西日

     ◦西日射すここに座って居るからね
(にしびさすここにすわっているからね)
混沌さん
 100分で名著というNHKの番組をDVDに撮ってもらっているのだが、その中で荘子が扱われていた。イソップを想わせるような寓話や、えらく碎けた言葉で禅的思想が語られていたので、玄侑宗久さんに興味をもって本「荘子と遊ぶ」を買ってみたのは二ヶ月ほど前の事である。
 「混沌王子」のくだりは面白かった。実は私の近辺にも「混沌さん」が居て時々うちにやって来て一緒にコーヒを飲むのだが、相手に目や口や鼻が無いってことはこちらを苛立たせるものである。時に私は意地悪な言葉を浴びせるが「混沌さん」は傷ついた振りも見せずまたやって来る。この「混沌さん」実は大きな癒しを私に与えに来てくれているのかもしれないと思うようになっている。
 DVDの方は面白くて2、3回は観たが、取り寄せた本はあれからどれほども読み進めないでいる。
   「ああしかし、とうとう私は『荘子』との関係を暴露してしまった。...
    私にとって、『荘子』はまだまだ「途中」の、大切な書物である。
    今後も間違いなく座右に置き、一生つきあうことになると思うが、
    まずは一里塚のごときこの本で、懐かしき「遊」の感覚を憶いだして
    いただきたい。」 「荘子と遊ぶ」著書あとがきより。
 まあ、本人もこう言っているのだから、ゆっくり考えることにしよう。