京鹿子

     〇京鹿子雨密やかに降れよかし
(きょうがのこあめひそやかにふれよかし)
ちりめん絞り
 京都のちりめん絞りは可愛くて華やかですが、花の京鹿子(きょうがのこ)は大樹の下の陰に咲いているようなイメージがあって一転してしまいます。
 子供の頃、着物を着たのはお正月でした。赤い鹿の子の帯揚げが今も記憶にあります。それとはまったく別の記憶になりますが、着物を着て初詣に行ったどこかの広場で、とても耐えられない匂いに遭遇しました。
 2メートル以上も先から、それは確かに人から放たれている異臭で、今まで経験したことのない刺激臭ががするのです。親たちはロシヤ人だと言いました。戦後間もない日本に果たしてロシア人が居たでしょうか、軍服を着たアメリカ人は至る所に居て、私たちには友好的な存在でした。その彼らと共に写真に収まった記憶も甦ってきましたが...。