原爆忌

     原爆忌腐る連鎖を脱けられず
(げんばくきくさるれんさをぬけられず)
戦後70年の総括
 今月安倍総理は「戦後70年談話」を発表する。それにさきがけて有識者懇談会が報告書を安倍首相に手渡した。日本の民意?談話のトラの巻とも言えるものだろうか。
 「満州事変以後の日本の行動を侵略と明記し、無謀な戦争で多くの被害を与えた。
中国、韓国とは和解が完全に達成されたとは言えず、東南アジア諸国には謙虚な態度で接することが重要。また、今後の日本は非軍事分野を含む積極的平和主義の歩みを止めず、これを一層具現化し国際社会の期待に応えていく必要がある。」
 「先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後日本としてアジア太平洋地域や世界のためどのような貢献を果たしていくべきか、世界に発信できるものにする。アメリカの国力が相対的に低下するなかで、さらに大きな役割を果たすべきである。」

 私は、小学校6年生の時の自分の教室を思い出す。給食の時間や雨の日の遊び時間になると決まって元気なT君が教室中を席巻していた。走り回るので時々は机の上の物を落として行ったりしたが、時にはみんなを笑わせた。ある時こんなことがあった。T君はどこから持って来たのか素焼きの植木鉢を自分の股間にあてて「さあ十円十円」といって片手を受けるように伸ばしながら机の間を歩き回った。みんな給食が済んだ後だったけれど、誰も立たなかったし、鉢の底の穴へ顔を近づける者もなかった。一旦授業が始まると彼は姿を消してしまって、今度は別の人たちがクローズアップされて規律正しい厳粛な雰囲気が教室を満していた。あの教室のギャップが鮮やかに蘇るのである。