2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
○一日を儲けてうるう二月尽 (いちにちをもうけてうるうにがつじん)
○春いちご切っても一度切って出す (はるいちごきってもいちどきってだす)
○土曜日の新聞を待つ余寒かな (どよびうのしんぶんをまつよかんかな)
○人の世に生きて憐れや踏絵ふむ (ひとよにいきてあわれやふみえふむ)
○今朝の山また新しき斑雪 (けさのやままたあたらしきまだらゆき)
○鰆東風とはいうものの父母もなし (さわらこちとはいうもののふぼもなし)
○旅立ちのひとりに春の灯を灯す (たびだちのひとりにはるのひをともす)
○この路地の子猫はみんな異母兄弟 (このろじのこねこはみんないぼきょうだい)
○梅ふふむ雨の雫も円かな (うめふふむあめのしずくもまろむかな)
○梅二月飛行機は遅発するらし (うめにがつひこうきはちはつするらし)
○珈琲カップ返して春の別れかな (こーひーカップかえしてはるのわかれかな)
○トルソーに午後の教室冴え返る (トルソーにごごのきょうしつさえかえる)
○下萌えや城門の石穿ち出づ (したもえやじょうもんのいしうがちいづ)
○薄氷や薄衣に立つ女身仏 (はくひょうやうすぎぬにたつにょしんぶつ)
○耕人の春一番を牽いており (こうじんのはるいちばんをひいており)
○料峭や阿修羅六臂の手中かな (しょうりょうやあしゅらろっぴのしゅちゅうかな)
○春星や鴉の罪に黒い羽根 (しゅんせいやからすのつみにくろいはね) カラス座 昔、鴉は白い羽根をもっていて、人間の言葉も話すことができた。 アポロンには人間界の恋人がいたが、彼女は天上へ来ることができなかった。そこで、カラスに、毎日地上へ行って…
○春障子外を狐の走りけり (はるしょうじそとをきつねのはしりけり) 障子の影絵 外が明るい障子の影には何かおとぎ話を創造させるものがある。鳥が截るような影、木が風に揺れる影、庭を歩いてくる人影など、そんな中にキツネの影も見るかもしれない。
○建国日わが氏閉ずる日の近し (けんこくびわがうじとずるひのちかし)
○木菟の子の朝の夢に春の月 (ずくのこのあしたのゆめにはるのつき))
○凍星のひとつ柄杓の柄になりぬ (いてぼしのひとつひしゃくのえになりぬ)
○大くけの糸穴大き針供養 (おおくけのいとあなおおきはりくよう)
○冬銀河トランジットに迷いそう (ふゆぎんがトランジットにまよいそう)
○冬帽子被れば晴れてホームレス (ふゆぼうしかぶればはれてホームレス)
○旅に出て我が意を得たり冬帽子 (たびにでてわがいをえたりふゆぼうし)
○立春の猫みゃと仲よかりけり (りっしゅんのねこみゃとなかよかりけり)
○節分や一夜干しして鰯焼く (せつぶんやいちやほししていわしやく)
○出稼ぎの都会の雪や地下工事 (でかせぎのとかいのゆきやちかこうじ)
○如月の空の陣取り鵙の声 (きさらぎのそらのじんとりもずのこえ)