終戦日

     ○終戦日伝道の書にタブレット
(しゅうせんびでんどうのしょにタブレット

       ○白寿の書平積みにして生身魂   秋甫
       ○魂迎胡瓜の馬に乗せたき人     々
       ○終戦日父は敗者としてもどる   々
 未完現実の原稿を瀬戸内寂聴の句集「ひとり」にしたいと思って一冊に載っている85の句を何度も読み返しているのだが。やはり寂聴は小説家であった。句のあとにエッセイを追加して書いてあるが、私的にはどちらかというとエッセイの方に魅力を感じる。彼女自身も自分のことを無頼と言っているが、その無頼なところが句にはなく、まとまってしまっているように思われる。俳句的目線と散文の視野は自ずと違うのかもしれない。まあ96歳にして新しい分野の俳句に挑戦する心に傾倒したい。