守宮

     ○豪雨一過玻璃の守宮と無事にをり
(ごうういっかはりのやりとぶじにをり)
台風一過
 蒸して寝苦しい夜です、ラジオを点けて眠りました。
(夢の話)
 広い建物の中にブースのようなものがあって、グループでゲームをしていたり、一画では人生相談のようなスペースがあったり、ラジオのスタジオがあったり、それら全体が俯瞰できるのです。私はラジオ対談をしている若い男女の前に腰かけていました。女性の方はシンガーソングライターのようで、聞き手の男性も音楽関係の先輩格のような形で、最新の彼女の作品についてあれこれ質問していました。
 そこに娘も一人でいるのを知っていました。何をするでも無く椅子に腰かけて私と同じように座っていました。娘の方も私の居ることは分かっていて、こっちにきて私に話しかけたりする風もみえませんでした。娘は家族を放ってどうしてこんな真夜中に此処に居るのか、私は不安と腹立たしい気持ちでいっぱいでした。
 その場所は24時間自由に使えるらしく、中央のスペースにはいつの間にか7,8人の雲水たちが修行を終えてやってきて椅子に寛いで中には食事を運んでくる者もいました。そういえばこの建物はお寺の横にあったことを思い出しました。僧侶たちは早朝の修行が済んでやって来たのでしょう。
 娘が帰ってしまってはいけないと思って傍に行くと、引き出物にでも使うような品物の箱に宛名書きをはじめました。私を見ても何も話しません。私は帰る足がないから車に乗せてほしいと言ったのですが、様子から乗せたくないのだと思いました。(おわり)