大夕焼け

     ◦大夕焼け「晩鐘」の絵の中に居り
(おおゆうやけばんしょうのえのなかにおり)
台風一過
 台風11号が中国地方を縦断している頃、大町は大夕焼けに染まった。
台所の窓へ赤紫色の光が流れ来た時、次の瞬間家の外へ走り出ていた。颱風の後という状況で、その光は尋常でないもののように写ったのである。淡路阪神大震災の時、空が異様な朝焼けになったという言い伝えが頭をよぎったのも事実だった。
 今、西の空に太陽はその姿を沈めようとしていた。紫紺色の空は荘厳な光で満ちていたのである。