山法師

     ○堂出づる行者の顔や山法師
(どういづるぎょうじゃのかおややまぼうし)
叡山の千日回峰行
 この花が山法師と名づけられたのは、叡山の僧兵が白い頬かぶりをして山から下りて京の町を襲撃したところからというのです。
 比叡山には「千日回峰」という、叡山の30キロあまりの山道を1千日歩き、修行の仕上げに「堂入り」という9日間の断食があります。
 修行を始めると途中で断念することはできず、死を覚悟して、すべてを全うしなければなりません。最後の「堂入り」で命を亡くした人もあったようです。
 酒井雄哉阿闍梨は生涯に千日回峰を2度満願した人で、天台宗開祖以来3人めの大阿闍梨になられたその時のビデオを観ましたが、9日間の断食では一睡もすることなくお経を読み続け、毎日午前2時には仏様にお供えする水を汲みに出なければなりません。
 酒井阿闍梨の顔は蒼白で、雲水たちに支えられながら、お堂から200m離れた水場に採水に出ていました。9日の断食を終えられた酒井氏は、生き仏として担がれてお堂から出てきました。