2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

行水

○水浴びの鴉の行水返上す (みずあびのからすのぎょうずいへんじょうす) カラスの行水 入浴するのにすぐ上がることを鴉の行水と揶揄されるように、カラスの水浴びはいい加減早いのでしょう。 烏もこう暑くては ”からすの行水”を返上してじっくり浸かってい…

大暑

○冷房機大暑の日中壊れけり (れいぼうきたいしょのひなかこわれけり) 大暑 よりによってこんなに暑い日にクーラーが壊れてしまいました。

羽抜鶏

○蹴たぐりに勇猛果敢羽抜鶏 (けたぐりにゆうもうかかんはぬけどり) 他流試合 少年Bは趣味で囲碁をたしなんでいます。小学校高学年の頃より自分はスポーツの能力には恵まれていないと気づきはじめた時、囲碁をやる少年の漫画「ヒカルの碁」に出会って夢中…

蝉しぐれ

○蝉しぐれ孫は無口な少年B (せみしぐれまごはむくちなしょうねんB) 微妙な年齢 身長は170cmを越え、すっかり声変わりしている若者を少年と一抱えにして呼ぶにはちょっと違和感のある15歳。非常にデリケートな世代とも言えるでしょう。 今年は愛媛…

日盛り

○日盛りや路地に一人の石を蹴る (ひざかりやろじにひとりのいしをける) 夏休み 子供たちは夏休みに入って思い思いの時間を過ごしているのでしょう。 自身の夏休みの思い出が蘇えってきます。あんなに楽しみにしていた夏休みなのに、いざ学校へ行かなくてい…

○夜の雷自画像の眼に閃光入る (よるのらいじがぞうのめにせんこういる) 夜来の雨 真夜中に稲光と雷が2,3度鳴り響き、やがてそれは大きな雨音に変わりました。これでこの熱帯夜も少しは涼しくなるでしょう。 レンブラントの自画像だったか肖像画だったか…

土用丑

○うなぎ屋の怪しき煙土用丑 (うなぎやのあやしきけむりどよううし) 土用の丑の日の今日(7月25日)は娘の婿の誕生日なのです。お産の母君は暑さでさぞ大変だったことでしょう。50年前のことです。 これまで婿の誕生日だからといって何かプレゼントを考…

河童忌

○河童忌や糸瓜のような胡瓜もらう (かっぱきやヘチマのようなキュウリもらう) 龍之介の忌日 十代の終わりに龍之介や太宰の作品に出会ったとき、彼らはすでに自死した後でしたが、作品に惹かれれば惹かれるほど、彼らの現実の幕引きは作品の延長上に存在し…

土用照

○土用照お灸据えゐるごと座する (どようてりおきゅうすえいるごとざする) 土用の丑は25日 朝から部屋はもう30度を越えています。昔からこの暑さを乗り越えるための工夫はいろいろあったようです。土用灸といってお灸をすえて血液の巡りをよくしたり、…

端居

○灯を消して女裸に端居せる (ひをけしておなごはだかにはしいせる) 暑いです ちょっとドキリとする場面を想像しませんか?まあ、ご自由におまかせしますが、古希を過ぎたおばあちゃんなら昔はみんなそうでしたよ。 端居という季語が存在する以上体験して使…

軒すだれ

○軒すだれ団扇の似合う部屋となり (のきすだれうちわのにあうへやとなり) 夜のクラッシック ブラームスのヴァイオリン協奏曲、半分くらい聞いていれば眠ってしまうだろうと考えていました。ところが演奏者はジネット・ヌヴー、知る人ぞ知る伝説のヌヴーで…

稲の花

○稲の花西谷橋に風走る (いねのはなにしたにばしにかぜはしる) 早生の稲に穂が この辺りの地形はすぐ燧灘になだれこんでいて平地の狭いのが特徴です。それで風はたいてい山の方から海へ向かって吹いています。 その海へ向かって流れる川は風の走る道でもあ…

梅雨明る

○ラムネ玉チロンと鳴って梅雨明る (ラムネただまチロンとなってつゆあける) 梅雨明 関東から西は今日梅雨明けをしました。 最近のラムネのビンはプラスチックが多くなっていますが、やっぱりラムネはガラスのビンがいいですね。早く飲みたいとおもっている…

夕立ち

○夕立を避けてわが家の軒で濡れ (ゆうだちをさけてわがやののきにでぬれ) 帰宅途中の夕立ち 車で帰宅の途中大雨です、ものすごい勢いでどしゃぶりになりました。車が家についても止む気配はなくしばらく車の中で待機していました。ほんの2,3分の間に一…

蝉しぐれ

○叱られて耳の裏灼く蝉しぐれ (しかられてみみのうらやくせみしぐれ) 蝉がやっと鳴きはじめました。 今年はまだ蝉しぐれというほどの蝉の声ではありません。アメリカなども蝉が少なくなったと言われていますが、同じ傾向にあるのでしょうか。 子供の頃理不…

