夏来る

     〇セザンヌのりんごの皿や夏来る
セザンヌのりんごのさらやなつきたる)
セザンヌとりんご
 セザンヌと言えば林檎の絵を思い浮かべるほど、セザンヌはりんごをたくさん描いています。
彼にとって、リンゴは生涯の親友の証だったのでしょうか。

 彼は小説家のエミール・ゾラと同郷で、少年の時、級友からいじめられていた、ゾラを庇って仲間はずれにしなかったのです。そのお礼にゾラは篭いっぱいのりんごをセザンヌに持ってきました。リンゴを書き始めたのはそのことが切っ掛けだったのだろうと言われています。
 フランス旅行の後、セザンヌの画集を開いて見ています。私には彼の林檎が決して美しく輝いているものばかりでないことに気づきました。中には腐敗寸前と思われる物もあるように見えたのです。リンゴ自身の命の営み、あるいはそこに、変化していく友情の流れなども見ていたのではないでしょうか。