2012-01-01から1年間の記事一覧
◦大晦日つえ一本の収支かな (おおみそかつえいっぽんのしゅうしかな)
◦歳晩の月の出早し灯の廚 (さいばんのつきのではやしひのくりや)
◦数え日やレシピの増えて子を待てり (かぞえびやレシピのふえてこをまてり)
◦冬の月捨てられずまだ持っている (ふゆのつきすてられずまだもっている)
◦外晴れてひとり昼餉のおじや炊く (そとはれてひとりひるげのおじやたく)
◦大白菜赤子のように貰ひ受く (おおはくさいあかごのようにもらいうく)
◦冬の玻璃くもる事なきひとり哉 (ふゆのはりくもることなきひとりかな)
◦かじけ猫ゆんべの勇姿諾はず (かじけねこゆんべのゆうしうべなわず)
◦パドックに有馬記念の栗毛かな (パドックにありまきねんのくりげかな)
◦鉄棒の順々高き冬休み (てつぼうのじゅんじゅんたかきふゆやすみ)
◦冬至の湯毛染めの後を流しけり (とうじのゆけぞめのあとをながしけり)
◦茶話となり夜伽の外の霙かな (ちゃわとなりよとぎのそとのみぞれかな)
◦賀状書く耳遠き叔母がひとりで (がじょうかくみみとおきおばがひとりで)
◦日照雨過ぐ野守も濡れて冬野かな (そばえすぐのもりもぬれてふゆのかな)
◦対岸をシンメトリーに冬の水 (たいがんをシンメトリーにふゆのみず)
◦国選や冬の泥鰌を掬ひけり (こくせんやふゆのどじょうをすくいけり)
◦北極の負の振動や銀世界 (ほっきょくのふのしんどうやぎんせかい)
◦白菜の命ざっくり鍋へ盛る (はくさいのいのちざっくりなべへもる)
◦冬廚北窓に鈍色の海 (ふゆくりやきたまどににびいろのうみ)
◦師走選世論調査の電子音 (しわすせんよろんちょうさのでんしおん)
◦凩に手を振って行く選挙カー (こがらしにてをふっていくせんきょカー)
◦檀那寺の僧が走るや大節季 (だんなじのそうがはしるやおおせっき)
◦ラガーらの泥の勲章蒼き口 (ラガーらのどろのくんしょうあおきくち)
◦古稀こへて三年つづく日記買ふ (こきこえて三ねんつづくにっきかう)
◦前ぶれの光の慈悲や冬の雷 (まえぶれのひかりのじひやふゆのらい)
◦夜回りの闇より鉦の闇へ消ゆ (よまわりのやみよりかねのやみへきゆ)
◦夜話の背中に伸びる影障子 (よばなしのせなかにのびるかげしょうじ)
◦冬ざるる汽缶の音の仕舞湯や (ふゆざるるきかん(ボイラー)のおとのしまいゆや)
◦冬一番ひとりの膝を折りし侭 (ふゆいちばんひとりのひざをおりしまま)
◦月冴ゆる一途に語ることあらむ (つきさゆるいちずにかたることあらむ)