2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

二月尽

〇白菜に頭痛起きるや二月尽 (はくさいにずつうおきるやにがつじん) 〇二月尽進退のサイ投げられし 秋甫 〇二月尽また入院の荷をつくる 々 〇二月尽餌のリンゴを鵯落とす 々

草餅

〇草餅の萌黄の色の大和かな (くさもちのもえぎのいろのやまとかな) 〇草餅や深草きつね稲荷ずし 秋甫 〇急かされて草餅食めば目に涙 々 〇草餅を揉めば蓬の野の香り 々

春めく

〇小雨降る夕暮れの街春めきぬ (こさめふるゆうぐれのまちはるめきぬ) 〇傘立てに雨の雫の春めく日 秋甫 〇薬待つ診療室の春めきぬ 々 〇春めきぬ全快地蔵と出会いけり 々

水温む

〇鴨川の水の温みや家鴨来る (かもがわのみずのぬるみやあひるきる) 〇緩やかに西へ流れて水温し 秋甫 〇水温む駅より流る受験生 々 〇鴨は鴨家鴨は家鴨水温む 々

料峭

〇料峭や抜歯のあとの糸抜く日 (りょうしょうやばっしのあとのいとぬくひ) 〇料峭や八卦見に険みつけられ 秋甫 〇料峭の西に向かいて行く父子 々 〇料峭やはやばや猫の恋おわる 々

浅利

〇浅利汁椀の上より数をみる (あさりじるわんのうえよりかずをみる) 〇品川に浅利乗せたる深川飯 秋甫 〇磯の香の剥き身たっぷり浅利飯 々 〇のぞく子にぷちと汐ふく浅利かな 々

〇野梅とて腰つきのよき大原女 (のうめとてこしつきのよきおおはらめ) 〇観梅も受験にたのむ道真公 秋甫 〇梅林の少なき京都絵地図かな 々 〇梅日和離宮の上の尼寺や 々

木の芽

〇処女のごと膨らみ初むる柳の芽 (しょじょのごとふくらみそむるやなぎのめ) 〇大欅恥じらうごとき芽吹きかな 秋甫 〇ゆっくりと木の芽吹き出す大欅 々 〇窓に在る欅の新芽今朝確かむ 々

ミモザ

〇花よりも名前が好きでミモザ咲く (はなよりもなまえがすきでミモザさく) 〇週末はミモザ咲くころ丘の家 秋甫 〇膝の上に終活ノートミモザ咲く 々 〇花ミモザ重なって黄を明るくす 々

春寒

〇春寒の運河は壁を侵しけり (はるさむのうんがはかべをおかしけり) 〇春寒やベネチアグラス燃える赤 秋甫 〇春寒し運河を前にガラス館 々 〇色街に運河めぐりて春寒し 々

東風

〇地下鉄の電車へ東風の乗ってくる (ちかてつのでんしゃへこちののってくる) 〇朝東風へ子を押しい出す巣立ちかな 秋甫 〇強東風の澄み切る空や旅立つ日 々 〇ペンチやっとこ女歯科医に東風吹きぬ 々

下萌え

〇下萌えや岬の空を吞まんとす (したもえやみさきのそらをのまんとす) 〇下萌えや枯葎着て我慢かな 秋甫 〇溝蓋の仄かな闇の草青し 々 〇下萌えや踏まれて強し今年草 々

鶯餅

〇鶯餅結納の日の漆皿 (うぐいすもちゆいのうのひのうるしさら) 〇鶯餅どっちが尻か頭か 秋甫 〇鶯餅もてば鼓動の伝わりぬ 々 〇甘い物駄目の一言鶯餅 々

良寛忌

〇動く歯を抜けと言われし良寛忌 (うごくはをぬけといわれしりょうかんき) 〇良寛忌坊さん頭は丸太町 秋甫 〇良寛忌八条こえれば東寺道 々 〇良寛忌九条大路でとどめ差す 々

バレンタインデー

〇義理ならぬバレンタインデーの親心 (ぎりならぬバレンタインデーのおやごころ) 〇サバの味噌煮とバレンタインのチョコ贈る 秋甫 〇妹の兄に憧るバレンタインデー 々 〇老人にバレンタインのチョコ甘し 々

蕗のとう

〇蕗のとうのるかそるかの崖っぷち (ふきのとうのるかそるかのがけっぷち) 〇蕗の薹一期一会を慈しむ 秋甫 〇ほのぼのと香に包まれし蕗のとう 々 〇蕗のとう野の香良薬口に苦し 々

早春

〇早春や一弦の鉄裸線 (そうしゅんやいちげんのてつはだかせん) 〇早春やG線のアリア奏でる 秋甫 〇早春や予備校の階駆け上がる 々 〇早春の風他郷へと続きけり 々

建国日

〇自治会で国旗を買うた建国日 (じちかいでこっきをこうたけんこくび) 〇紀元節伊勢に赤福売る実家 秋甫 〇弟はやんちゃと決まり建国日 々 〇建国日大人は行けぬ子の楽園 々

浅春

〇浅春や創口のまず癒えしかな (せんしゅんやきずぐちのまずいえしかな) 〇春浅し回り廊下の素足冷ゆ 秋甫 〇春浅し水の行方を見る鷺の 々 〇浅春の鯉日当たりに集まり来 々

青木の実

〇この実とて口に試しし青木の実 (このみとて口にためししあおきのみ) 〇班入り葉に紅一点の青木の実 秋甫 〇庭に来て姿整う青木の実 々 〇出しゃばりて少し仇なる青木の実 々

大試験

〇一浪のはや髭生えて大試験 (いちろうのはやひげはえてだいしけん) 〇父も禍に巻き込まれたる大試験 秋甫 〇ひとり子の大騒動や大試験 々 〇家族みな声を潜めて大試験 々

〇探梅や哲学の道猫歩く (たんばいやてつがくのみちねこあるく) 〇哲学の道白梅の盛りかな 秋甫 〇白梅も良し永観堂を尋ぬれば 々 〇銀閣の山より吉田山の梅 々

寒明け

〇離宮より民の農見る寒明きぬ (りきゅうよりたみののうみるかんあきぬ) 〇寒明くや農慈しむ離宮かな 秋甫 〇寒明けて離宮農地の煙かな 々 〇寒明くや離宮の鯉に網を掛く 々

二月

〇去る者に入るる者待つ二月かな (さるものにいるるものまつにがつかな) 〇鴨川に鷺屹立す二月の水 秋甫 〇二月の風銀閣の銀砂灘の上 々 〇京大に湯川の像の二月かな 々

待春

〇待春や植物園に人まばら (たいしゅんやしょくぶつえんにひとまばら) 〇春待つや改装の壁ピンク色 秋甫 〇春待てば抗癌治療始まりぬ 々 〇春待や修学院の門の前 々

立春

〇春立や病院前の調剤屋 (はるたつやびょういんまえのちょうざいや) 〇創口のかさぶた落ちて春立ちぬ 秋甫 〇春立ちぬ岩海苔焼いて部屋のうち 々 〇立春や大津絵の鬼酒を酌む 々

節分

〇節分やサランラップの恵方巻 (せつぶんやサランラップのえほうまき) 〇年豆は二日に分けて食らわんや 秋甫 〇年豆や数える度に挫折せし 々 〇節分の鬼おらず豆食すだけ 々

冬銀河

〇双眼に億光年の冬銀河 (そうがんにおくこうねんのふゆぎんが) 〇冬銀河背負って何の孤独かな 秋甫 〇梟の眸に遥かなる冬銀河 々 〇冬銀河遠き近きの差こそあれ 々