〇山梔子の実に雨溜めて静かな日
(くちなしのみにあめためてしずかなひ)
〇饒舌もよかり山梔子は口閉じて 河童三子
〇山梔子の口閉じて過ぐ総選挙 々
〇山梔子の口閉じしまま朽ちてゆく 々
婆ごころ
雨が降っています 北からの風も少しあって 肌寒い日になりました
キッチンの窓から見ると 椋鳥くらいの大きさの鳥が 電線に止まって濡れています
三羽と離れて一羽 電柱の向こうの電線にも 三羽と少し離れて一羽
みんなこっちを向いて 鳥たちの見ている方向は山です すっかり隠れてしまっている 山に向かって
じっと耐えるように いつまでも雨に濡れていました。
ブルばあちゃんも 自分の指定席に座って 少し脱力感に包まれて 旅のあれこれを 思い出しながら
ぼんやり山を 眺めていました。
ブルばあちゃんは 二階の本棚から「ちひろのスケッチ」を持って来て開けました。
「ちひろの信州」 信州それは ちひろの原風景━安曇野ちひろ美術館
わさび田で有名な穂高町と立山・黒部アルペンルートへの入り口として知られる大町市の
間に位置する松川村は、戦後両親が開拓農民として暮らした地です。ちひろは
折ににふれて松川村の実家に里帰りをしています。
1951年4月、ちひろは長男・猛を出産します。夫・松本善明は司法試験をめざして勉強中で、
ちひろが絵筆一本で生活を支えなければならなかったため、やむなく生後間もない息子を松川村の両親の元へ預けました。その間、息子は山羊の乳で育てられました。(安曇野ちひろ美術館)
「ちひろの信州」