2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

巴旦杏

○巴旦杏パリの露店に赤い思い出 (はたんきょうパリのろてんにあかいおもいで) パリの露店 ○雑貨屋の奥に売られし巴旦杏 秋甫 ○一篭の樹の熟れ々に巴旦杏 々 ○すもも煮て種取り出せば鍋の底 々 M女士に逢う。彼女とは30年近くにわたって仕事の同僚であって…

夏書

○夏書の墨余りて筆の一句かな (げがきのすみあまりてふでのいっくかな) ○夏書の筆持つやたちまち居眠りぬ 秋甫 ○短冊に夏書の墨をば貰ひけり 々 ○墨すれば夏書の気骨入るやうな 々 夏書というほどの背筋の通ったものではなかったのかもしれないが、字を書…

芙美子忌

○女の性むかし哀しき芙美子の忌 (おんなのさがむかしかなしきふみこのき) 映画「浮雲」より ○梅雨しぐれ壬生川駅に芙美子の碑 秋甫 ○芙美子の忌尾道に坂多かりき 々 ○芙美子忌や奄美に熱き人の夜 々 林芙美子は十代の頃に読んで、文学少女を気取っていた。…

雨安居

○雨安居孑孑に水残しやる (あめあんごぼうふらにみずのこしやる) 生類憐みの教え ○雨安居虫心得て出るわ出るわ 秋甫 ○山寺に裸の僧や夏ごもり 々 ○魚鼓(ぎょく)打って静かに夏座の解かれけり 々 永平寺の回廊を歩いた時、若い新米雲水とみられる僧が少し…

まくなぎ

○まくなぎに隣村まで案内さる (まくなぎにとなりむらまであないさる) ○めまといの目にひんやりと入りにけり 秋甫 ○近道に糠蚊の村を抜けにけり 々 ○まくなぎをケチャダンスして追い払う 々 子供のころは暗くなるまであちこちほっつき歩いたものだ。特に兄…

苔の花

○苔の花ひゅるひゅる伸びる寂光土 (こけのはなひゅるひゅるのびるじゃっこうど) 湿度は十分 ○花苔や銀河の星と交信す 秋甫 ○千年の杉を飾りし苔の花 々 ○化野の仏の着物苔の花 々 今朝は寝不足でフラフラするようだ。 サッカーワールドカップ、日本対セネ…

青田

○庄内の一駅青田ばかりかな (しょうないのひとえきあおたばかりかな) 駅めぐり(奥羽本線)の旅より ○一斉に踵を返す青田風 秋甫 ○海の上をイエス来るよう青田道 々 ○夕青田そこに水あること明かす 々 周辺の田んぼの苗もかなり成長を見せている。災害に備…

昼寝

○昼寝覚め南国にあらぬこと悔ゆ (ひるねさめなんごくにあらぬことくゆ) カンボジアのこと ○人も犬も地べたに長く昼寝かな 秋甫 ○オールド市の闇き迷路は昼寝刻 々 ○椰子の葉に丸く沈むや昼寝の国 々 私の海外旅行はカンボジアから始まる。初めての海外旅行…

ドクダミ

○絵手紙にしてドクダミの愛らしき (えてがみにしてドクダミのあいらしき) 絵が間に合わなかった ○十薬や幼き日々の匂い哀し 秋甫 ○どくだみを征して庭の虚空かな 々 ○十薬の花の思い出便所の裏 々 明屋書店へ行った。私の俳句は今月も選に入っていなかった…

夏至

○朝からの雲が流れて夏至の月 (あさからのくもがながれてげしのつき) ○夏至の夜を唯そそくさと寝ねにけり 秋甫 ○若き日は夏至という日を喜びて 々 ○うかうかと夏至の太陽ぬかりをり 々 夏至と言えば太陽。今日の太陽は生憎雲に隠されていた。 振り返ってみ…

梅雨茸

○梅雨茸忍者の如きけむり吐く (つゆきのこにんじゃのごときけむりはく) (粘菌)アオウツボホコリ ○雨の日の赤青黄色黴の華 秋甫 ○平気らし草食男子パンの黴 々 ○粘菌の広がりやまぬ梅雨最中 々 菌の姿を映像化されると、実に美しい世界が広がっている。粘…

太宰の忌

○瀬戸内に斜陽みている太宰の忌 (せとうちにしゃようみているだざいのき) ○太宰忌や多摩川の危険水域 秋甫 ○桜桃忌失格の人の多かり 々 ○しがらみの鬱々あるや太宰の忌 々 やっぱり関東地方は大雨。 毎日雨に閉じ込められると鬱々した気分は出口を見失って…

蚊喰鳥

○蚊喰鳥地震速報出てをりぬ (かくいとりじしんそくほうでてをりぬ) 大阪震度6弱 ○かはほりのすき間窺う朝帰り 秋甫 ○蚊喰鳥むかし廓の橋の上 々 ○蝙蝠と夕暮れの路地シェアする 々 テレビに地震警報が出てすぐ京都の娘の所へ電話をした。婿も孫もまだ家に…

父の日

○父の日や父はピエロを演じきれぬに (ちちのひやちちはピエロをえんじきれぬに) 6月第3日曜日 ○父の日の風のごとくに通り過ぐ 秋甫 ○父の日や代々母系家族なり 々 ○父の日は復員兵士に始まりぬ 々 明治の父に比べて大正の父は浮薄な気がする。私の父は大正…

蛇苺

○蛇苺熱の注射の針のあと (へびいちごねつのちゅうしゃのはりのあと) 蛇苺が赤い ○白シャツの少年見やる蛇苺 秋甫 ○熱の目に赤い誘惑蛇苺 々 ○誘惑も毒も知らぬや蛇苺 々 かゆみ止めの注射や飲み薬はぼんやりと、大らかな気分にさせるようだ。眠っても眠っ…

