白桃

            〇七賢を置いてもみたき桃の里

                (しちけんをおいてもみたきもものさと)

            

             〇水蜜桃指先だけで剥きにけり     河童三子

             〇白桃のいがいに強(こわ)い産毛かな     々

             〇白桃やまだ見ぬものに桃源郷      々

     私の本棚

 

                       瀬川康男(絵)   松谷みよこ(文)

 女の子は「やまんばのにしき」が好きだった

 保育園でも他の園児たちの人気があったのか

 いつも借り出されていたらしい

 けれどもみつけたときは借りて来た「やまんばのにしき」。

 

 あるとき

 本屋さんで「たべられたやまんば」をみつけた母さんは

 おお、やまんばあるじゃないか

 いそいそ買って帰ったけれど。

 

 絵も文も同じ人のものだったのに

 女の子はあまり読まなかった

 「やまんば」が好きなのに食べられてしまっちゃだめ

 かあさんは何にもわかっていなかった。