秋しぐれ

     ○札所来てジビエの郷の秋しぐれ
(ふだしょきてジビエのきょうのあきしぐれ)
山くじら
何年か前お四国さんの札所巡りをした。その所々で檀家のお接待に逢うことがあり、それは幸運に出会った気持ちにさせてるれるものであった。山の上の雲辺寺では暖かい一杯のうどんがふるまわれた、愛媛の里寺ではみかん等手に持たせてくれた。
 忘れられないのは十一番札所でいただいた「やまくじら」の煮込み鍋である。山門を入るやいなや、境内に設置されたテントの中へ招かれ、座ると発泡スチロールの碗にやまくじらなる煮込みと、白飯のにぎりを一つ饗された。丁新米の季節でもあって、その里で収穫された今年米で握られた塩むすびはきらきら光っていて極上の味がしたものであったが、肉とおぼしき「やまくじら」のすこし黒っぽい固まりは一体何の動物だったろうか。調べてみると「山くじら」はいのししの肉とあったが...。