2015-01-01から1年間の記事一覧
○朝あかね夕茜して大晦日 (あさあかねゆうあかねしておおみそか)
○枯れ山や陶工の背の薄明かり (かれやまやとうのせのうすあかり)
○年の瀬や築地に閉じる八十年 (としのせやちきじにとじる八十ねん)
○街の風正面に受く飾り売り (まちのかぜしょうめんにうくかざりうり)
○春秋に名のなきものや冬帽子 (しゅんしゅうになのなきものやふゆぼうし)
○紅椿足湯に紅の爪ならぶ (べにつばきあしゆにべにのつめならぶ)
○金曜の夜にはじける忘年会 (きんようのよるにはじけるぼうねんかい)
○この年もふたりきりなる聖夜かな (このとしもふたりきりなるせいやかな)
○冬菫にもニュートリノ降り注ぐ (ふゆすみれにもニュートリノふりそそぐ)
○旦那寺の僧身罷りて大根炊く (だんなじのそうみまかりてだいこたく)
○数え日や雨ふっていてクイズ解く (かぞえびやあめふっていてクイズとく)
○竈猫けふは法事で追い出さる (かまどねこきょうはほうじでおいださる)
○土曜日は湯豆腐と決めひとり膳 (どようびはゆどうふときめひとりぜん)
○セーターの左の脇に虫の穴 (セーターのひだりのわきにむしのあな)
○死にざまの生きざまに似て屏風立つ (しにざまのいきざまににてびょうぶたつ)
○茎漬の賞味切れにも京みやげ (くきづけのしょうみぎれにもきょうみやげ)
○流星や夢の中より儚くて (りゅうせいやゆめのなかよりはかなくて)
○冬ぬくし青菜の虫の羽化やまず (ふゆぬくしあおなのむしのうかやまず)
○山眠る狸寝入りの山もあり (やまねむるたぬきねいりのやまもあり)
○京友禅流れに洗う川千鳥 (きょうゆうぜんながれにあらうかわちどり)
○寄せ鍋の鯒の寄り目のあわれ哉 (よせなべのこちのよりめのあわれかな)
○隙間風右を塞げば左から (すきまかぜみぎをふせげばひだりから)
○黒雲の霙か雪を抱きおる (くろくまのみぞれかゆきをいだきおる)
◦極月の路の葉踏みて擦過音 (ごくげつのみちのはふみてさっかおん)
◦冬の旅京を上りという電車 (ふゆのたびきょうをのぼりというでんしゃ)
◦何処をどう漂流れてきしか冬の凪 (どこをどうながれてきしかふゆのなぎ)
◦パソコンと自分の穴に冬籠 (パソコンとじぶんのあなにふゆごもり)
◦冬麗や障子に影の人が来る (とうれいやしょうじにかげのひとがくる)
◦黒熊の帰る姿におばあさん (くろくまのかえるすがたにおばあさん)
◦着ぶくれて羊のような目でおりぬ (きぶくれてひつじのようなめでおりぬ)