予土線(しまんとグリーンライン)の駅を訪ねたのは先月のことでした。
北宇和島→務田(むでん)→伊予宮野下→二名→大内→深田→近永→出目→松丸→吉野生(よしのぶ)→真土→西ヶ方(にしがほう)→江川崎→半家(はげ)→十川(とおかわ)→土佐昭和→土佐大正→打井川→家地川→若井→窪川
スタートからしばらくは、なだらかな平野の中を走ります。
◦稲車止めてシグナル野を渡る
◦松丸に松剪る人の不器男館
松丸駅は平野の豊かな産物を集める「道の駅」や「おさかな館」「芝不器男記念館」「滑床渓谷」などを観光の目当てにして、駅も物産館と共有する形でめずらしく数人の係員が立ち働いていました。今回はおさかな館も不器男の記念館も素通りしましたが、この松野へは以前に来ています。
◦あなたなる不器男の葛のあなたかな
有名な不器男の句をちょっとふざけてみました。
不器男の句は「あなたなる夜雨の葛のあなたかな」です。
真土駅と西ヶ方駅の間で愛媛県から高知県へ入ります。
蛇行する四万十川へ合流する支流は多く、左右の川岸を縫う度に流れは方向を変えていたりするので、山へ向かっては遥かな海をめざしていたりと、四万十川は四国山脈から流れ出るさまざまな源流を呑み込んで次第に悠々と優柔不断に姿を変えていました。
一方、鉄路は鉄路でトンネルを抜けたり鉄橋を渡ったりと国道を離れて、我が道を勝手に進んでいるように見えました。予土線の山峡の駅は見上げるばかりに高い山肌へ作られていました。
◦四万十の大正昭和半家に秋
◦予土線の駅舎めぐれば赤まんま
◦銀杏の翠(みどり)宿して真白なり
どの駅にも秋の野の草は自由にのびのびしていましたが、なかでも蓼の花(赤まんま)は桜色のかわいい姿で「よをおいでやす」と迎えてくれました。