○油蝉茶粥ひやして昼餉にす
(あぶらぜみちゃがゆひやしてひるげにす)
奈良桜井三輪山
○蝉穴出るや一日の茶粥炊く 秋甫
○茶粥啜る祖父の三輪山蝉しぐる 々
○三輪山に祖父の霊あり蝉啼けり 々
祖父は奈良県の桜井生まれだった。子供の頃、祖父からよく寝物語に話を聞いたものだったが、その一つに
活玉依毘売(いくたまよりひめ)という娘がいたが、夜な夜な見目麗しい男が通ってきたのでやがて娘は身ごもった。男の素性はわからず、父母はあやしみ男の衣の裾に麻糸を縫い付けるように娘に言いつけた。翌朝その糸を辿って行くと山の神の社に入っていた。男は大物主神(おおものぬしのかみ)だったのである。糸は糸巻きに三巻あったことから、その山を三輪山と呼んだ。