巴旦杏

     ○巴旦杏パリの露店に赤い思い出  
(はたんきょうパリのろてんにあかいおもいで)
パリの露店
       ○雑貨屋の奥に売られし巴旦杏    秋甫
       ○一篭の樹の熟れ々に巴旦杏     々
       ○すもも煮て種取り出せば鍋の底   々
 M女士に逢う。彼女とは30年近くにわたって仕事の同僚であって、その後もずっと親友と思ってきたがこの十数年会っていなかった。
 果たして、真っ白な髪に、腰を少し傾けて老眼鏡の奥から斜めに見つめる目とあった。170cm近かった彼女の身長は随分と低くなっている印象をうけた。
 確かに生活人として到達した一面は伺われたが、その確信は頑なな老人を反映するものでもあるように思われた。彼女も今年70歳(古希)である。