箱庭

○箱庭にお伽話の景色かな (はこにわにおとぎばなしのけしきかな) 箱庭療法 心理カウンセラーは分析のために「箱庭療法」といって、箱の中にあらかじめ用意されている小道具などを使って心象風景を作らせるという方法があるらしいのです。またそれとは別に…

斑猫

〇斑猫と迷い出ずるや少年期 (はんみょうとまよいいずるやしょうねんき) 孫の一人旅 斑猫のまたの名は道教えと言うそうです。道を歩いている人の先へ先へと飛ぶからとか。 さて、高1の孫から夏休みにひとりで行くというメールが入りました。精神的にも一つ…

名古屋場所

○ご贔屓の白き紬に名古屋場所 (ごひいきのしろきつむぎになごやばしょ) 夏場所浴衣の日 大相撲のそれぞれの場所にはご贔屓筋が居て、関取の間から観客席にお馴染みの顔がテレビに映っています。両国、大阪、名古屋とそれぞれに見慣れた顔がだいたい定位置…

兜虫

○兜虫けしかけられて角合わす (かぶとむしけしかけられてつのあわす) 弟からの葉書 この頃はめったに封書や葉書が郵便受けに入っていることがありません。私の方から季節の郵便便りを書いてもメールで返事が戻ってくることが増えました。そんな中で弟から…

水番

○水守の一人銀天いただきぬ (みずもりのひとりぎんてんいただきぬ) 番小屋の時計 梅雨はまだ明けませんが田圃の水は掛けいれ時のようです。水番は夜中にも懐中電灯で畦道をてらしながら稲の間の水嵩を見てはそれぞれの田へ水を入れていきます。 隣の部落に…

木下闇

○川底へみな流れゆく木下闇 (かわぞこへみなながれゆくこしたやみ) 北九州の豪雨災害があった最中で適切な表現でないかもしれません。不快に思われたらお許しください。深く考えず、自己中心的に句作しました。 実は身内がくも膜下出血で手術を受けICU…

熱帯夜

○熱帯夜ラジオのジャズを聞き明かす (ねったいやラジオのジャズをききあかす) 寝苦しい夜 横になっていても自身の重みで水分がじんわり滲みでて、全身べっとりと寝苦しい夜をどうしようなく喘いでいます。 冷房嫌いの私も、今年ほど真剣にこの部屋にもクー…

落し文

○わが前に神誤りて落し文 (わがまえにかみあやまりておとしふみ) 奇跡 ふとした瞬間、私は神に守ってもらっていると意識することがあります。今、こうしているということが、神の付け届けを間違ってもらったのかもしれません。 眠れないまま、また「ラジオ…

出水

〇梅雨出水孤立の人をヘリに吊る (つゆでみずこりつのひとをヘリにつる) 九州の豪雨 もし自分の上に降りかかればもう立ち上がれない。妙な確信のなかで胸が痛みます。

梅雨籠り

○梅雨籠りフジ子が叩くカンパネラ (つゆごもりふじこがたたくカンパネラ) フジコ・ヘミング 十数年前渋谷の文化村でフジコ・ヘミングのコンサートを聴いたことがありました。リストのカンパネラやショパンのノクターンなどをお歳のどこからでてくるのだろ…

青葡萄

〇お前はまだ青き葡萄と狐は云ふ (おまえはまだあおきぶどうときつねはいふ) イソップの狐 朝から今度は島根の方で、これまで数十年に経験したことのないような大雨が降っているという。 大雨避難指示の警報が出ました。婿の実家の母が島根の江津に一人暮…

守宮

○豪雨一過玻璃の守宮と無事にをり (ごうういっかはりのやりとぶじにをり) 台風一過 蒸して寝苦しい夜です、ラジオを点けて眠りました。 (夢の話) 広い建物の中にブースのようなものがあって、グループでゲームをしていたり、一画では人生相談のようなス…

昼寝

○配達に昼寝の頬を看破らる (はいたつにひるねのほほをみやぶらる) 台風3号 午前8時頃長崎県に上陸した台風3号は、九州北部を横断して11時前には愛媛県に上陸の見込みとのことです。 結局当方は風はなく、まとまった雨を残して去っていきました。

夏の小鳥

○朝は山小屋夏の小鳥たち (あさはやまごやなつのことりたち) 南と北の窓から しらじらと夜が明けそめると、窓際に眠っている私の頭の上で小鳥たちが鳴き始めます。まるで山小屋で朝を迎えているようなのです。 この一両日は清々しいリクレーション気分で目…

夏燕

○夏燕二番子も礼言ふて往く (なつつばめにばんごもれいゆうていく) 燕の鳴き声 燕はヒュールリラ、ヒュールリララと鳴くそうです。ああこれは森昌子の「越冬燕」がないていたのですね。私の小学校の頃の教科書には、詩の中で、「リピュー、リピュー」と朝…