河童三子 〇浅漬けに京の思いで鏤(ちりば)めし 々 〇浅漬けの赤白緑京の彩 々 婆ごころ 浅漬けの美味しい気候になりました ブルばあちゃんの従妹…

狐火

〇狐火や土葬に苔のしめり哉 (きつねびやどそうにこけのしめりかな) 〇村長の狐火談義目がひかる 河童三子 〇狐火や夜空に走るドロン砲 々 〇狐火にも見まよふ岡の我が家の灯 々 婆ごころ 滋賀県の甲賀町は 甲賀流の忍者の里でした 子供のころ「猿飛佐助」…

十二月

〇十二月コンテナ船の荷揚げ待つ (じゅうにがつコンテナせんのにあげまつ) 〇遠海に朝日しみ沁み十二月 河童三子 〇十二月猫と見てゐる遠い山 々 〇衰へて五感寂しき十二月 々 婆ごころ 暖かで穏やかな12月の始まりです 庭塀の棟瓦が朝の光に輝いてみえま…

小六月

〇小六月車窓間近き瀬戸の波 (ころくがつしゃそうまぢかきせとのなみ) 〇小六月京の雑踏より戻る 河童三子 〇遥かなる小島の晴れて小六月 々 〇縁に座せば我が山となる小六月 々 婆ごころ 障子を開けて ガラス窓から入る日当りにパソコンを移動させて 日向…

初冠雪

〇初冠雪女ごころの胸騒ぎ (はつかんせつおんなごころのむなさわぎ) 〇村人の消えてゆく日や初冠雪 河童三子 〇前山の今朝の初雪雲でなく 々 〇初冠雪ゆすぶってみる灯油缶 々 婆ごころ 秋からこっち 初めて豊受山に雪がかかりました 居間のブルばあちゃん…

寒風

〇寒風や底冷えを舞い上げていく (かんぷうやそこびえをまいあげていく) 〇寒風に口の回りを晒されし 河童三子 〇寒風や京都盆地を西廻り 々 〇寒風の一夜の宿を借りに来し 々 婆ごころ 新幹線を岡山で降りて「しおかぜ」に乗り換えると やがて瀬戸大橋を…

朴落ち葉

〇朴落ち葉夕暮の魔女の落とし物 (ほうおちばゆうぐれのまじょのおとしもの) 〇一踏みで木っ端みじんの朴落葉 河童三子 〇キャンパスは朴の落葉を絨毯に 々 〇一刃に朴の落葉の虚空斬る 々 婆ごころ よく乾いた枯葉は小さい物ほどおしゃべりで陽気に騒ぎだ…

根深汁

〇いま掘った大きな穴の根深汁 (いまほったおおきなあなのねぶかじる) 〇下仁田の太き一切れ根深汁 河童三子 〇根深汁金時芋に場所譲る 々 〇九条葱山ほど乗せて掛けうどん 々 婆ごころ 今年の5月の半年検診のときは従姉妹と会っていなかったから 久しぶ…

闇鍋

〇闇鍋に悲鳴のあがる蟹の爪 (やみなべにひめいのあがるかにのつめ) 〇闇鍋や神経研げる箸の先 河童三子 〇柔らかき物闇鍋に摘まみあぐ 々 〇闇鍋を無闇やたらに搔きまわす 々 婆ごころ 9時30分 リンパ浮腫外来受診 腫れは変化なし 11時30分 乳腺外来受診 …

綿虫

〇綿虫を連れて極楽浄土観る (わたむしをつれてごくらくじょうどみる) 〇夕暮の西京の野に綿虫と 河童三子 〇平安に綿虫の舞ふみやびかな 々 〇綿虫のふわりふわりと京の町 々 婆ごころ 今回の京都行きのために ブログに虫食いの空白ができてしまいました …

小春

〇小路まで人波入るる京小春 (こうじまでひとなみいるるきょうこはる) 〇小春日や知恩寺に古本を読む 河童三子 〇古本市小春陽あてて古地図見る 々 〇小春日やランチに並ぶめし屋かな 々 婆ごころ 京都に来ると古本屋さんを思い出します ちょっとしたお寺…

