2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
〇熱帯低気圧のこし五月行く (ねったいていきあつのこしごがついく) 〇ご先祖も温泉好きで五月盡く 河童三子 〇苦もなくて楽少々に五月行く 々 〇この月もまたうかうかと五月尽 々
〇入梅す一気に暦仲夏なり (にゅうばいすいっきにこよみちゅうかなり) 〇お花見の酔ひが残れる梅雨入りかな 河童三子 〇入梅の最も早き年となる 々 〇助走なく梅雨はじまりて大慌て 々
〇解体のビルの映像牡丹堕つ (かいたいビルのえいぞうぼたんおつ) 〇垂直に崩れ堕ちたる牡丹かな 河童三子 〇牡丹(ぼーたん)のくづるる時の潔(いさぎ)よし 々 〇牡丹くづるる獅子身中の虫出でし 々
〇一炊の夢みてしまふ古籐椅子 (いっすいのゆめみてしまふふるとういす) 〇籐椅子や廊下の奥に開かずの間 河童三子 〇籐椅子の死角好みしねむり猫 々 〇籐椅子の座り心地も古びけり 々
〇青鷺の青田に小首メランコリー (あおさぎのあおたにおくびメランコリー) 〇青鷺や桂林の山夢みてる 河童三子 〇青鷺の釣り人上げし鱚を視る 々 〇青鷺の目の隈取や沢潟屋 々
〇夏書きの僧魚板を敲く昼餉かな (げがきのそうぎょばんをたたくひるげかな) 〇百日の百句つくりて夏書きとす 河童三子 〇写経の書百枚をもて夏書き果つ 々 〇無の文字の徐々に彩なす夏書きかな 々
〇莢剥いてグリーンピースの一握り (さやむいてグリーンピースのひとにぎり) 〇郷愁の大釜に炊く豆ごはん 河童三子 〇匂やかに今炊きあがる豆ご飯 々 〇豆飯のだいご味釜を混ぜるとき 々
〇波音や浜豌豆の空に月 (なみおとやはまえんどうのそらにつき) 〇浜豌豆仔犬の鼻の濡れてをり 河童三子 〇浜豌豆暮れりゃ砂山波の音 々 〇浜豌豆濃紫(こむらさき)なるシーグラス 々
〇海芋咲ぬ母の遠忌で在りし日よ (かゆさきぬははのえんきでありしひよ) 〇尖り芽が葉となり花に海芋白し 河童三子 〇投げられしカラーのブーケ汚れなし 々 〇穢れぬかと心懸かりの海芋咲く 々
〇袋角争ふ貌はなかりけり (ふくろつのあらそうかおはなかりけり) 〇懺悔してまた新しき袋角 河童三子 〇剃髪に煩悩めばゆ袋角 々 〇袋角すでに三枝の現れて 々
〇在所出る娘を案ずるや桐の花 (ざいしょでるこをあんずるやきりのはな) 〇桐咲くや母が継ぎ来し桐箪笥 河童三子 〇桐の花里は人気の消えしまま 々 〇樹に残るナイフの疵や桐の花 々
〇牛蛙鳴いて地底を震わせる (うしがえるないてちていをふるわせる) 〇牛蛙ヴオンヴオンと池の闇 河童三子 〇冥府より呼んでゐるかに牛蛙 々 〇牛蛙正倉院の池に棲む 々
〇覚束な歩み八十路のサングラス (おぼつかなあゆみやそじのサングラス) 〇サングラス掛けてセピアの街を行く 河童三子 〇御目病める上皇后のサングラス 々 〇サングラス五番街てふ通り行く 々
〇糸垂れて森の哲人浦島草 (いとたれてもりのてつじんうらしまそう) 〇今は亡き友を想うや浦島草 河童三子 〇烟出る箱は持たぬや浦島草 々 〇その奥は黄泉比良坂浦島草 々
〇麦秋や怒れる空と黄の大地 (ばくしゅうやいかれるそらときのだいち) 〇麦の秋燧灘へとなだれ込む 河童三子 〇麦秋や穂を揉む使徒の安息日 々 〇麦の秋暮れて雀の子らうれし 々
