十薬

     ○十薬や句友が君の白衣かなし
(じゅうやくやくゆうがきみのはくいかなし)
奈良の句友
 私自身医療関係に長年勤めていた関係で、看護師の友人は多いのですが、その中で同じく句を作る人が二人います。
 その二人とは別々なつながりで、50年近く交流がつづいています。奈良の句友とは彼女の紹介で同じ俳句誌に投句する関係です。
 彼女の句歴は、彼女の夫君が高校生の頃からの筋金入りの俳人で、結婚以来、門前のお経を読んでいたから半世紀以上は積まれていることになるでしょう。
 夫君の遺句集をときどき繙いて読み返していますが、彼女との出会いや結婚生活まで、純粋な文学青年そのままの作品がかい間みられて、句集は一ぺんの私小説を読む思いがあります。