夢二の忌

     牛窓のヨットハーバー夢二の忌
(うしまどのヨットハーバーゆめじのき)

 牛窓(九月二十二日)
 以前から「牛窓」という地名に惹かれるものがった。夢二の生誕の地であることで牛窓大正ロマンのようなものを抱いていたのである。
 そこで目的の駅めぐりから少し脱線して牛窓へ足を向けた。夢二の生家とは離れていたが牛窓の港は南に向いた穏やかな所で、そこにヨットハーバーがあり岡山大学のヨット部がセーリングをしていた。ヨットと言えば加山雄三を思い浮かべる我々であるが、彼らはまだ時代の特権を背負っていた。ここの牛窓ではもう、日本人の身の丈にあった自然な豊さに感じられて、船底の手入れをする若者、ヨットを海へ浮かべる入念な準備をする若者たちにエールを送りたい気持ちが湧いてきた。また牛窓と言う地名とヨットハーバーの組み合わせが面白いと思う。
 彼らの作業をみながら、日陰のベンチに腰掛けてやおら弁当の昼食となった訳である。
   因に夢二の没日は九月一日で秋の季語として使った。