○雷公の湖へ太鼓を落としけり
(らいこうのうみへたいこをおとしけり)
大津絵の鬼
       ○大津絵の雷公太鼓釣り上げる   秋甫
       ○ヒカヒカと夜の部屋犯す稲光   々
       ○稲妻や入魂の筆狂わせる     々
 運転免許証更新のため認知機能検査を受ける。
 教室の学生用の机に向かって座るのは随分久しぶりのことである。最前列に座って若い教官の話を聞くのはたのしい。
 まだ!まだ!書かないで、鉛筆は置いといてください。だれかが待ち切れず問題を書きはじめたのだろう。
 まず、自分の名前と生年月日、次はリアルタイムの年月日とおおよその現時間の記入。
 次は4個物が描かれた例えば(ニワトリ、オルガン、タケノコ、ベッド)など脈略もない絵を16個見せられて、あとは全く別のテストに移る、ランダムに書かれた数字へ指定された数の字にチェックを入れていくのである。
 そのテストが完了すると、前に見せられた16枚の絵を思い出して書くテストである。10個は思い出せたがあとは埋められない。次はその絵を見たとき短い説明を受けていたのだが、その説明が書き添えられてある横へ絵の名前を書くのだ。意外とすらすら鉛筆が進む。
 でも、一個だけどうしても書けない物があった。野菜の横が書けない。悔しかったので、教室を出る時、教官に「野菜」の絵は何だったっけ?と聞いてみた。 「たけのこ」です。一番最初の絵の中にあったものだった。