栗の花

○だんだんと世に疎まれて栗の花 (だんだんとよにうとまれてくりのはな) 全身発疹 ○栗の花医者の受診を決めにけり 秋甫 ○発疹に全身痒し栗の花 々 ○栗の花身の発疹は熱を帯び 々 内科の受診は何十年ぶりだったろうか。近くの医院を受診。今は先代の医師がし…

蚊遣火

○転寝に蚊遣火遠く置かれけり (うたたねにかやりびとおくおかれけり) 追憶の日 ○追憶の蚊遣燻る菊の香に 秋甫 ○雲水の腰の蚊遣火庫裏仕事 々 ○除虫菊庭燻れる蚊遣の火 々 昔、夏の夕暮れには庭へ除虫菊などの草を刈ってきて、それを燻らせる煙があちこちに…

梅雨晴

○梅雨晴の光輝く瓦かな (つゆばれのひかりかがやくかわらかな) 遠山の眺め ○遠山や猫も薄目に雨晴間 秋甫 ○梅雨晴間瀬戸内海に船のせる 々 ○梅雨晴や見渡す限り精気かな 々 朝からか爽やかな風もあって、久しぶりに澄み切った眺望が広がっていた。光の具合…

蝸牛

○でで虫の静かに雨を喜びぬ (ででむしのすずかにあめをよろこぶぬ) 米朝会談今日 ○蝸牛世に談合のきりもなし 秋甫 ○でんでん虫祖父の吸い玉みたいだね 々 ○蝸牛角出して見る浄土かな 々 アメリカと北朝鮮のトップ会談。北朝鮮のことやキム委員長のことは依…

夏風邪

○夏風邪にぼんやり雨を眺めをり (なつかぜにぼんやりあめをながめをり) 熱あり ○夏の風邪顔くしゃくしゃにして咳きぬ 秋甫 ○風邪の夏地獄の釜の辺りまで 々 ○くしゃみする隣の猫も夏風邪か 々 とうとう本格的な風邪になってしまった。

時の日

○時の日のからくり時計麦を刈る (ときのひのからくりとけいむぎをかる) [高知の野良時計 ○時の日や少年の灯は四時に消え 秋甫 ○時の日や電波時計はみな同じ 々 ○時の日や鎌もつ人形時計から 々 何故かしら母が6月10日、この時の記念日生まれってことが頭に…

短夜

○短夜や老ひの現を徘徊す (みじかよやおいのうつつをはいかいす) 然し勝手に家へ戻る ○海にゐる夢は塀打つ五月雨の 秋甫 ○鰯追う烏賊はまた鱏に追われけり 々 ○烏賊の臓腑(はら)鰯の稚魚の詰まりをり 々 いよいよ風邪をひいてしまったようだ。急に降りだ…

鱚釣り

○鱚釣りの後ろに猫の欠伸かな (きすつりのうしろにねこのあくびかな) 釣りバカ日記③ 餌のゴカイを付けてもらって、沖へ向かって投げてもらってから初めて竿を持つ。ややあっておもむろにひきあげてみるとキスが釣れていた。これは引っかけたのではないあく…

○蟹とゐる岩穴に潮満てるまで (かにといるいわあなにしおみてるまで) 釣りバカ日記② 今日は坊主であった、というかたった一度の釣果を猫に持っていかれたのである。その仕業はあっという間で振り返ると魚も猫の姿もなく、あざやかなものだった。確かに猫は…

梅雨寒

○梅雨寒やサビキ仕掛けにスズメの子 (つゆざむやサビキしかけにスズメのこ) 釣バカ日記① ○梅雨の空雑魚引っかけてあげにけり 秋甫 ○烏賊釣りの色鮮やかに疑似のエビ 々 ○鰯来て烏賊きて鱏(えい)来る連鎖の海 々 朝5時起きで寒川の海へ、工場街の岸壁で…

額の花

○額の花超新星の終りの刻 (がくのはなちょうしんせいのおわりのとき) アジサイの名前 ○美少年とならぬ庭の七変化 秋甫 ○七変化赤白青と冷やかに 々 ○四葩(よひら)とはまこと愛しき呼び名なり 々 アジサイは紫陽花と書くし、額の花も承知の通りであるが、…

夏帽子

○仕事する振りして被る夏帽子 (しごとするふりしてかぶるなつぼうし) 釣りという手もある ○大げさに首筋覆う夏帽子 秋甫 ○夏帽の自然に馴染む帰宅頃 々 ○家近く目深に被る夏帽子 々 週間天気予報では今日から崩れる予定だったが一日お天気に恵まれた。押入…

短夜

○短夜の恋に鞘当て蛙の田 (みじかよのこいにさやあてかえるのた) 明易い ○明易の月まだ月の光して 秋甫 ○明易き雑魚獲る船は円陣に 々 ○海の道一人遍路の明易し 々 久しぶりに新居浜へ出た。すっかり夏の陽ざしになっている。日曜日とあってイオンのレスト…

更衣

○二の腕の弛み現わに更衣 (にのうでのたるみあらわにころもがえ) 快晴 ○鉤ざきのシャツのかがりや更衣 秋甫 ○繕へぬほころび残し衣替え 々 ○衣替風美しく誘ひぬ 々 昨日にひきつづき洗濯日和である。シーツ、枕カバー、どんどん洗いたくなるのは染色体の故…

六月

○六月の風机上の道を走りけり (ろくがつのかぜきじょうのみちをはしりけり) ━セピアの組曲━ 飛鷹悌史水彩画展━セピアの組曲━ 6月8日〜7月1日 飛鷹氏の画展の案内が届いた。いつもタイトルの付け方には感心する。 氏は何年か前に脳梗塞を起こされ手や足…