冬の蜂

〇約束の蜜を夢みる冬の蜂 (やくそくのみつをゆめみるふゆのはち) 〇冬暖にあだな命や冬の蜂 河童三子 〇日当りに脚のばしをり冬の蜂 々 〇冬の蜂電車に乗って検診に 々 婆ごころ 三階の広い窓からは欅の梢が覗いています 久しぶりに見る居間からの 光景に…

ボジョレーヌーヴォー

〇ボジョレーヌーヴォー知らぬ顔してチリワイン (ボジョレーヌーヴォーしらぬかおしてチリワイン) 〇通ぶってボジョレーの赤冷やしおり 河童三子 〇ボルドーの第三木曜新酒に湧く 々 〇ボジョレーもアルパカもワイングラスで 々 婆ごころ ブルばあちゃんは…

河豚

〇てっちりや腹空にして河豚提灯 (てっちりやはらからにしてふぐちょうちん) 〇づぼらやの提灯下りて河豚の季 河童三子 〇大阪の食道楽に河豚屋消え 々 〇大皿にてっちりの身の薄さかな 々 婆ごころ きのう 谷川俊太郎氏の訃が報じられました 92歳というお…

落葉

〇落葉着てお地蔵のオートクチュール (おちばきておじぞうのオートクチュール) 〇欅落葉金波銀波の陽の溜まり 河童三子 〇お地蔵の赤い落葉を好むかな 々 〇落葉して禊に在るや大欅 々 婆ごころ 今朝はすっかり寒くなりました お豊受山を見ると 頂上辺りが…

障子

〇絵草子や朝な夕なの障子の影 (えぞうしやあさなゆうなのしょうじのかげ) 〇小鳥きて障子の影に遊ぶかな 河童三子 〇障子あけて遊ぶ小鳥を逃しけり 々 〇障子洗ふ山から雲が降りぬ間に 々 婆ごころ 障子の影絵と言えば 俳句を初めてから3年目に はじめて…

神迎

〇盛塩に神を迎へる心かな (もりじおにかみをむかえるこころかな) 〇柏手(かしわで)を三回打って神迎へ 河童三子 〇氏神や出雲の旅を無事に了へ 々 〇がやがやと八百万神家に戻る 々 婆ごころ この頃夜の明けるのがとても遅いように感じられます 夜中に…

藷粥

〇息吹いて藷粥の湯気ふくらます (いもがゆやほほふくらますゆげのなか) 〇藷粥を行平に炊く一人かな 河童三子 〇藷粥や沢庵の音噛みころす 々 〇十日夜の大釜に粥炊くまわり 々 婆ごころ お粥さんはブルばあちゃんにとっては 幼い頃から親しみのある食事…

柊の花

〇柊咲く億劫になる水仕ごと (ひいらぎさくおっくうになるみずしごと) 〇一本の柊に一房の花 河童三子 〇家守る柊の花香も秘そか 々 〇いつの間に柊咲きし石に落つ 々 婆ごころ 朝から雨模様でした フェンスには一日中 雨の雫が溜っていて 乾くことも流れ…

重ね着

〇マトリョーシカ彩ぬり替えて重ね着る (マトリョーシカいろぬりかえてかさねきる) 〇夜神楽に皆ころころと厚着かな 河童三子 〇重ね着て胆斗(たんと)のごときお婆かな 々 〇重ね着して平安朝の物腰に 々 婆ごころ 数年前 旅行でロシアへ行きました 何日…

石蕗の花

○梵字書く札所の僧や石蕗の花 (ぼんじかくふだしょのそうやつわのはな) 〇陽だまりを歩く遍路と石蕗の花 河童三子 〇花石蕗の首を伸ばして誰を待つ 々 〇石垣の下の花石蕗背が高き 々 婆ごころ テレビではカラリと晴れて絶好の洗濯日和と言ってますが 朝か…