梔子の花

     ○梔子の花の崩れや梅雨最中
(くちなしのはなのくずれやつゆさなか)
白い花
 雨が降ると特に白い花は惨めです。力なくしな垂れてすぐに薄茶色に汚れてしまうからです。
「セカンドハンドの時代」はその本のタイトルと同じように、古本をネットで買いました。若い頃は古本屋さんも方々にあって繁盛していたものです。ずっと昔は梅田阪神百貨店の地下通路にもありました。そこで買った幾冊かも、今私が座っている机の後ろの棚に収まっています。
 ホォークナー、ボードレールカフカ、ポー、ジャンジュネそれらは不完全であるけれども何故か全集の形で並んでいます。
 「セカンドハンドの時代」を読んでいると、私の伊丹時代が甦ってくるのです。人々はやがて洪水のように襲ってくる物の前にいて、まだ気づいていなかったのです。物ではなく、流されないしっかりした土台が必要だったことを。