春星

     ○春星や鴉の罪に黒い羽根
(しゅんせいやからすのつみにくろいはね)
カラス座
 昔、鴉は白い羽根をもっていて、人間の言葉も話すことができた。
 アポロンには人間界の恋人がいたが、彼女は天上へ来ることができなかった。そこで、カラスに、毎日地上へ行って、彼女の様子を見てくるよう命じた。
 ある時、カラスは途中でさぼってしまったので、彼女には他に恋人がいると、でたらめの報告をした。アポロンは怒って地上に降り彼女の家から出て来る人影に向かって矢を放った。
 出てきたのは男ではなく、彼女自身だったのだ。アポロンの悲しみは言うまでもなく、カラスには人間の言葉を話せなくして、白い羽根は黒い羽根に取り換えてしまった。