朧月

           ○朧月泪にぬれし麒麟の目

             (おぼろづきなみだにぬれしきりんめ)

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              ○狼の遥かな荒野朧月    秋甫

              ○サバンナに鬣の影朧月   々

              ○朧月沼の夢みる河馬の檻  々

 高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」という詩が頭の中にあって、今日の四句となった。

「ぼろぼろな駝鳥」

 何が面白くて駝鳥を飼うのだ。

 動物園の四坪半のぬかるみのなかでは、

 脚が大股すぎるじゃないか。

 頚があんまり長すぎるじゃないか。

 雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるじゃないか。

 腹がへるから堅パンも喰らふだろうが、

 駝鳥の目は遠くばかりみてゐるじゃないか。

 身も世もない様に燃えてゐるじゃないか。

 瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまえてゐるじゃないか。

 あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるじゃないか。

 これはもう駝鳥じゃないじゃないか。

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