〇郭公の托卵孵る山の詩 (かっこうのたくらんかえるやまのうた) 〇郭公や吾は祖父母に育てらる 河童三子 〇郭公鳴く県境の尾根曲がりをり 々 〇ヨシキリや郭公の子に餌を運ぶ 々
〇手品師の鳩飛び立てり聖五月 (てじなしのはととびたてりせいごがつ) 〇鈴懸の木漏陽享くる聖五月 河童三子 〇聖五月エッヘル塔の雨雫 々 〇クレーン載せ大聖堂の聖五月 々
〇母の日やははといふこえやわらかし (ははのひやははというこえやわらかし) 〇母の日の魚眼めがねのプレゼント 河童三子 〇母の日や百年前のおさげの母 々 〇母の日の次の日の母寡黙なり 々
〇賀茂川に草笛の音の流れゆく (かもがわにくさぶえのねのながれゆく) ◯椿の葉カラスエンドウ草笛に 河童三子 ◯草笛や川の向こうと輪唱に 々 ◯草笛の鳴るとき唇(くち)の震へけり 々
〇引きこもる子の窓空けて蔦若葉 (ひきこもるこのまどあけてつたわかば) 〇キャンパスの七合目行く蔦若葉 河童三子 ◯教会のステンドグラス蔦若葉 々 〇蔦若葉生きてゐること謳歌する 々
〇聖書に手置いて生きるや根切り虫 (せいしょにておいていきるやねきりむし) 〇こゝだけは許せぬところ根切り虫 河童三子 〇校長の手植えの苗ぞ根切り虫 々 〇根切り虫とて苗選ぶ権利とや 々
〇コクリコと呼ばれ頷く罌粟の花 (こくりことよばれうなづくけしのはな) 〇ひとり子のすぐ首垂れし罌粟の花 河童三子 〇罌粟の花マフィア暗躍するところ 々 〇ヒマラヤの青罌粟求めヤクに乗る 々
〇米干して穀象に恩赦放免 (こめほしてこくぞうにおんしゃほうめん) 〇穀象の吻はなるほど小象の鼻 河童三子 〇ふるさとの米穀象と親しめる 々 〇穀象虫これも絶滅危惧種かな 々
〇口開けること習わしに燕の子 (くちあけることならわしにつばめのこ) 〇燕の子呑み込んですぐ口開ける 河童三子 〇気を付けよ下に鎌の刃燕の子 々 〇燕の子どんびりに生れ愛されし 々
〇金雀枝の丘にケルトの笛の音や (えにしだのおかにケルトのふえのねや) 〇金雀枝や夕映えの荒城の陰に 河童三子 〇金雀枝や王冠重き戴冠式 々 〇金雀枝のみな片寄りて風の道 々
〇託老館裏は終日卯月波 (たくろうかんうらはひねもすうづきなみ) 〇卯波来て亀の迎へを待つ太郎 河童三子 〇うかうかと少女を侵す卯波かな 々 〇柔らかき波打ち来るや卯波晴れ 々
〇筍の皮ゲートルを巻きしかな (たけのこのかわゲートルをまきしかな) 〇竹の子を歩兵のやうに担ぎ来る 河童三子 〇道に出た筍蹴れば柔らかし 々 〇筍の背比べして末っ子取る 々
〇飛び魚の二列縦隊日本海 (とびうおのにれつじゅうたいにほんかい) 〇飛び魚の翅見せたくて跳んでゐる 河童三子 〇飛び魚のめざす空まで遠かりき 々 〇飛び魚や翅あることにまた哀し 々
〇柿若葉疎水を上る黄鶺鴒 (かきわかばそすいをのぼるきせきれい) 〇柿若葉腰の鎖のヘヴィメタル 河童三子 〇田の中の国道走る柿若葉 々 〇山踊り里煌めくや柿若葉 々
〇花疲れSNSに顔増えて (はなづかれSNSにかおふえて) 〇まなうらに星のちらつく花疲れ 河童三子 〇娘が一人残り散会花疲れ 々 〇花疲れ三次会までいきそうな 々